滋賀県消費生活センターでは、最近相談の多い事例やタイムリーな情報を発信しています。
昨夏、「電気代が未納のため、2時間後に停電します。詳細は1番を押してください」という自動音声の電話がかかってきたという相談が多数寄せられました。
電気代やガス代、水道料金等、いわゆるライフラインに関わる代金を滞納したとしても、電話がかかってきて2時間後に停電することは、冷静に考えればあり得ないのですが、電話を受けた県民の方の反応や行動はさまざまでした。
留守番電話設定にしていたため何事もなかった、なにかおかしいと思ってすぐに電話を切ったという方がほとんどでしたが、停電という言葉に反応して、詳細を聞かなければと1番を押した方もいらっしゃいました。1番を押すと、オペレーターが出て、あらためて滞納について告知され、住所や名前を聞かれたそうです。その後、直接の被害には遭われていませんが、そういう電話に応じてしまったことにショックを受けておられました。
「2時間後に停電」と言われたら、そんなことはあるはずはない、でもなにか心配と思ってしまうのは、むしろ当然のことです。心理学や行動経済学では、脳のシステムとして、直感的に思考するシステムと熟慮するシステムの2つがあり、「停電」という困ったことが起こると聞いてしまったら、熟慮するシステムが働かなくなってしまいます。そのため、通常ならできている判断がとっさの時にできなくなってしまうのです。
したがって特殊詐欺への対策は、「こんな被害があるので気をつけましょう」ではなく、「気をつけられなくなってしまうので、対策をとりましょう」ということになります。固定電話は留守番電話設定にする、録音機能をつける等の対策をお願いします。