-ノモンハン事件で戦死した双子の兄-
高橋克己さん(大正5年生まれ)・馬場キクさん(大正5年生まれ)(彦根市)
昭和12年、克己さんは現役兵として関東軍に配属され、満州(今の中国東北部)へと旅立ちました。そして、昭和14年、除隊間近の8月、ノモンハン事件で戦死されました。戦場へと向かう直前、克己さんから「もう、僕は帰ることができんと思います。だから、全部荷物は故郷に送ります」という手紙が届きました。そして、双子の妹キクさんに送られた最後の手紙には「僕が死んだら思いっきり泣いてくれ、これが僕への法要やと思て。ただその後は諦めて、親孝行してくれ」と書いてありました。
キクさんは、克己さんの無事を祈願して、好きなものを絶ち、「手足が無くなってもかまわへん、ただ、生きて帰ってきて欲しい」と毎日神社にお参りしまし た。けれど、その甲斐なく、昭和14年の11月、克己さんの戦死公報が届きました。