-中学生の軍事訓練-
桐畑長雄さん(大正15年生まれ 長浜市)
旧余呉町で生まれた桐畑さんは、昭和14年に虎姫中学校(当時は5年制)に入学しました。
「軍事教練ゆうのが5年間あった。1週間に2時間ほどは軍事訓練や。3年生以上になると、鉄砲持って射撃練習、ほふく練習や銃剣術をやったり、北の方ですから雪も降るし、雪中行軍ゆうて、雪の中を行軍したりね。」
爆撃機などの搭乗員養成を図るため昭和17年から、グライダー訓練も行われました。
「戦争中、学校にグライダーがあった。体育の時間にグライダーに乗った。」
5年生になると、高島の饗庭野で行われた連合演習にも参加しました。
それは、滋賀県内の中学5年生が集まって、5月中旬に約一週間行われる大規模な軍事訓練でした。
昭和18年5月、
陸軍饗庭野演習場に県内の中学5年生が集まって行われた連合演習時の記念写真
(前列右端が桐畑さん)
昭和19年、虎姫中学卒業後、大津の滋賀師範学校に進学した桐畑さんですが、翌年の8月に現役入営しました。
「8月15日に戦争が終わるねや。もう、戦争終わってもた。ああ、助かったと思たな。」
その後、師範学校に復学し、卒業後は新制中学校の社会科の教師となった桐畑さん。
「僕が初めて使った教科書は『我が国土』ゆう本やった。教科書はみな新聞紙を折りたたんだような、ざら紙やったんやさかい。そして、ふるさとが大事やという考え方から、地域の学習のため「ふるさと伊香」という副読本を作った。」
ようやく訪れた平和な時代。桐畑さんは子どもたちの主体性を大切にしながら、戦後40年の教育を過ごしました。