-戦死した夫を思いつづけた母のために-
澤田九一郎さん(昭和5年生まれ 高島市[新旭町])
澤田九一郎さんのお父さん九郎吉さんは、昭和12年11月7日、九一郎 さんが6歳の時に中国で戦死しました。
戦争初期だったので、遺骨と時計や手帳などの遺品は戻ってきたそうです。そして、お葬式も「村葬」として盛大に行われました。
「立派な葬式だったことを子ども心に覚えております。」と九一郎さんはいいます。
九郎吉さんと妻の小春さんの間には、6歳の九一郎さんを筆頭に1歳にも満たない赤ちゃんなど4人がいました。
夫の戦死後、小春さんは子どもたちを育て上げ、90歳で亡くなりました。
九一郎さんは、
「その時、仏壇を掃除したら『夫の骨』と書いた紙に包んだものが出てきたんです。父の骨はすでに墓に入っていて、そんなとこにはないと思っていたんですが。父の死後、60年あまり一生懸命生きてきた母が『せめて死後は夫と暮らしたい』との願いだと思い、父母いっしょの墓をつくり納骨しました。やっと父と母は天国でいっしょになれて、夫婦水入らずで暮らしていると思っています。」
と語ってくれました。