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平成28年4月より、脳血管疾患や心筋梗塞のような動脈硬化性の病気を総合的に治療する目的で、心臓・脳・血管センターを運営してきましたが、さらに脳卒中の診療を充実させるために、平成29年1月から脳卒中センターを開設しました。脳卒中センターは、脳神経外科と脳神経内科とが主体となって構成しています。
突然、脳の血管がつまったりやぶれたりしてしまう病気が脳卒中です。脳卒中は、我が国での死因の上位を占めているだけでなく、寝たきりになってしまう原因の第1位という重要な病気で、高齢化にともない、その対策が大きな課題となってきます。当院では、脳卒中に対し、予防から急性期の治療、リハビリテーションへの移行を一貫して行なうことを目標としています。さらに、社会復帰に向けて、かかりつけ医との連携をとりながら、地域包括的な医療を提供します。
直接切開して行なう手術と、切開せずに行なうカテーテル治療の両方が常時可能な体制です。
3テスラMRI装置を用いた高精度の脳ドックを行なっており、脳卒中の予防(外部サイトへリンク)にも力を入れています。
血栓溶解剤による治療です。tPA(組織プラスミノゲン活性化因子)を静脈投与することで、血管を閉塞させた血栓を溶かして再開通させます。
発症から4.5時間以内でないと投与ができませんので、脳卒中が疑われた場合にはすぐに救急車で搬送することが推奨されます。また、tPA投与時には血液検査結果や手術歴などの確認項目が複数あり、それらを満たさないと使用できません。
tPA静注療法を施行したけれども再開通が得られなかった場合、もしくはtPAの投与そのものが不可能であった場合、カテーテルを使用した血栓除去術を行います。現時点で、ステント型・吸引型の2種類のカテーテルを使用して、血管内の血栓を回収する治療が行われています。当院では、脳血管内治療専門医による急性期のカテーテル治療を積極的に施行しています。
くも膜下出血は脳動脈瘤(脳血管にできるコブ)の破裂により生じます。死亡率も高く、重度の後遺症を残すことも多い、脳神経外科で扱う代表的な重症疾患です。頭部CTやMRI・脳血管撮影などで動脈瘤の部位や大きさ、出血の程度を判断し、再破裂を起こさないために可能な限り早期の治療を行います。
動脈瘤には(1)開頭動脈瘤クリッピング術、(2)動脈瘤コイル塞栓術の2つの治療方法があります。年齢や身体状況・動脈瘤の位置などを考慮して、2つの治療方法から適したものを選択しています。近年は脳深部の動脈瘤に対してコイル塞栓術が選択されることが多くなってきています。当院では両方の治療を施行しており、24時間対応可能となっています。
頭蓋骨に開頭処置を行い、手術用顕微鏡を用いて脳の隙間から動脈瘤とその周囲の脳血管をはがして、動脈瘤の根元をクリップではさみます。動脈瘤への血流が無くなり、破裂を防ぐことができます。治療の歴史も長く、最も普及している治療法です。脳表から浅い部位にある動脈瘤に対して施行されることが多いです。
当院では、術中蛍光造影が可能な手術用顕微鏡(Carl Zeiss社製)を用いて、安全且つ確実な治療を行っています。
足の付け根や腕からカテーテルを動脈に挿入し、動脈瘤内に細いカテーテルを挿入します。動脈瘤内にコイルと呼ばれるプラチナ製の柔らかい金属を挿入し、動脈瘤内に血流が入らないようにします。コイルの種類は豊富で、風船(バルーン)などを利用した治療も可能です。開頭処置が必要無いため、高齢者でも治療が可能です。脳深部の動脈瘤に対して施行されます。
当院ではバイプレーン装置(Siemens社製)を用いて治療を行っています。
受診ご希望の方は、かかりつけ医に相談するか、初診受付にお越しください。