-出征して1ヶ月で戦死-
中川正雄さん(大正3年生まれ)
中川ていさん(大正8年生まれ)長浜市[びわ町]
中川正雄さんと、ていさんは、二人きりの兄妹でしたのでとても仲良しでした。
15歳の頃、家を離れ大阪で働き始めたていさんは、夏休みをもらって帰郷しました。虎姫駅に迎えにきていた正雄さんの姿を見つけるとていさんは思わず泣き出してしまい、そんなていさんを正雄さんは、「迎えにきてたるのに、何で泣くのや」と優しく慰めてくれたそうです。 正雄さんは、昭和9年に現役入営し、昭和12年2月には除隊となり家で農業に励んでいました。しかし、その年の7月に日中戦争が始まり、9月には正雄さんに召集令状が届きました。
9月13日、敦賀の連隊に入隊した正雄さんは、すぐに日本を出発しました。それから、しばらくして、入隊から1ヵ月後の10月13日に正雄さんが戦死したという電報が、家族の元に届きました。 正雄さんには、婚約者がいました。正雄さんのお葬式のあと、お父さんは、形見の品物を渡して「どうか、息子のことは忘れてください」と頼んだそうです。