文字サイズ

がん情報しが

滋賀県のがんに関する情報を集めた、
がん情報ポータルサイトです。

がんとともに生きる

がん相談・緩和ケア

がん検診が受けやすい環境づくりと健康教育で早期発見・職場復帰につなげていきたい

長浜キヤノン株式会社 経営管理部 安全衛生課 健康支援室雲圭生さん斉藤えみさん

どのような体制で、社内の健康管理に取り組んでいますか。

当社は1988年設立で、現在約1300人の従業員が在籍し、主にレーザービームプリンターとトナーカートリッジを生産しています。安全衛生課・健康支援室という部署で、一元的に従業員の健康管理に関する取り組みを行っています。スタッフは産業医の先生を入れて7名です。

がん対策に力を入れているそうですが、具体的にはどんな取り組みをされているのですか。

写真:雲圭生さん斉藤えみさん1

まずはがんという病気について知ってもらうという意味で、がんについての健康教育に取り組んでいます。年4回発行されている社内報があるのですが、昨年はこの誌面で1度、がんについて特集しました。また、社内で行っている40歳・45歳を対象にした年代別キャリア研修でも、一部の時間を使ってがんをテーマにした健康教育を行っています。
内容は、「がんとはどんな病気か」、「なぜ早期発見が大切なのか」、「毎年受ける必要があるのはなぜなのか」、「がん検診の費用補助制度」などについて説明しています。
今後の自分の人生を考える機会である研修の中でがんについて取り上げることで、より身近に、自分のこととして受け止めてもらえているように思います。その効果として感じたところとしては、研修終了後にがん検診の予約会を実施したところ、多くの受診希望者がありました。また、予約には至らずとも受診方法についての相談も何件か受けています。

がん検診の受診をすすめるための取り組みとしては、どんなことをされていますか。

健康保険組合によるがん検診の費用補助制度があり、40歳以上は3万円まで、30歳代では1万5000円までの受診料について補助が受けられるようになっています。また、キヤノングループの健康保険組合の制度として「がん検診パック」というものがあり、例えば胃がん・肺がんの検診のセットなど、様々な組み合わせの検診パックを作り、全国の医療機関と契約を結んで、簡単な手続で複数のがん検診が補助限度額内であれば無料で受けられる仕組みになっています。当社の地域では、彦根にあるクリニックと契約し、そこで予約して受診できるようになっています。また、「がん検診を受けたことがなく、何を受けたらよいかわからない」「忙しくてなかなか予約を取ることができない」といった社員でも受診しやすくなるよう、当社の健康支援室で受診代行予約も行っています。

この取り組みで、実際にがんが見つかった方はおられますか。

写真:雲圭生さん斉藤えみさん2

当社の健康診断では、40歳以上の方は検便による大腸がん検査が申込制で受けられるのですが、その検査で要精密検査となり、精密検査を受けた結果大腸がんが発見された方がおられました。
職場の検診制度以外では、ご本人が「体調不良」や「なんとなく気になって」医療機関を受診されてがんが判明したケースもいくつかありました。その場合は健康支援室に診断書が提出されたり、職場から相談があることで判明します。その際は状況に応じてご本人やご家族に連絡し、状況を伺うようにしています。そうすることで治療状況や体調を把握することができ、必要なフォローを検討・実施することができます。また連絡をとることで、ご本人から各種手続きや復帰についての相談を受けやすくする環境をつくることもできています。そして職場復帰が近づいてきたら、主治医からの意見を基に産業医面談を実施し、復帰後はどこまでの作業なら無理なくしていただけるか身体負荷を考え、人事と連携して職場での業務を調整しています。

がんになった方へのフォローの中で特に配慮されていることはありますか。

管理職は今のところ全員男性ですので、女性従業員が女性特有のがんになられた際、ご本人が打ち明けにくい、また職場でフォローしにくいということがありました。産業医の先生も男性なので、体の不調のことなどについては、健康支援室の女性スタッフが時間をとってお話を聴くなどの配慮をしています。

今後の課題を教えてください。

写真:長浜キヤノン株式会社

課題は、がん検診の受診率のアップです。当社の平均年齢は40歳を越えていますので、今後ますますがんの罹患率は増加すると思います。そのため、特に40歳代以上の方の受診率を高める必要があります。そこで管理職がまず手本を示そうとがん検診の受診を呼びかけ管理職専用予約会を実施したところ、管理職の受診率は90%を越えました。初めて受けた管理職からは「受けてみたら大したことなかった。課員にも説明しやすくなったのでよかった。」といった声も聞かれました。
しかし全体としては、2015年の受診率は40歳以上のうち27%程度に留まっています。がんについては、メディアなどでも報道されているので、皆さん基本的なことは知っておられますが、なかなか自分自身のこととして受け止められない部分があるようです。
もう一つの課題として、健康保険組合との契約でがん検診パックが受診できるクリニックが1カ所しかないために、どうしても都市部にある事業所よりも受診率が下がるということがあります。契約クリニック以外の医療機関でもがん検診は受けられますし、自治体のがん検診も受けることができます。そのときの領収書があれば限度額内で還付できますので、そうした制度を社内にもっと周知し、受診率を上げて早期発見につなげていきたいと考えています。

お問い合わせ
健康医療福祉部 健康寿命推進課
電話番号:077-528-3655
FAX番号:077-528-4857
メールアドレス:[email protected]