○滋賀県事務決裁規程の制定等について(通知)
昭和55年2月26日
滋人第136号
各部(本部・局)室課長
各地方機関の長
滋賀県事務決裁規程の制定等について(通知)
事務処理の一層の適正かつ円滑な執行を期するため、さきに、全庁あげて行政事務の適正処理に関する見直し点検を実施したところでありますが、今般その結果に基づき、現行滋賀県事務処理規程(昭和33年滋賀県訓令第32号)、滋賀県陸運事務所専行規程(昭和33年滋賀県訓令第24号)および滋賀県地方機関の職務執行に関する規程(昭和37年滋賀県訓令第4号)を、滋賀県事務決裁規程(昭和55年滋賀県訓令第1号)、滋賀県文書管理規程(昭和55年滋賀県訓令第3号)、滋賀県公印規程(昭和55年滋賀県訓令第4号)および滋賀県地方連絡会議規程(昭和55年滋賀県訓令第5号)に体系的に再編整備するとともに、滋賀県事務委任規則(昭和34年滋賀県規則第52号)および許認可事務の標準処理日数に関する規程(昭和45年滋賀県訓令第10号)についても全部改正することとし、いずれも昭和55年4月1日から施行することとなりました。
ついては、この施行にあたつては下記事項に留意のうえ、遺憾のないようされたく通知します。
記
第1 改訂の趣旨(略)
第2 規程の整備内容
1 滋賀県事務決裁規程関係
(1) 本規程は、現行の滋賀県事務処理規程および滋賀県地方機関の職務執行に関する規程のうち、事務決裁に関する部分ならびに滋賀県陸運事務所専行規程を一元化して規定したものであること。
(2) 本庁、地方機関あるいは委任事務、専決事務を問わず、知事の権限に属する事務の決裁事項を具体的、個別的に規定したこと。
(3) 決裁事項のすべてを本庁共通決裁事項、地方機関共通決裁事項および各課(室)別の個別決裁事項に分け、それぞれの事項ごとの決裁区分を「○」印で表示するとともに必要な合議先を明示したこと。
なお、知事の決裁を受けるべき事項について、今回新たに明確化したこと。
(4) 本庁の課長補佐および係長に専決権限を新たに付与したこと。
(5) 代決者を包括的、類型的に規定したこと。
(6) 収支を伴う事務について、現行の概括的な規定を科目別に専決金額を規定したこと。
(7) その他、主な改正事項は次のとおりであること。
① 本庁共通決裁事項の整備
現行 61項目―→改正 188項目
② 地方機関共通決裁事項の整備
現行20項目―→改正52項目
③ 専決金額の改正
ア 工事の執行を「起工伺」と「支出負担行為」とに区分した。
起工伺(改正事項は次のとおりであり、その他は現行どおり)
区分 | 現行 | 改正 |
副知事 | 5,000万円以上9,000万円未満 | 8,000万円以上1億5,000万円未満 |
部長 | 3,000万円以上5,000万円未満 | 3,000万円以上8,000万円未満 |
支出負担行為…3億円未満の処理は部長までの決裁事項とされたこと。
イ 公有財産購入費(工事に係るもの)
区分 | 現行 | 改正 |
副知事 | 2,000万円以上5,000万円未満 | 3,000万円以上6,000万円未満 |
部長 | 1,000万円以上2,000万円未満 | 2,000万円以上3,000万円未満 |
次長 | 500万円以上1,000万円未満 | 1,000万円以上2,000万円未満 |
課長および地方機関の長 | 500万円未満 | 1,000万円未満 |
ウ 損失補償(工事に係るもの)
区分 | 現行 | 改正 |
副知事 | 700万円以上1,500万円未満 | 3,000万円以上6,000万円未満 |
部長 | 300万円以上700万円未満 | 2,000万円以上3,000万円未満 |
次長 | 200万円以上300万円未満 | 1,000万円以上2,000万円未満 |
部長および地方機関の長 | 200万円未満 (地方機関の長で補償基準の定めのあるもの500万円未満) | 1,000万円未満 |
エ その他
法令等に基づく経費、経常的または義務的経費等、裁量の余地が少ないものについては大幅な委譲が図られたこと。
2 滋賀県事務委任規則関係(略)
3 許認可事務の処理日数に関する規程関係
(1) 規程の名称を「許認可事務の標準処理日数に関する規程」から「許認可事務の処理日数に関する規程」に改めたこと。
(2) 規定の範囲をすべての許認可事務(現行202項目―→改正1,003項目)に改め、それぞれの事務について処理日数の限度を明示するとともに、受付機関、処理機関および交付機関を規定したこと。なお、次の事務については、この規程の対象から除外したこと。
① 負担金、補助金、交付金、貸付金、奨励金、奨学金等の交付に係る事務
② 申請または届出に基づくものであつても法令等(重要な要綱を含む。)に基づかない事務
③ 職員に係るものおよび県行政運営上の内部的処理に係る事務
④ 県立の学校等の教育訓練施設の学生および福祉施設の収容者(児)に係る事務
⑤ 不服審査に係る裁定、決定の事務
(3) 他官庁との協議、照会に要する日数、審議会等への付義に要する日数については処理日数に算入しないものであること。
この場合、他官庁とは、知事の事務部局以外の官庁をいい、国、市町村はもとより県の教育委員会、公安委員会等を含むものであること。
(4) 現行の規程と同様、異例な事務処理を必要とし、この規程による処理日数を7日以上超えるものについては、その旨および理由を申請者に文書等により通知しなければならないものであること。
4 その他(略)
第3 滋賀県事務決裁規程の運用にあたつての留意事項
滋賀県事務決裁規程(以下「規程」という。)は、知事部局に属する本庁および地方機関を対象とし、知事の権限に属する事務および法令の規定または知事からの委任により地方機関の長の権限に属する事務の決裁について、他に特別の定めがあるものを除きすべて適用されるものであること。
また、本庁各課(室)または各地方機関において所掌する事務のうちその内容が共通であるものおよび性質が同種であるものを「共通決裁事項」とし、本庁各課(室)または地方機関に独自の専属的事務を「個別決裁事項」としてそれぞれの決裁区分を分けて規定していること。
さらに、類推規定(第6条)を設けているので、特に規定がないものについては、事務を比較考慮し、類似の事務に準じて処理することができること。
なお、各条の運用にあたつて特に留意すべき事項は次のとおりである。
1 第1条(趣旨)関係
この場合、「その他法令」により地方機関の長の権限に属する事務とされているものの例は次のとおりである。
第3条……地方機関の長
第4条……県事務所長、県税事務所長、自動車税事務所長
ウ 生活保護法(昭和25年法律第144号)
第29条……福祉事務所長
エ 児童福祉法(昭和22年法律第164号)
第25条の2……福祉事務所長
第26条……児童相談所長
2 第2条(用語の意義)関係
第3号に規定する「不在」とは、出張、休暇その他の事由により決裁することができない状態を指し、「事故あるとき」とは、長期療養または海外旅行等の場合を指すものであること。
3 第3条(本庁における決裁)関係
(1) 課長補佐および係長の専決事項は、本来課長の決裁であるもののうち、定例定型的な事務でかつ裁量の余地の少い軽易な事務について委譲しようとするものであり、安易な運用とならないよう願いたい。
おつて、その処理状況については絶えず課長に報告することを義務づけられたいこと。
(2) 主監および技監が置かれている場合にあつては、当該部の次長の決裁事項とされるもののうち、あらかじめ知事の承認を得た事項の決裁にあたるものであること。(第3条)
(3) 決裁権限の区分は概ね次の基準によつたこと。
ア 知事
県行政の基本方針および重要事務の基本的事項の処理に当たるものであること。
イ 副知事
知事の処理すべき事務のうち、主として調整的事項の処理に当たるものであること。
ウ 部長
部所営事務の執行方針および基本事項の処理に当たるものであること。
エ 次長
部長の処理すべき事務のうち、主として部内の連絡調整的な事項の処理に当たるものであること。
オ 課長
課事務の処理方針および所管事務の定例的、一般的事項の処理に当たるものであること。
カ 課長補佐
課内事務の連絡調整および内部管理事務で、定例的かつ軽易なものの処理に当305Fるものであること。
キ 係長
定例、定型的事項で裁量の余地がない軽易なものの処理に当たるものであること。
4 第4条(地方機関における決裁)関係
地方機関において決裁できる者は、原則的には機関の長であるが、県事務所および福祉事務所(湖南福祉事務所を除く。)にあつては、副所長、次長および課長、短期大学にあつては局長、学生部長、館長、園長および事務長、成人病センターにあつては次長、事務局長、健康管理局長および病院長の職にある者についても組織の特殊性から専決することができるよう措置されていること。
5 第7条(専決の制限)関係
6 第8条(専決の報告)関係
専決制度は、事務処理の迅速化を図るため、決裁権限を下部委譲されるものであり、専決権限が与えられた事項については、決裁権者が責任をもつて処理しなければならないのは当然であるが、行政事務の適正かつ効果的な運営を確保するため、事案の内容により上司へ報告し、または指示を仰ぐ等独断専行に陥らぬよう努めなければならないこと。
7 第9条(代決)関係
代決は、決裁者が単に不在であるということから、直ちに認められるものではなく、事務処理の緊急性と不在の期間および状態を考慮し、事務処理の時期を失することにより支障を生ずるおそれがある場合に限つて認められるものであること。
したがつて、起案者は決裁権者の不在が予想され、代決を必要とするものがある場合には、事前に決裁権者の適切な指示を受ける等の措置を講じること。
なお、第2次代決は緊急やむを得ない場合に限り認められるものであり、権限の行使に当つては十分留意すること。
8 第12条(合議)関係
(2) 合議の方法等については、滋賀県文書管理規程の定めるところにより行うものであること。
9 別表第1(共通決裁事項)関係
本表は、各課(所)に共通する事務の決裁区分を示すものであり、別表第2に掲げる個別決裁事項についての決裁基準の明示をするとともに事務項目の補完をするものであること。
なお、本表の事項中、表現方法として「重要」または「軽易」とされている事項があるが、この場合、個々の事務の内容、他の専決事項との均衡を考慮して判断することとするが、「重要」の判断の基準としては、概ね次の事項を参考とすること。
・ 裁量の幅が大きな事項
・ 取扱上、異例または特例な事項
・ その他事務内容が重要事項と認められるもの
(1) 本庁共通決裁事項関係
① 次の事項については、各課での重複を避けるため、別表第1((1) 本庁共通決裁事項)によつて包括的に記載し、各課での記載を省略することとしたので、決裁区分は本表によつて判断すること。
ア 条例、規則等に関する事務(共通「2」)
イ 公益法人に関する事務(共通「4」)
ウ 争訟等に関する事務(共通「6」)
エ 行政代執行に関する事務(共通「7」)
オ 組織および人事管理に関する事務(共通「16」)
カ 工事の執行に関する事務(共通「17」)
キ 補助金等の申請に関する事務(共通「18」)
ク 補助金等の交付に関する事務(共通「19」)
ケ 予算経理に関する事務(共通「22」)
② 「15 付属機関および内部協議機関等に関する事務」において「付属機関」とは、地方自治法第202条の3の規定により法令または条例に基づき設置されている審議会、審査会等を示し、「内部協議機関等」とは、訓令、要綱等に基づき内部職員で構成する本部、協議会、審査会等を示すほか、上記付属機関以外の訓令、要綱等に基づき設置されている協議会、委員会等をも含まれるものであること。
③ 「17 工事の執行に関する事務」のうち、「1 事業要望地区(事業施行箇所)の選定(決定)」とは、工事の起工決定に先だつて行われる事業の箇所決定、または地元、市町村等からの事業要望地区についての県としての意思決定をする場合をいうものであること。
「主要事業」とは、県行政の施策運営上の必要性から知事の決裁を得る必要があるもの、または特に知事に協議するものとして、あらかじめ指定されたものをいうものであること。
「4 工事の起工の決定」には、予定価格の決定を含むものであること。
④ 「19 補助金等の交付に関する事務」のうち、「1 補助金の交付に係る事案の決定」とは、補助金の配分の決定および交付内示(割当)のほか、地方機関の長に権限委譲されている補助金の枠配分の決定をも含むものであること。
「重要なもの」とは、県行政の施策運営上の必要性から知事に決裁を得る必要があるもの、または特に知事に協議するものとして、あらかじめ指定されたものをいうものであること。
(2) 地方機関共通決裁事項関係
① 各地方機関が共通的に処理すべき文書取扱、職員管理、給与事務および工事の執行等の事務を各機関ごとに記載することを省略し、一元的に記載したものであること。
② 地方機関の長の年次休暇の届出の受理等の服務関係については、「あらかじめ知事の承認を受けなければならない。」こととなつているが、「本庁共通決裁事項16の27の(3)」の示すとおり本庁主務部の次長の決裁事項であること。
③ 地方機関の長の県外旅行については、「あらかじめ知事の承認を受けなければならない。」こととなつているが、「本庁共通決裁事項16の19」の示すとおり本庁主務部の次長の決裁事項であること。
④ 県営工事の検査(中間検査、しゆん工検査)権限については、従来工事の執行権限と異つていたが、今回の改正(地方機関共通決裁事項「44」)により同一の権限となつたこと。
(3) 収支に関する決裁事項関係
① 「ア 収入を伴う事務」および「イ 契約の締結その他支出を伴う事務」の決裁権者欄中、「○」で示した事項については、当該決権者の決裁事項を示すものであること。
② 「イ 契約の締結その他支出を伴う事務」の表中、「工事請負費」に係る「軽微な変更」とは、設計の変更に係る金額が、当初設計金額(原設計工費)の100分の10以内でかつ2,000万円未満のもの、または当初の設計金額に変更を生じないものであること。
10 別表第2(個別決裁事項)関係
(1) 本庁各課(室)および各地方機関の専属的事務(個別事項)の決裁区分を定めたものであること。
(2) 事務の種類欄中、「所管地方機関の運営管理に関する事務」については、地方機関の運営管理に係る事務は当該地方機関の長が処理すべきことを示したものであること。
(3) 決裁欄に示す記号の意義は、次のとおりであること。
(直)……地方機関の長に専決または委任されている事項で、本庁直轄地に係るものを示す。
(委)……滋賀県事務委任規則等に基づく委任事項であることを示す。
なお、所次長および所課長の欄に(委)と表示されたものは、当該地方機関の長に委任された事務を下位の決裁者が専決により処理することを示したものであること。
11 その他留意すべき事項
(1) 管理監督者は、行政事務の適正かつ迅速な処理のため、常にリーダーシツプを発揮し、良好な行政運営のため部下職員に対し適切な指導、助言と必要な処理方針を的確に示さねばならないこと。
(2) 重要な事案の処理にあたつては、起案者は事前に上司に処理方針を伺い、または関係部課等と連絡に努めることとし、的確で迅速な決裁が得られるよう心掛けねばならないこと。
(3) 合議は、事務の連絡統一を図るうえにおいて重要であるが、決裁事務を迅速かつ能率的に行うためには、合議範囲は特に必要なものだけに限定し、その他については、事前連絡、打合せ、文書の交付等により行うよう留意すること。
(5) この規程は、昭和55年4月1日から施行されるが、新しく地方機関の長または市町村長に権限が委譲される事務については、当該機関に対して処理手続き、方法等の必要な指導を行うほか、処理機関の変更について関係者に対して周知徹底を図るとともに、施行日以後においても適正な処理が確保されるよう万全の措置を講じること。
なお、施行日からは新しい決裁権者に権限が移ることとなるため、既に受け付けた事務は、施行日前日までに処理が完了するよう努めるほか、やむを得ない事情によりその事務を引継ぐこととなる場合は、十分な連けいを図つてその処理に遺憾のないようされたいこと。
(6) 法令および組織の改廃、社会経済情勢の変化による事務の重要度、困難度の変化等に対応して、適切な改正を加え、本規程制定の目的が達成されるよう不断の見直し点検を講ぜられたいこと。