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がん情報しが

滋賀県のがんに関する情報を集めた、
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がんとともに生きる

がん相談・緩和ケア

生きていれば次の治療法が出てくると信じることで未来に希望を持つことができました。

取材日:平成27年11月

天満清央さん(51歳) 平成19年 多発性骨髄腫治療開始

がん治療の経緯について教えてください

2007年4月、42歳の時に多発性骨髄腫の診断を受け、10月より治療を開始し、9か月入院して抹消肝細胞自家移植を2回実施しました。完全寛解を得て以降、無治療で8年が経過し、現在は2か月に1度、血液検査のみ行っています。

がんを宣告されたとき、どんな気持ちでしたか?

写真:天満さん1

診察室で骨髄腫と聞いたときは、何かいやな予感がしたぐらいだったのですが、そのあと家に帰ってインターネットで病気について調べ、平均余命の数値などを見たとき頭の中が真っ白になりました。その日は平日で、午後からは仕事に行ったのですが、勤務中もその病名が頭を離れず、心配でたまらなくなり、夕方、もう一度医師に確認の電話をしたことを覚えています。その後、骨髄腫は診断が確定したらすぐ治療開始という病気ではなかったこともあり、治療を開始するまでの約半年は、病気のことは調べないようにしていました。

気持ちが前向きになったきっかけは何かありましたか?

治療が始まってから「骨髄腫患者の会」に参加し、病気や治療に関する情報をもらうようになりました。その中で、同じ病気の先輩患者さんや、同時期に治療を始めた患者さんとの交流で元気をもらい、治療に前向きになることができました。骨髄腫は、抗がん剤治療しか治療法がないのですが、その効果や副作用は、患者一人ひとりで違います。でも、みんな心の中では同じような思いを抱えていることがわかり、自分だけじゃない、と大いに励まされました。みんな同じような経験をし、それを克服してきたことや、治療後の様子が分かり、先を見据えて治療を受けることが出来るようになりました。

がんになった後、仕事を続ける上で困難だったことはありますか。

写真:天満さん2

自家移植という治療のためには、長期の入院が必要でした。職場は長期休養のあとでも復帰できるところだったので問題はなかったのですが、抗がん剤治療の期間も含めてすべて入院治療と決まったときには、治療後の身体の状態が不安でした。再発率も非常に高い病気なので、この先いつまで仕事ができるだろうか、今の仕事が続けられるだろうかという不安はありましたね。ただ、自分の病気のことを知り、他の患者さんの経験を聞くことで、そのときどきの状況を理解し対応することで、何とかなるということがわかり、不安を抑えることができたと思います。

仕事に復帰する際に、支えになったことはありましたか。

勤務先の人事担当者や上司から「病気を完全に治してから出てくるようにしなさい」と言っていただき、とてもうれしかったですね。有休残日数、失効有休日数、欠勤可能日数を考慮し、給料が支給される期間と、給料の何割程度が支給される期間が設けられるという説明があり、安心できました。そのため、治療中は生活の心配をすることなく過ごすことができました。

今後、ピアサポーター(がん患者とその家族を応援する人)として何を伝えていきたいですか。

写真:天満さん3

骨髄腫患者の会には"Information Can Save Your Life"という言葉が掲げられています。「情報があなたの命を救う」、という意味です。何よりも、このことを伝えたいですね。がんと言われると、頭の中が真っ白になり何も考えられない状態になります。私もそうでした。また治療中も孤独を感じることが多いと思いますが、そんなとき、正確な情報を持っていると前向きになることができるとわかりました。気持ちが前向きかどうかで、治療の効果にも影響が出てくるのではないでしょうか。そんな思いで、サロンに参加しています。

天満さんにとって、がんと共に生きる秘訣は?

とにかく、先を見て生活をするということですね。医療技術はどんどん進歩しています。よく耳にする「生存率」の数値も、今から5~10年前に治療を受けた人の数値です。しかし10年もたつと新しい薬や治療法が開発されており、実は生存率も変わってきているはずです。だから、今受けている治療の生存率ではないことも多いのではないかと思います。そうした統計数値に惑わされず、自分の病気をよく知り、分析し、よりよい「クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)」を目指して生活することが大切だと思っています。そして、未来に希望を持つことです。生きていれば次の治療法が出てくるに違いありません。だから私はいつも「何とかなるさ」と思って生きています。

お問い合わせ
健康医療福祉部 健康寿命推進課
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