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滋賀県内の循環器診療における中心的病院として、狭心症・急性心筋梗塞など虚血性心疾患に対するカテーテル治療と心房細動をはじめとする不整脈疾患のアブレーション治療を中心に、急性期から慢性期に至る総合的診療を行っています。
循環器当直を24時間体制で実施すると同時に、急性心筋梗塞には多職種からなる緊急カテーテル治療チームを結成し、緊急治療を実施しています。
虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の治療に関しては、バルーンやステントによる冠動脈形成術により心疾患の根治をめざした診療に力を入れています。
アブレーションによる不整脈治療に関しては、自覚症状の強い発作性心房に対する肺静脈隔離から、心不全の治療意義が注目される慢性心房細動アブレーションまで積極的に実施し、連続性電位を指標とする新たな心房細動アブレーション法を開拓しています。
アブレーションの適応とならない心室細動などには、植え込み型除細動器を、左脚ブロックなどを伴う心不全には両室ペースメーカーを植え込んでいます。
虚血・心不全・不整脈に対する薬剤治療・インターベンション・デバイス治療・外科治療を組み合わせて総合的治療を行っていることが当科の特徴です。
一方退院後の慢性期においては心不全などを予防する目的で心臓リハビリを積極的に展開し、県内唯一の心臓リハビリテーション施設としての認定を取得しています。
1.冠動脈治療
2.不整脈治療
発作性上室頻拍症や心房粗動、特発性心室頻拍など従来の適応疾患でのアブレーション成功率は95%以上です。発作性心房細動に対する肺静脈隔離術のみでなく、慢性心房細動に対しては肺静脈隔離に電位指標(CFAE:連続性分裂心房電位)アブレーションや自律神経節アブレーションを追加して各々90%、80%の慢性期成功率を得ています。
とくにカルトシステムやノンコンタクトマッピング(ESI)など3次元マッピング装置を導入して立体的評価に基づくアブレーションを実施。平成21年4月からはイリゲーションカテーテルによるアブレーションが国内で認可されたが、ただちに導入し血流低下部位でも充分な焼灼が可能となりました。
基礎心疾患を伴う心室頻拍に対しては、アブレーションに加えて植え込み型除細動器移植術を実施し、医師と臨床工学技士合同で退院後のフォローを行っています。またICD機能付き両室ペースメーカーも心不全症例で積極的に植え込み、心機能低下と不整脈の同時治療を行います。最近ではデバイスの遠隔モニタリングを開始し、自宅でのデバイスの作動状況ばかりでなく不整脈や心不全の状況までも在宅のままで情報収集することができるようになりました。
下記写真>上:左房のCT情報を取り込んだアブレーション用3次元カルトシステム、中央: 生理食塩水で冷却されるアブレーションカテーテル(イリゲーション)、下:除細動機能付両心室ペースメーカーCRT-D治療器具
3.心臓リハビリテーション
狭心症・心筋梗塞などの虚血性心疾患に対する心臓リハビリや、心不全例へのリハビリテーションを 選任の医師が担当して実施しており、体力の回復・日常生活への復帰を支援しています。
令和3年度の外来患者数はのべ15,639人、紹介患者数は1,381人でした。
41病床を使用し、令和3年度の新入院患者数は1,194人、のべ患者数は15,267人、平均在院日数は11.8日でした。
令和3年度の心血管リハビリテーションの新規患者数は331人、延べ患者数は7,125人でした。
疾患 | 件数 |
---|---|
カテーテル検査・治療総数 | 552件 |
急性心筋梗塞に対する緊急カテーテル検査 | 43件 |
冠動脈インターベンションPCI治療総数 | 325件 |
冠動脈ステント治療 | 272件 |
左冠動脈主幹部のPCI治療 | 14件 |
カテーテルアブレーション | 194件 |
心房細動アブレーション | 88件 |
心房細動クライオアブレーション | 43件 |
Rhythmiaを用いた難治性不整脈アブレーション | 34件 |
ペースメーカー移植術 | 74件 |
植え込み型除細動器(ICD)移植術 | 23件 |
両心室ペースメーカー(CRT)移植術 | 13件 |
末梢動脈への血管内治療(EVT) | 78件 |
腹部大動脈ステントグラフト | 1件 |
大動脈内バルーンパンピング(IABP) | 15件 |
経皮的心肺補助(PCPS・ECMO) | 2件 |
県民医療講座を開催し、循環器疾患の新しい診断・治療法を啓蒙しています。
専門学会において、当科での治療技術を中心とした教育活動を展開しています。
学会発表および論文は、心臓病の検査から治療まで → 臨床研究をご覧ください。