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Q1 地域で保健師をしています。アレルギーを起こすことを心配されて、本当は5~6か月から離乳食を始めてもらいたいのですが、なかなか始めない方が増えているように思います。果たして離乳食の開始を遅らせることは、アレルギー予防の意味があるのでしょうか?
A1 離乳食をいつ始めるか、というのは必ずしも一定の見解があるわけではなくて、体重とその子の能力の問題・・・飲み込みや噛んだりする力があるのかが問題です。遅くしたからアレルギーにならいないということでもないし、早いからなるというものではない。発育への影響を考えれば、通常時期に始めてもらうのがいいと思います。
Q2 食物アレルギーになってからのことについていろいろ教えていただきましたが、食物アレルギーにならないように予防することは可能なのでしょうか?たとえば、離乳食を遅らせる、卵を与えない、といった方法をとられるお母さん方もいらっしゃるのですが・・・。
A2 残念ながら、「離乳食を遅らせたらアレルギーにならない」「妊娠中から何かに気を付ければアレルギーにならない」という対策はない。90年代は「妊娠後期から乳幼児前期に母子ともに卵を食べないといい」という話がされたこともあったが今は、そのような根拠はないと言われている。離乳食を遅らせて、消化能力があがってから卵や牛乳を摂るといいのではないか、と考えるかもしれませんがこれも根拠がない。上の子が強い食物アレルギーであったとしても、下の子についても通常の(離乳食など)対応をするというのが原則です。ただ、初回(離乳食を)与えるときは少量からというのを原則として下さい。上の子が強い牛乳アレルギーである場合、下の子にアレルギー対応ミルクを使用するといいのではないか、という意見が専門家の中でも一部ありますが、小児科医すべてが認める意見ではありません。基本は特別な手立てはない。しかし、もし少しでも防ごうとするならば、皮膚を通して食物が感作すると言われているので、乳児期に湿疹がひどいお子さんに対して湿疹の治療をしっかりしてあげることを通して感作が成立しなくなるのではないかと期待されています。皮膚の状態を良くすることが少しは防ぐことにつながるかもしれない、ということなので「乳児の湿疹はほっといたら治るから」ではなく塗り薬を使って積極的に治療してあげる方がいいと思います。
Q3 乳児の食物アレルギー検査はどの時期に受けるのがよいのか、離乳食の開始時期から食材を増やす際によく尋ねられます。食べて何らかの症状が出たら受けてもらえばよいのでしょうか?
A3 症状があれば検査をする。無症状で食べられているのに血液検査で陽性に出たので食べるのをやめる、ということはしない。何かの拍子で血液検査をしたときに陽性反応が出た児でも、食べて全く症状が出ない児もいる。あくまでも血液検査は参考であって最終的には食べて症状が出るか出ないか、が問題になる。
Q4 保健センターで保健師をしています。乳幼児健診でお母さんからご相談を受けることが多いのですが、先日聞いたお母さんによると、まだ離乳食を開始する前の段階で、生後間もないころから単なる脂漏性湿疹ではない重症の湿疹が続いており、「そのようなお子さんは食物アレルギーを起こしやすいので離乳食の開始を遅らせた方が良い」と医師から言われたと話されていました。実際そういうものなのでしょうか?
A4 ものすごく湿疹がひどくても食物アレルギーを持ってない子もいれば、湿疹がそんなに重症じゃなくても、血液検査をするとありとあらゆる食物が陽性になる場合があります。今は陽性になっても負荷試験をして出るか出ないか調べて、食べられるものは食べさせましょうということになっている。本当に湿疹が重症で心配なら、専門の医療機関で一度しっかり負荷試験をやってもらって、食べられるものは食べてもらうのがいいと思います。そうしないと、勝手に除去して非常に栄養が偏って栄養失調になった子もいます。食べられなくて、がりがりで身長は伸びないし湿疹はひどいし痩せているし、その状態だと余計に免疫と体力がなくなって悪くなる。離乳食を遅らせたからといって解決するのでなく、食物アレルギーがあるかないかが問題。乳児期の栄養は脳の発育や体を作るというものなので大事です。本当にアレルギーがあるものは除去すべきだと思いますが、そうでないものは除去すべきではない。そのために今は経口負荷試験をやっている。
Q5 乳児ばかり30名を預かっている保育所の職員です。30名中7名も食物アレルギーを持っている。乳児なので離乳食から普通食に移行する段階で、保護者の方はまだ食物アレルギーを認識していないけれども、急に症状が出る場合があるのか?食物アレルギーとは聞いていないが、全身にじんましんが出た子どもの場合はどのように対応していったらいいか教えていただきたい。
A5 乳児の食物アレルギーの場合はまだはっきり診断できていないこともある。入所の時点ではまだ一度も食べたさせたことがない、保護者の方もアレルギーという認識がなくて、離乳食を始めていったらある日保育所などで急にじんましんが出たりするという問題はある。しかしこれは事前に正確に予測する方法はないというのが実情。保育所で初めてそのような事例に遭遇した場合は、症状の程度に応じて紹介したマニュアルに沿って対応することになります。ただ、乳児の場合はまだエピペンが処方できない。だから、そういう緊急事態には使用できない。そのため、そのような場合は速やかに医療機関に受診するということしか、できないのが現状だと思います。
病院でよくあるのは生後6か月未満の段階で湿疹がひどくて、それが原因でアレルギーを疑われ、まだ食べたことはないが病院で血液検査をしたら、卵や小麦、牛乳で反応が出たケースがあります。そういう時には、いろんな考えがありますけど、一つのやり方として、数値のレベルが高い場合はまだ一度も食べたことがない場合でも一応、除去をするという安全策をとる場合があります。そのような場合は1歳過ぎでもう一度検査をして検査の数値が一時的なものであったのか、同じようなレベルなのか、あるいはさらに高くなっているのか経過をみて判断して、解除できそうであればまずは、病院で少量から食べてもらう。そのようなステップを踏んで解除していく。そのような場合は病院から解除の指示が出るまでは保育所でも除去としてもらっておいた方がよい。
ある程度事前リスクが予測できる場合はいいが、全くノーチェックでそういうことを想定してなくて起こった場合これはどうしようもない。食物アレルギーのアナフィラキシー症状はどのような症状が出るのか、一般論として知っておいてもらって、そのような疑いの症状がでた場合は速やかに医療機関を受診するという対応しかない。