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ここでは一次性頭痛の中の片頭痛について説明します。
片頭痛は頭痛の発作を繰り返す疾患で、日本人の8.4%が罹患しているといわれています。男性より女性のほうが発症率が高いといわれています。子どもの片頭痛はあまり有名ではありませんが、4.8%の子どもが持っているといわれています。近年は小児周期性症候群(周期性嘔吐症、腹部片頭痛、良性発作性めまい)という考え方も広がってきており、これらは片頭痛と原因が似ており、将来片頭痛に移行することが多いとされてきています。
片頭痛の痛みはズキンズキン、ガンガンと表現される拍動性という痛みが多く、片側性のことも両側性のこともあります。小児の場合痛みの部位ははっきりとわからないことも多いです。痛みは1時間以上続き72時間まで続くことがあるとされています。頭痛症状は日常生活が妨げられる程度(痛くて寝込んでしまう、食事がとれないなど)まで悪化することが多く、吐き気、嘔吐を伴うこともあります。年長児では頭痛発作にきっかけ(誘因)があることも多く、強い光、臭い、大きな音、複雑な模様、食事(チョコレート、豆類、ソーセージなど)などがきっかけになることが多いです。きっかけの後に頭痛の前兆症状を認めることもあります。その場合視覚性前兆(目の前がちかちかする、暗くなる、物が歪んで見える、等)が有名ですが、小児の片頭痛ではあまり典型的な前兆を認めることは少ない印象があります。
分類・診断のページにも記載しましたが、まず慎重に二次性頭痛の除外を行います。検査で二次性頭痛が除外されたら、上記の特徴的な症状から診断を行います。
2000年にトリプタンという薬が日本で使用できるようになってから、片頭痛治療は大きく変わりました。片頭痛はなんらかのきっかけで一旦、脳血管が収縮し、その後に拡張することで血管周囲の炎症がおこり頭痛が発症すると考えられています。その血管の拡張を効率よく抑えることで頭痛症状を発症させないようにするのがこの薬の特徴です。