法律上の上限金利には、
の2つがあります。
これまで、貸金業者の場合、この出資法の上限金利と利息制限法の上限金利の間の金利帯でも、一定の要件を満たすと、有効となっていました。これが、いわゆる「グレーゾーン金利」です。
他方、金利負担の軽減という考え方から、出資法の改正に伴い、平成22年6月18日以降上限金利が20%に引き下げられ、グレーゾーン金利が撤廃されました。これによって、上限金利は利息制限法の水準(貸付額に応じ15%~20%)となります。なお、利息制限法の上限金利を超える金利帯での貸付けは民事上無効で、行政処分の対象にもなります。出資法の上限金利を超える金利帯での貸付けは、刑事罰の対象です。
債務整理の手続の中で、グレーゾーン金利による借入金を利息制限法の上限金利によって計算し直すことを「引き直し計算」といいます。これによって、借金の残高が減ったり、場合によっては返しすぎた(過払いの)お金が戻ってくることもあります。
※ 過払金の返還請求権には消滅時効があります
元本 | 金利 |
---|---|
10万円未満 | 20% |
10万円以上100万円未満 | 18% |
100万円以上 | 15% |
しかし、出資法の改正前には、多くの貸金業者が利息制限法に定められた上限を超える金利でお金を貸し付けていました。
これは、貸金業法で、利息制限法の上限を超えた金利も、一定の条件を満たすと有効であると定められていたからです。
これに対して、最高裁判所は、利息制限法の上限を超える利息が有効となる条件を、たいへん厳しく判断しました。この判断にしたがえば、利息制限法の上限を超えた利息は多くの場合無効となり、借り手は利息を支払いすぎていたということになるのです。
例えば、100万円を年29.2%の金利で借りて、1年後に返済していれば、返済総額は129万2千円になりますが、利息制限法の上限金利(15%)で計算すれば、返済総額は115万円となり、その差は14万2千円です。
この場合、「引き直し計算」によって、支払いすぎた利息14万2千円の返還を求めることができます。
ただし、以下の点には注意が必要です。