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ニゴロブナ

これまでの取り組み

 ニゴロブナは、動物プランクトンや一部の底生生物を主食とするコイ科の琵琶湖固有亜種です。4月~7月に琵琶湖沿岸のヨシ帯等で産卵し、ふ化後は初秋まで沿岸部で成長します。12月頃には沖合へ移動して冬を越し、この頃には全長110mm程度になります。多くのニゴロブナは満2歳で産卵できるようになります。1~5月頃の卵を抱えたメスは特に価値が高く、米と一緒に発酵させて食べる伝統的特産品「ふなずし」の原料として重宝されています。しかし、外来魚による食害と産卵・成育の場であるヨシ帯の減少に伴い、漁獲量が1988年の198トンから大きく減少し、一時18トンまで落ち込みました(図1)。このため漁業者や県民から資源量および漁獲量の回復が求められています。

図1ニゴロブナの漁獲量の推移

 県ではニゴロブナの年間漁獲量の目標を75トンに設定しており、そのためには0歳魚の時点で700万尾が琵琶湖に生息している必要があります。県では関係機関とともに以下の4つの取り組みにより、ニゴロブナ資源の増大に努めています。

種苗放流

 公益財団法人滋賀県水産振興協会では、水田にふ化した仔魚を収容し、全長20mmまで育った稚魚を琵琶湖に流下させる水田放流と、琵琶湖沖合に全長120mm程度の稚魚を放流する秋稚魚放流を行っています。2023年度には、全長20mmサイズが1068.1万尾、全長120mmサイズが104.7万尾放流されました。

資源管理

 自主的管理としては、ニゴロブナ漁を行う漁業者の間では、卵を持たず価値が低い6月~12月のニゴロブナの漁獲を自粛する取り決めがされています。
 一方、規制としては、琵琶湖海区漁業調整委員会の委員会指示により全長22cm以下の個体の採捕が禁止されています。

ヨシ帯造成

 県では、ニゴロブナの産卵・成育場の増大を図るため、琵琶湖沿岸にヨシ帯を造成してきました。水産試験場では、毎年、その効果を把握するため産卵状況調査を行っています。

外来魚駆除

 オオクチバスやブルーギルといったニゴロブナを捕食する外来魚の駆除事業が、漁業者によって1984年度から実施されています。取り組みの結果、2007年には2,132トンだった外来魚の推定生息量は、2022年には440トンまで減少しました。

資源状況(生育状況)等

 水産試験場が標識放流調査を行ったところ、2023年冬季のニゴロブナ0歳魚の資源尾数は672万尾と推定されました。このうち天然由来のものが529万尾と79.7%を占め、2022年と比べると大幅に増加しました(図2)。

図2ニゴロブナ0歳魚資源尾数の推移

課題と今後の進め方

 近年の0歳魚資源尾数は400万尾前後で推移していましたが、2023年には大幅に増加し、目標の700万尾に近づきました。
しかし、近年は、稚魚の冬季までの生残率が低下していることが明らかになっていることから、稚魚が水田から流下し、ヨシ帯から離れて沖合に移動するまでに減耗する要因や生息に適した環境を明らかにし、生残率の向上と生息環境の改善に努め、資源の安定化を図る必要があります。

関連情報

お問い合わせ
水産試験場
電話番号:0749-28-1611
FAX番号:0749-25-2461
メールアドレス:[email protected]
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