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通常のX線撮影では、血管は写りません。血管造影検査では、カテーテルと呼ばれる細い管を検査目的の血管まで挿入し、造影剤という薬を注入することで血管の形状や血流の状態を確認します。さらに現在ではこの検査手技を利用して、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患や、全身における血管性病変および腫瘤性病変の治療を行うことが可能です。
当院では循環器内科による冠状動脈の撮影および狭心症・心筋梗塞の治療にINFX-8000V、不整脈治療にINFX-8000V Biplaneを使用しています。
当院では主に頭部、腹部の撮影、治療にAlphenix Biplaneを使用しています。
この装置はハイブリッド手術室に設置されており、大型の撮影パネル(FPD)や、起倒機能付カテーテル寝台を搭載し、外科処置を伴う手技も可能で全身の血管撮影に対応します。
また、CTのような身体の断面像や3Dを撮影することもでき、従来X線検査が苦手としていた金属周囲の観察も可能とする、金属アーチファクト低減技術も搭載されています。
心臓の栄養血管である冠状動脈や心室に造影剤を注入して、冠状動脈の走行や心臓の形態、動きの異常を調べたり、心臓・大血管内の血圧及び血流の測定を行う検査です。心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患の診断や治療、弁膜症や心筋症などの診断、不整脈の治療ができます。
カテーテルを首の動脈まで挿入し、造影剤を注入して脳血管の形態や走行を調べる検査です。脳血管の走行の異常や動脈瘤や血管の狭窄、頭部の腫瘤の位置、形状などの診断ができます。また動脈瘤内を金属のコイルで塞栓し、動脈瘤の破裂を防止することや、脳血管に詰まった血栓を取り除く治療も行っています。
肝臓など腹部臓器の動脈に造影剤を注入し、腹部血管の形態を調べる検査です。また、薬を注入して治療することもあります。
平成28年度に血管内治療室がB棟3階に移設され、同時に循環器用血管撮影装置が更新されました。令和5年度にもハイブリッド手術室の多目的血管撮影装置も更新され、低被ばくで、より高画質な透視画像が得られる他、当院の血管撮影装置は全て、検査・治療中の患者被ばくの状況をリアルタイムに可視化し確認できるシステムを装備し、術者の安全意識の向上にも努めています。
B棟移設と共に配備されたハイブリッド手術室では、外科処置を伴った手技も行うことができ、循環器科と心臓血管外科による大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術や、放射線診断科と外科による肝腫瘍に対する開腹下門脈塞栓術、脳神経外科による難治性疼痛に対する硬膜外電極埋め込み術などを行っています。
血管造影部門のスタッフは、患者の被ばく線量の低減や管理だけでなく、手技に携わる医療スタッフの被ばく低減にも努め、安全な放射線検査・治療の提供を心掛けています。