プラスチックごみの現状と課題
ペットボトルなどの容器包装からオモチャまで、日常生活のあらゆる場所で利用されている便利なプラスチック。一方で、世界では、プラスチックごみが河川等を通じて内陸から海へ流れ込み、生態系を含めた環境の悪化をもたらしており、大きな課題となっています。
ポイ捨てされたりごみ箱から溢れ、散乱したプラスチックごみは、琵琶湖に流れ込む大小の河川を通じて湖岸に漂着し、美しい景観を損ないます。また、琵琶湖は海につながっているので、海岸までプラスチックごみが漂着し、景観を損なう可能性もあります。
プラスチックの原料のほとんどは石油から作られており、製造過程で多量のCO₂が排出されます。また、ペットボトルなどプラスチック製品の多くは廃棄される際にリサイクルされていますが、約57%が、エネルギー源としての利用であるサーマルリサイクルです。サーマルリサイクルでは燃焼する際にCO₂が排出され、単純焼却も合わせると、日本では、最終的に年間1600万トンのCO₂が排出されています(出典:資源エネルギー庁HP)。
また、原料に使われる石油は、地球上に限られた量しか存在せず、いずれなくなってしまう枯渇性資源ですので、プラスチック製品の大量生産・大量消費・大量廃棄型のライフスタイルを見直す必要があります。
出展:「廃プラスチックの総排出量・有効利用/未利用量・有効利用率の推移(一般社団法人プラスチック循環利用協会)
※マテリアルリサイクル:回収した廃棄物を、製品の原材料として再生利用すること
ケミカルリサイクル:回収した廃棄物を、そのままではなく化学反応により組成変換した後にリサイクルすること
サーマルリサイクル:回収した廃棄物を焼却処理する際に、熱エネルギーを回収・利用すること
また、原料に使われる石油は、地球上に限られた量しか存在せず、いずれなくなってしまう枯渇性資源ですので、プラスチック製品の大量生産・大量消費・大量廃棄型のライフスタイルを見直す必要があります
2017年に中国が国内での環境汚染等を理由に、プラスチックの輸入規制を実施し、中国に代わって東南アジア諸国へのプラスチックの輸出が増えましたが、これらのプラスチックが輸入国におけるリサイクルの過程で不適切に処理され、環境汚染を引き起こしていると指摘され、東南アジア諸国においても輸入規制が実施されています。
この問題の解決のため、2019年にはバーゼル条約付属書が改正され、プラスチックの廃棄物が新たに条約の規制対象に追加され、プラスチックごみの国内での適正処理の必要性が高まっています。
バーゼル条約等に関してはこちら(環境省HP)
内陸から流出したプラスチックごみは、海洋へ流れつき生態系へ悪影響を及ぼしています。世界中から、死んだ海鳥の胃の中から誤って食べたプラスチックが多く見つかり、魚の胃の中からも、細かいプラスチックが発見されています。
マイクロプラスチック(一般に5mm以下の微細なプラスチック類をいう。)による海洋生態系への影響も懸念されています。マイクロプラスチックは、プラスチックごみが波や紫外線等の影響により小さくなることにより、あるいは洗顔料や歯磨き粉にスクラブ剤として使われてきたプラスチックの粒子や合成繊維の衣料の洗濯、人工芝の摩耗、プラスチック製品の劣化等によっても発生します。製造の際に化学物質が添加されていたり、プラスチックの漂流の際に化学物質が吸着することにより、マイクロプラスチックに有害物質が含まれていることがあります。
具体的な影響は必ずしも明らかにはされていませんが、含有・吸着する化学物質が食物連鎖に取り込まれることによる生態系に及ぼす影響が懸念されています。