繁華街で「お肌のアンケートにご協力ください」と声をかけられ、応じたところ店へ連れて行かれた。
日頃のお手入れの仕方などのアンケートに答えた後、「お肌の診断をします」と言われた。青い光を当てて肌の状態を診断するという器具に顔を入れると、顔中に黒いシミのようなものが広がっていて驚いた。「このままにしていたら、数年でこのシミの予備軍が肌の表面に出てくるので、今のうちに、きちんとお手入れをしないと、たいへんなことになりますよ」と言われ、1年分の化粧品25万円を勧められた。
「大学に入学したばかりで、アルバイト収入しかないので支払えない」と断わったが、「月5,000円なら払えるでしょ」と言われ、個別クレジット契約をすることになった。授業が忙しく、アルバイトができなくなり、支払えないので解約したい。 (10 歳代・女性)
・店で契約していますが、繁華街で声をかけられ、店に連れて行かれた「キャッチセールス」であり、特定商取引法の訪問販売に該当します。「法律で定められた事項が書かれた書面(法定書面という)を受け取った日」(契約した日ではありません)から8日以内であれば「クーリング・オフ」ができます。
・また、契約書面の記載に不備があった場合や、虚偽の説明をされた場合には、8日を経過しても取り消しができることがあります。
・契約時に未成年であり、親権者の同意を得ていない、小遣いの範囲を越えた高額の契約等の場合、業者とクレジット会社に「未成年者取り消し」の主張ができます。「未成年者取り消し」の詳細については下記をご覧ください。
「おかしいな」「困ったな」と思ったら、まずは消費生活センターにご相談ください。
未成年者とは、満20歳未満の者をいいます。ただし、未成年者が結婚したときは、これによって成年に達したものと民法上はみなされます。したがって、この場合は未成年者であっても契約を取り消すことができません。
未成年者が法定代理人の同意を得ないでした契約は、取り消すことができます。未成年者の法定代理人は通常は親権者です。そして、両親がいる場合の親権は、婚姻中は父母が共同して行うとされていますので、両親双方の同意が原則として必要となります。つまり、例えば父親が同意していても、母親が反対していたのであれば、その契約は原則として取り消し可能な契約になります。
未成年者取り消しを行った場合は、契約の時から無効だったものとして扱われます。その結果、取り消しまでに、すでに契約をしたために動いた物やお金があれば、それは不当利得として相手に返す必要があります。この場合は受け取った物やお金を今残っているまま、または受け取った物やお金が形を変えて残っていればそれ(現存利益という。)を返還すれば足ります。ただし受け取ったお金を生活費に使った場合は、現存利益が存在するとされ、受け取ったお金を返す必要があります。
取り消しをすることができる主体は、未成年者自身または法定代理人です。未成年者自身が単独で取り消すこともでき、取り消すことについては法定代理人の同意を得る必要はありません。
1. 未成年者が単独で契約した場合でも、取り消しができないとされる場合として、以下の3つがあります。
・ア法定代理人が処分を許した財産について
・イ法定代理人から営業を許されている場合、その営業に関して行う契約
・ウ未成年者が単に権利を得るか、義務を免れるだけのもの
2. 未成年者を含めた制限行為能力者全般について、自分が能力者である(もしくは、同意権者の同意を得た)と相手に信じさせるために詐術を用いた場合、制限行為能力者はその行為を取り消すことができないとされています。
1. 追認
取り消せる行為を取り消さないものとする意思表示のことです。追認をすることができるのは、法定代理人もしくは成年になった後の未成年者本人です。
2. 取消権の消滅
未成年者が単独でした契約の取消権は、追認できる時から5年で時効により消滅し、また契約時から20年経つことでも消滅します。
未成年者が単独でした契約の相手方は、未成年者の法定代理人、成年となった後の本人に対して、1か月以上の期間に追認するかどうかを確答するように促すことができます。もし、この期間内に確答がない場合は、契約を追認したものとみなされますので、以後、取り消すことはできません。