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小児整形外科に関するあらゆる疾患を総合的に治療いたします。チーム医療をモットーにしていますが、スタッフがそれぞれ精通する分野を重点的に分担することにより、小児整形外科全般をカバーできる体制にあります。症例に対しては患者様本位の視点に立つことを基本として、最新のエビデンスに基づく、またスタッフ全員の検討により治療方針を決定する過程を重視しています。
診療は一般的な外傷やスポーツ障害のほかに、股関節疾患(股関節脱臼・ペルテス病・辷り症等)、足部・下肢疾患(先天性奇形、内反足、脚長不等)、脊椎疾患(側彎症)、神経疾患(脳性麻痺・二分脊椎・筋ジストロフィー症等)、難病(骨形成不全症、多発性関節拘縮症等)に関する高度の専門的治療の診療を行っています。
手術件数(平成26年度:443件、平成27年度:451件、平成28年度:407件)は全国の他の小児病院と比較してもトップレベルにあり、渉猟しえた範囲では最多数であると思われます。紹介患者様はインターネットなどを通じて県内のみならず全国からも多く訪れていただいています。
先天性内反足に対してはPonseti法に基づく保存的矯正を基本とした2003年以後治療成績が向上しました。何らかの病気に伴う症候性内反足や遺残した内反変形にはアキレス腱延長術より後方解離、距骨下全周解離に至るまで、変形の重症度に応じた術式を採用しています。O脚など下肢のアライメントの問題に対しては、年齢や病態に応じて、プレートによる骨端抑制術(エイトプレート)や創外固定を用いた矯正を行っています。
小児に多い肘周辺の骨折の正確な診断と適切な治療を心がけています。また、先天奇形や腱損傷などにもマイクロサージェリーやイリザロフ創外固定器を用いて積極的に治療しています。
イリザロフ創外固定器を用いた脚延長術・矯正手術を基本的に行っています。軟骨無形成症などの骨系統疾患による低身長の治療に関しては、30年近い実績があります。複雑な変形の症例に対しては、テイラーフレームによる変形矯正を行っています。
思春期特発性側彎症のほか、神経筋疾患の側彎症手術も麻酔科・小児科との緊密な協力のもと積極的に治療を行っています。また低年齢発症(5歳未満)の重度側彎症の症例が増加する傾向にあり、低年齢対象の側彎手術(グローイングロッドシステム)も多く経験しています。
四肢骨折の予防、骨折後の変形矯正の目的で上肢・下肢すべてにわたって髄内釘を用いた治療を積極的に行っています。
脳性麻痺に対しては従来の下肢筋解離術、骨盤周辺の骨切り術に加え、適応を十分考慮した上肢の筋解離術も行っています。またボツリヌス毒素を応用したボトックスによる筋緊張の緩和も多く行っています。痙縮に対しては、バクロフェン髄腔内投与療法(ITB療法)を積極的に導入しています。また、二分脊椎症の患者様が合併しやすい麻痺性股関節脱臼・側彎症・足部変形に対しては、治療によるメリットがあると判断した場合は、可能な限り積極的に治療に取り組んでいます。
膝関節障害、肘・手関節障害にはなるべく関節鏡視下による侵襲の少ない治療法を選択し、早期のスポーツ復帰を心がけています。
四肢骨・関節の高度な変形に対しては、3Dプリンターにより作成した模型を用いて、詳細な術前計画を立てて治療を行います。
当センターの前身が1.滋賀整肢園→2.滋賀県立小児整形外科センターであることからもわかるように、当科は小児整形外科に対して半世紀以上の間取り組んできました。優れた先達の功績もあり、現在小児整形外科スタッフ数・手術件数は本邦ではNo.1だと思われます。
当科の特徴は、ほぼあらゆる小児整形の疾患に対応できる点です。これは、リハビリ・看護部・放射線科・麻酔科・小児科など他の部門との緊密な連携と強力なバックアップに支えられている点も大きいと考えています。また、養護学校が隣接しており大切な学業もしっかりしていただける環境にあります。
当科が特に力を入れている分野は以下のごとくです
脳性麻痺に対する治療は小児科・リハビリテーションと共同して集学的な取り組みを重要視しています。また、二分脊椎症 骨形成不全症 骨系統疾患(軟骨無形成症など)へも積極的に治療を行っています。