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発達障害

  1. こどもの脳は、生後めざましく成長します。こどもの脳の成長の仕方は、一人一人異なっています。お子さんの中には、脳の成長のプロセスが個性的なために、ことばや行動の発達が通常と異なっていたり、家庭生活・集団生活に困難を抱える子どもがいます。彼らのことを「発達障害」と呼んでいます。脳の機能の、どの部分の成長が個性的(または遅い)かによって、症状は異なります。
  2. 注意力をコントロールしたり、自分の行動をコントロールする脳の部分の成長がうまくゆかないと、不注意で集中できない子供・多動の子供になります。程度が強い場合は、注意欠陥多動性障害(ADHD)として、支援対象になります。
  3. 人とコミュニケーションする機能がうまく育たず、人の思いを感じ取ったり、広く物事に興味を持って年齢相応に視野を広げてゆく機能がうまく育たないと、友達関係が築けない・集団生活が難しいなどの苦労がでてきます。程度が著しい場合は、自閉症として支援対象になります。程度は軽くても、社会生活上の困難がある場合は、広汎性発達障害(PDD)として支援対象になります。
  4. 当センターでは、「ことばが遅い」「落ち着きがない」「集団行動がうまくゆかない」などを主訴とする子どもには、発達検査(新版K式・WISC IIIなど)をおこない、発達のばらつきの有無を調べています。自閉症の子どもには、療育部でPEP-R(自閉症の子どもの到達度を把握しやすい発達検査)を行う場合もあります。また、学校や幼稚園の担当の先生に協力してもらって、行動のチェックリスト(ADHD-RSやCBCLなど)を記入してもらい、その子の学校・幼稚園での状態の把握に努めています。児の診断は、乳児期からの発達歴・発達検査・学校からの情報・家族からの情報・本人の診察を合わせておこないます。
  5. 治療は、注意欠陥多動性障害(ADHD)に対しては、コンサータや、場合によっては三環系抗うつ剤・抗精神病薬の投与を行っています。系統だったペアレントトレーニングのプログラムはおこなっていませんが、ADHDの子どもを育てる家庭がなるべく平和に過ごせるよう、必要に応じて心理士が相談にのっています。
  6. 自閉症・広汎性発達障害(PDD)に対しては、薬物療法よりも、まずは家族や関係者が障害をよく理解することが治療の第一です。その上で、自閉症・広汎性発達障害の子どもにとって暮らしやすい・理解しやすい環境を作ることが大事です。現在、滋賀県では地域療育教室が整備され、そこで自閉症について学ばれる家族が増えていますが、当センターでは、必要な例では心理士が、自閉症の子どもを育てるアドバイスをしています。
  7. 自閉症・広汎性発達障害で、薬物療法をおこなうこともあります。安定した睡眠・覚醒リズムが築けず、睡眠障害が強い場合には薬を使います。また、こだわりが強い場合に、SSRI(新しいタイプの抗うつ剤)が有効な場合がありますので、家族が希望されれば処方しています。いらいらやパニックをおこす場合、環境の整備が第一ですが、環境の調整だけでうまくゆかない場合は、抗精神病薬(リスパダール・セレネース)、SSRIなどを処方しています。てんかんを合併した場合は、抗てんかん薬による治療をおこなっています。
  8. また、発達障害の子どもは、コミュニケーション・対人・多動の問題だけではなく、音や皮膚刺激に過敏であったり、姿勢保持が上手にできないために日常の不便を抱えている場合があります。これらの場合は、評価の上で、感覚統合訓練(SI)を行ない、姿勢保持能力の向上などを図っています。
  9. 療育部では、自閉症児・広汎性発達障害児を対象とした療育もおこなっています。
  10. 発達障害の子どもとその家族が抱えている問題は、もともとの障害に起因する問題もありますが、二次障害と呼ばれる問題を持つこともあります。例えば、学校で友達とのコミュニケーションがうまくゆかないために不登校になっていたり、行動を注意されることが続いて自信を失っていたり、親子関係が悪化して子どもが家庭内で暴れる場合などがあります。これらを二次障害と呼んでいます。
  11. 当センターでは、小児神経内科とこころの診療科の二つの科で、発達障害の診療をおこなっており、明確な区別はありませんが、二次障害を抱えているケースについては、こころの診療科を受診してください。それ以外で、子どもの発達について受診希望の場合は、小児神経内科またはこころの診療科を受診ください。子どもの発達障害の診断・相談には時間がかかりますので、いずれの科も予約をとった上で受診してください。
お問い合わせ
病院事業庁 小児保健医療センター
電話番号:077-582-6200
FAX番号:077-582-6304
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