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B-24-11-1 IL-33で活性化された好塩基球がTh2細胞の肺への進入を調節することにより喘息を促進する⇒好塩基球がゲートキーパーにSchuijs MJ et al. Interleukin-33-activated basophils promote asthma by regulating Th2 cell entry into lung tissue. J Exp Med 2024; 221: e20240103. ★
マウス喘息モデルを用いた解析により、IL-33で活性化された好塩基球がアレルゲン刺激によるTh2細胞の肺への移動を制御することにより、アレルギー性気道炎症を促進することを示した。
B-24-11-2 アレルギー性気道炎症においてアンドロゲンは、グルタミン分解を制限することで、性依存性Th17代謝を抑制する⇒女性で喘息が悪化する理由Chowdhury NU et al. Androgen signaling restricts glutaminolysis to drive sex-specific Th17 metabolism in allergic airway inflammation. J Clin Invest 2024; 134: e177242. ★
Th17誘導性の喘息は女性に多いことが知られているが、その理由は不明であった。本研究では、女性におけるTh17活性化はグルタミン代謝に依存しており、男性ホルモンであるアンドロゲンはグルタミントランスポーター発現を抑制することによりグルタミン代謝を低下させることで、Th17活性化を抑えていた。女性においてTh17依存性喘息が悪化する説明となる。
B-24-11-3 ヒト化マウスにおいて、Lactobacilli、bifidobacteria、及び酪酸によるアレルギー性気道及び消化管炎症の予防⇒腸内細菌の効果をマウス実験で示すKhatri R et al. Prevention of allergic airway and gut inflammation in humanized mice by lactobacilli, bifidobacteria, and butyrate. Allergy 2024; 3150-53. ★★
ヒト化マウスモデルを用いて、プロバイオティクス(BactoFlor® 10/20)や短鎖脂肪酸(酪酸)がアレルギー性炎症を予防する効果を検討。免疫不全マウスに重度のアレルギー患者由来の免疫細胞を移植し、アレルゲンを投与後、これらを経口的に投与した。その結果、腸および肺の炎症が顕著に抑制され、特に腸のバリア機能の回復や炎症関連細胞の減少が観察された。さらに、制御性T細胞の移動が促進され、これが効果の重要な要因であることが示唆された。この研究は、プロバイオティクスやその代謝産物がアレルギー治療の補助として有望であることを示すもので、他の炎症性疾患への応用可能性も示唆される。
B-24-11-4 腸内細菌叢の乱れは、ILC2-B1細胞-内因性IgE産生の枢軸形成を通じて、長期にわたるアレルギー素因を促す⇒生直後の乱れが一生涯影響Kabil A et al. Microbial intestinal dysbiosis drives long-term allergic susceptibility by sculpting an ILC2-B1 cell-innate IgE axis. J Allergy Clin Immunol 2024; 154: 1260-76. ★★
正常マウスに生後早期からバンコマイシンを投与して短鎖脂肪酸(SCFA)産生性腸内細菌を減少させると、ILC2、Th2サイトカイン、B1細胞などが上昇し、IgE産生亢進が起こった。このマウスにSCFA(特に酪酸)を補充すると、これらのアレルギー性のフェノタイプは正常化した。
B-24-10-1 γδT細胞‐IL-3枢軸が感覚神経を介してアレルギー反応を制御する⇒痒みがアレルギー反応を亢進させる仕組みFlayer CH et al. Nature 2024; 634: 440-446. ★★★
δ T細胞とIL-3のシグナル伝達経路が、感覚神経を通じてアレルギー反応を制御する仕組みを明らかにした。皮膚のGD3細胞と呼ばれるγδ T細胞のサブセットが、IL-3を産生してアレルギーで誘発される痒みを促進し、アレルギー免疫応答を開始させることが示された。IL-3は、感覚神経のIL-3受容体を介してJAK2およびSTAT5経路を活性化し、神経のアレルゲン応答を高める。この機構により、感覚神経はアレルゲンの検出閾値を低下させ、初期アレルギー免疫応答が誘導される。GD3細胞とIL-3経路の解明により、アレルギー疾患の治療やアレルギー感受性の個人差の理解が深まることが期待される。
B-24-10-2 局所的に産生されるIL-2がIL-10と共同で吸入アレルゲンに反応した肺でのTh2細胞の遊走を促進する⇒肺でのTh2分化誘導のメカニズムに迫るHe K et al. Spatial microniches of IL-2 combine with IL-10 to drive lung migratory Th2 cells in response to inhaled allergen. Nat Immunol 2024; 25: 2124-39. ★★★
吸入アレルゲンに対する免疫反応において、肺へ移動するTH2細胞を誘導する分子的メカニズムは不明であった。著者らは、家ダニアレルゲン特異的T細胞に対する時空間的な単一細胞トランスクリプトミクス解析を用いて、TH2細胞の分化と肺への移動における重要な因子を明らかにした。TH2細胞の早期分化には転写抑制因子Blimp-1の発現が必要であり、Blimp-1が欠損すると肺内でのTH2細胞が生成されないこと、またIL-2/STAT5シグナルとアレルゲン特異的T細胞からのIL-10がBlimp-1とGATA3の発現を促進し、TH2細胞の肺への移行を助けることが示された。さらに、リンパ節内のIL-2の局所的マイクロニッチがBlimp-1陽性TH2細胞の形成に重要であることが示唆され、これがアレルギー性喘息の初期段階でのTH2細胞誘導に寄与していると考えられた。
B-24-9-1 IL-33によって活性化された好塩基球が肺組織へのTh2細胞流入を調節することで喘息を促進する⇒IL-33で刺激された好塩基球の新たな役割Schuijs MJ et al. Interleukin-33-activated basophils promote asthma by regulating Th2 cell entry into lung tissue. J Exp Med 2024; 221: e20240103. ★★
マウスモデルを用いて、IgEではなくIL-33で刺激された好塩基球がIL-4産生を通じてTh2反応を増強し、気道炎症を引き起こすことを示した。
B-24-7-1 脳幹部のDbh陽性ニューロンがアレルゲンによる気道過敏性を調整する⇒気道過敏性への道筋Su Y et al. Brainstem Dbh+ neurons control allergen-induced airway hyperreactivity. Nature 2024; 631: 601-609. ★★★
マウス喘息モデルの解析を通じて、気道へのアレルゲン曝露がマスト細胞、IL-4、迷走神経などを通じて孤束ニューロンを刺激することを示した。さらに、Dbh陽性孤束ニューロンがノルアドレナリンを介して疑核ニューロンを刺激することで気道過敏性が亢進することを示した。気道過敏性を抑制するための神経調節機構の治療ターゲットとなる可能性。
B-24-6-1 マスト細胞はプロスタグランジンE2によって誘導される可溶性ST2を通じて肺の2型炎症を制御する⇒マスト細胞は2つの顔を持つAlhallak K et al. Mast cells control lung type 2 inflammation via prostaglandin E2-driven soluble ST2. Immunity 2024: 57: 1274-1288. ★★★
マスト細胞はアレルギー反応の要となる細胞と思われているが、本研究では逆の側面を持つことが示された。マウス実験の解析から、アレルギー性気道炎症で上皮細胞から分泌されるプロスタグランジンE2が特定のマスト細胞を刺激して可溶性ST2(デコイIL33受容体)の分泌を亢進させ、IL-33の効果を抑えることでTh2反応を抑制した。
B-24-6-2 GATA3遺伝子の離れたエンハンサー領域がTh2分化とアレルギー性炎症を制御している⇒喘息関連SNPの機能が明らかにKumagai T et al. A distal enhancer of GATA3 regulates Th2 differentiation and allergic inflammation. PNAS 2024; 121: e2320727121. ★★
喘息関連のSNPとして知られるGATA3遺伝子から926~970kb下流にある領域(hG900)の機能を、ヒト検体やマウス実験で検討。本領域がTh2分化やアレルギー性気道炎症にとって重要な役割をしていることを示した。