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最新の文献から【臨床的研究】

C-25-1-9 母のアレルギー予防食インデックス、こどもの乳児食多様性と小児アレルギー疾患➔母とこどもの食生活がその後のアレルギーに影響Venter C et al. Maternal allergy-preventive diet index, offspring infant diet diversity, and childhood allergic diseases. Allergy 2024; 79: 3475-3488.

 

C-25-1-10 実験的アレルギー性腸炎においてメタボロームやミクロビオームに与える高IgEレベルの影響➔IgEが腸内環境を変えるZubeldia-Varela E et al. The impact of high-IgE levels on metabolome and microbiome in experimental allergic enteritis. Allergy 2024; 79: 3430-3447. ★★

マウス実験を通じて、高IgEレベルの個体では、通常IgEレベルの個体と比べて、アレルギー性腸炎における血中代謝物や腸内細菌叢の変化が生じ、腸炎症の程度も上がるこおを示した。

 

C-25-1-11 小児期における鶏卵感作の経過:アジアとヨーロッパの2つの出生コホート➡皮膚バリアが長引く鶏卵アレルギーと関連?Nakamura T et al. Trajectories of egg sensitization in childhood: Two birth cohorts in Asia and Europe. Allergy 2025; 80: 193-204. ★★★

千葉とイギリスの出生コホートを用いて、鶏卵アレルギーの経過と、皮膚バリア機能に影響するフィラグリン遺伝子変異との関連を検討。鶏卵アレルギーの経過は、継続、早期発症寛解、非または低感作、の3群に分かれ、フィラグリンの機能低下型変異が鶏卵アレルギー継続と関連していた。

 

C-25-1-12 BEEP試験コホートにおける牛乳アレルギー過剰診断の頻度とリスク因子➡“なんちゃって”牛乳アレルギーに注意Allen HI et al. Prevalence and risk factors for milk allergy overdiagnosis in the BEEP trial cohort. Allergy 2025; 80: 148-160. ★★

イギリスで生まれた乳児1394人を対象としたBEEP試験のデータを分析し、牛乳アレルギー(CMA)の過剰診断の実態とリスク因子を明らかにした。正式にCMAと診断されたのは1.4%に過ぎなかったが、16.1%が親による牛乳過敏症の報告、11.3%が医療記録上の牛乳過敏症、8.7%が低アレルギー粉ミルクの処方を受けていた。過剰診断のリスク因子として、前年の低アレルギー粉ミルクの高処方率や母体の抗生剤使用歴が関連し、完全ミルク育児は低アレルギー粉ミルクの処方増加と関連していた。

 

C-25-1-13 牛乳アレルギー児において、乳加工品の摂取はQOLと成長の改善に結び付く➡まず加工品からWong LSY et al. Baked milk diet is associated with improved quality of life and growth parameters in milk-allergic children. Allergy 2025; 80: 323-326.

マフィンのような充分加熱処理した乳加工品から段階的に解除を始めた136名の牛乳アレルギー児について、3年間追跡してQOLや成長をチェック。除去児と比べ、いずれも改善していた。

 

C-25-1-14 小児食物アレルギーの診断のためのダブルブラインド法とオープンチャレンジ法の比較:ALDORADO研究➡4歳以上では同等の結果de Weger WW et al. Comparison of double-blind and open food challenges for the diagnosis of food allergy in childhood: the ALDORADO study. Allergy 2025; 80: 248-257. ★★

食物アレルギー診断のゴールデンスタンダードとされるダブルブラインド法とより簡便なオープンチャレンジ法による食物経口負荷試験の結果を、63名の4歳以上で、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、またはピーナッツアレルギー児を対象に比較。結果は同等であった。

 

C-25-1-15 実臨床におけるアレルギー反応の重症度は誘発閾値とは無関係である➡実臨床のリアルPiletta-Zanin A et al. The severity of allergic reactions in a real-world environment is independent of the eliciting amounts of foods. Allergy 2025; 80: 238-247. ★★

147名の誤食事故を起こした食物アレルギー患者を対象に、摂取量と誘発症状の重症度を比較したところ、相関はなく、個別の感受性が重要であった。

 

C-25-1-16 ピーナッツアレルギー児におけるデュピルマブの有効性と安全性:多施設、オープンラベル、第2相試験➡ピーナッツアレルギーには著効せずSindher SB et al. Efficacy and safety of dupilumab in children with peanut allergy: a multicenter, open-label, phase II study. Allergy 2025; 80: 227-237.

24名のピーナッツアレルギー患者を対象に、デュピルマブ投与の有効性を検討。負荷試験における脱感作を誘導する効果は見られなかった。

 

C-25-1-17 実臨床における乳幼児に対するピーナッツ、木の実、ゴマ経口免疫療法の安全性と実行可能性➡乳幼児にも安全に実施できるHuang J et al. Safety and feasibility of peanut, tree nut, and sesame oral immunotherapy in infants and toddlers in a real-world setting. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 185-91. ★★

生後24か月以内のピーナッツ、木の実またはゴマアレルギー児52名を対象に、実臨床で市販品を用いて行った経口免疫療法の結果を後方視的に分析。概ね安全に自宅増量が可能であった。

 

C-25-1-18 生後10年間の大気汚染が継続するピーナッツアレルギーと関連している➡大気の汚れが食物アレルギーを誘発?Lopez DJ et al. Air pollution is associated with persistent peanut allergy in the first 10 years. J Allergy Clin Immunol 2024; 154: 1489-99. ★★

HealthNuts出生コホートを対象にした調査で、生後早期に大気汚染(PM2.5、NO2など)曝露量が多いとピーナッツアレルギーが継続するリスクが高まった。湿疹や鶏卵アレルギーとの関連は僅かであった。

 

C-25-1-19 Dartmouth Spoon Sheets(DSS)を用いて微量摂取を行う自宅での多項目経口免疫療法➡自宅増量のすすめHughes S et al. Home multifood oral immunotherapy microdosing with Dartmouth Spoon Sheets. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 244-246. ★★

食物アレルギー患者に対する在宅多品目経口免疫療法(OIT)の有効性と安全性を検討した。Dartmouth Healthでは、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、クリニックでの用量増加を省略し、Dartmouth Spoon Sheets(DSS)を用いた在宅での漸増法を導入した。患者は微量スプーンを用い、理論的な測定誤差範囲内(最大10%)の増量を行い、6~8週間ごとに遠隔診療で評価を受けた。最初の100名の患者(平均年齢4.31歳)のデータ分析では、59%が重大な副作用を経験せず、重篤なアナフィラキシーの報告はなかった。91%の親が治療により安心感が向上したと回答し、97%がDSS OITを推奨すると述べた。本手法は従来のOITに比べ、より安全で費用対効果が高く、遠隔地の患者にも適用可能であることが示唆された。長期的な有効性の評価が今後の課題である。

 

 

 

C-25-1-20 小児の摂食行動の変化:食物アレルギーの隠れた臨床的合併症➡食物アレルギーは摂食行動にも影響Park J et al. Alterations in child feeding behavior: an underrecognized clinical complication of food allergy. J Allergy Clin Immunol Pract 2025; 13: 176-84. ★★

食物アレルギー(FA)が小児の摂食行動に及ぼす影響を検討した。FAは成長や心理社会的機能に悪影響を及ぼすが、その摂食困難との関連は十分に理解されていない。本研究は、親が報告したIgE介在性FAおよび小児摂食障害(PFD)のある子ども352名を対象に、健常児と比較するマッチドコホート研究を実施した。Pediatric Eating Assessment Toolを用いた評価の結果、FA児は健常児に比べて有意に高い摂食問題を示し、特にPFDを併存する場合、その傾向はさらに顕著であった。FA児の摂食問題に関連する要因として、高年齢、非白人の人種、高い医療併存症、および食事の多様性の制限が特定された。本研究は、FA管理において摂食問題への包括的なアプローチと多職種連携の重要性を強調している。

 

C-25-1-21 健常児および調理卵に自然耐性を獲得した鶏卵アレルギー児における鶏卵アレルゲン特異的T細胞とサイトカインの反応➔非アレルギー児と耐性獲得児の違いDe Vlieger L et al. Egg allergen-specific T-cell and cytokine responses in healthy and egg-allergic children naturally tolerating baked egg. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70018.

自然経過で調理卵への耐性を獲得した卵アレルギー児70名(BET群)と非アレルギー対照児15名(NEA群)で、卵特異的T細胞の反応を比較。BET群では卵特異的Th2反応が残存していた。また、卵特異的Tr1細胞は、IL-10発現がより高く、ICOS発現がより低い傾向にあった。

 

C-25-1-22 魚摂取量の多い集団における母の魚摂取及び不飽和脂肪酸濃度と児の喘息の関連➔予防効果見られずHenry CO et al. Associations between maternal fish intake and polyunsaturated fatty acid status with childhood asthma in a high fish-eating population. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70019.

魚摂取量の多い地域において、母の魚摂取が児のアレルギーを予防するかを見るために、妊娠中の母親の魚摂取や血中不飽和脂肪酸濃度と児の7歳時点での喘息有症率を検討。両者の関連性はなかった。逆に、臍帯血中DHA濃度が喘息有症率の正の相関を示した。

 

C-25-1-23 牛乳経口免疫療法を行なっている小児患者におけるアナフィラキシーの管理➔自宅でも安全に対応可能Buyansky D et al. Anaphylaxis management in paediatric patients undergoing milk oral immunotherapy. Clin Exp Allergy 2025; 55: 94-96. ★★

牛乳経口免疫療法(OIT)を受ける小児患者におけるアナフィラキシーの管理について検討。2014年から2023年の間に、カナダの3つの小児病院でOITを受けた27名の患者(中央値年齢12歳、92.6%が喘息を有する)を対象とした。60件のアナフィラキシー反応が記録され、63.3%が救急外来(ED)を受診した。特に増量期に反応が多発し(68.3%)、71.7%が中等度、8.3%が重症だった。全例が筋注エピネフリンを使用し、ED受診群よりも自宅管理群で事前のエピネフリン使用率が高かった(100% vs. 68.4%, p = 0.01)。本研究は、適切なエピネフリン使用により自宅管理が可能である可能性を示唆し、EDへの一律搬送を見直すべきか検討する必要があると結論づけた。

 

C-25-1-24 補完食(離乳食)の多様性と早期の食物アレルギーリスク➡何でも食べて食物アレルギー予防Boden S et al. Diversity of complementary diet and early food allergy risk. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70035. ★★

2060名の出生コホートを対象に、生後6か月、9か月の食事の多様性と生後18か月までの食物アレルギー発症との関連を調査。生後9か月時点で多様な食事を摂取していると、生後18か月時点での食物アレルギー発症が抑制される可能性が示唆された。生後6か月時点の多様性とは関連しなかった。また湿疹のある児において最も有効であった。

 

C-25-1-25 鶏卵アレルギーに対する低用量に引き続く通常量の経口免疫療法の長期経過➡ちょっとずつでも食べていこうTakahashi K et al. Long-term outcomes of low-dose followed by conventional oral immunotherapy for egg allergy. Pediatr Allergy Immunol 2025; 36: e70027. ★★

低用量経口免疫療法(OIT)に続く通常OITの長期的有効性を評価するため、8年間の追跡調査を行った。対象は、194mg以下の卵タンパクで即時症状を示す小児で、初期低用量OIT後に通常OITへ移行した21名。治療により、3100mgの短期耐性(STU)獲得率は年々増加し、8年後には71%が達成した。また、29%が6200mgのSTUを獲得。副反応発生率は4.9%(28,099回中1,370回)で、アナフィラキシーは極めて稀(0.004%)だった。卵白およびオボムコイド特異的IgE濃度はそれぞれ89%、93%減少し、有意な免疫学的変化が認められた。本研究は、低用量OITを基盤とした治療が高リスク患者にも有効であり、安全性を維持しつつ長期的な寛解を促進する可能性を示唆する。

 

C-25-1-1 母親のアレルギー予防食指標、出生児の食事多様性、そして小児期のアレルギー疾患➡ともに関連Venter C et al. Maternal allergy-preventive diet index, offspring infant diet diversity, and childhood allergic diseases. Allergy 2024; 79: 3475-3488. ★★

出生前コホートを対象として、妊娠中の母親のアレルギー予防食指標と、出生児の1歳時点での食事の多様性が、その後1~5歳までの児のアレルギー発症と関連していることを示した。

 

C-25-1-2 好酸球優位の重症喘息における年2回のデペモキマブ投与の効果➡年2回で効くJackson DJ et al. Twice-yearly depemokimab in severe asthma with an eosinophilic phenotype. N Engl J Med 2024; 391: 2337-49. ★★

デペモキマブは超長期的に生物学的効果を有する抗IL-5抗体である。好酸球優位で中等量または高容量吸入ステロイドでも改善しない重症喘息患者に対するデペモキマブの年2回投与の効果を検証。プラセボ投与と比較して、年間の増悪回数を有意に減少させた。

 

C-25-1-3 家庭で誘発歴のあるピーナッツ感作された乳児に対するピーナッツ摂取の導入➡感作されていても食べさせてみようVerhoeven KHJ et al. Successful introduction of peanut in sensitized infants with reported reactions at home. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 3363-9. ★★

ピーナッツ早期摂取を勧められたハイリスク乳児のうち、自宅で誘発があったと報告された186名を対象に、皮膚プリックテストと病院での経口負荷試験を施行。69%がプリックテスト陽性であった一方、経口負荷試験を実施した163名中120名は陰性であった。そのうち、96%は継続してピーナッツ摂取可能であった。

 

C-25-1-4 健康成人を対象としたアドレナリン鼻腔スプレーとアドレナリン自己筋肉注射薬の薬物動態、薬力学の比較➡筋注より鼻腔投与のほうが有用? Greenhawt M et al. Pharmacokinetic and pharmacodynamics profile of epinephrine nasal spray versus intramuscular epinephrine autoinjector in healthy adults. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 3274-82. ★★★

健康成人を対象に、アドレナリン13.2mg鼻腔投与(左右1噴霧ずつ、または同側に2噴霧)と0.3mg筋注とで血中濃度や薬物動態などを比較。鼻腔投与のほうがより高い血中濃度に達し、より血中濃度が維持された。心臓や血圧への薬理作用は同等であった。

 

C-25-1-5 加熱牛乳製品、鶏卵製品の経口負荷試験成功後の長期経過➡必ずしも安全を保障しないFaitelson Y et al. Long-term outcomes of baked milk and baked egg consumption after a successful oral food challenge. J Allergy Clin Immuno Pract 2024; 12: 3448-3451. ★★

加熱乳製品および加熱卵製品に対する経口負荷試験(OFC)に成功した小児の長期的な摂取継続と安全性を検討。調査対象は151人の子どもで、123人が加熱乳、28人が加熱卵のOFCに成功した。その後、加熱乳では45%、加熱卵では25%が摂取を完全に中止しており、その主因は家庭でのアレルギー反応でした。特に加熱乳の場合、高年齢でのOFCが摂取中止と関連し、喘息歴も加熱卵の摂取回避に関連した。これらの結果は、OFC成功が必ずしも安全な家庭摂取を保証しないことを示唆している。一方で、若年時の早期導入がアレルギー管理の改善に寄与する可能性が示されましたが、さらなる前向き研究が必要です。

 

C-25-1-6 アドレナリン自己注射薬の中に含まれるアドレナリンの実生活における劣化の程度:一施設における12か月間の前方視的観察➡1年たっても効力は充分ありLacwik P et al. Real-life degradation of epinephrine in adrenaline autoinjectors: a single-center, 12-month prospective observation. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 3423-3425.

アナフィラキシーリスク患者を対象に、アドレナリン自己注射薬(EpiPen)の実生活環境下での薬剤劣化を12か月間前向きに観察。適切な保管および携帯方法について指導を受けた80名の患者を対象に、期限内のアドレナリン濃度の変化を高性能液体クロマトグラフィーで評価した結果、平均濃度は94.53%を維持し、FDA基準の90%を下回らなかった。教育が薬剤安定性に影響する可能性が示唆される一方、実生活条件下でも自己注射器の有効性が維持されることが明らかとなり、使用期限延長の可能性が示された。

 

C-25-1-7 血清ビタミンD低値が1歳時点での卵白感作と関連する➡乳児期のビタミンD不足がアレルギーの引き金に? Yamaide F et al. Low serum vitamin D is associated with egg white sensitization at age 1 year. Pediatr Allergy Immunol 2024; 35: e70021. ★★

253名のアレルギーハイリスク母子ペアを対象に、母、臍帯、1歳時点の児自身の3種類の血液検体についてビタミンDレベルを測定して、1歳時点でのアレルゲン感作との関連を検討。アトピー性皮膚炎の有無に関わらず、1歳時点の血中ビタミンDレベルが低いと卵白アレルゲン感作率が高い傾向にあった。

 

C-25-1-8 食物によるアナフィラキシーを起こした小児における、現場でのエピペン使用後のアナフィラキシーの管理➡エピペン使った子は全員救急受診が必要? Perlman L et al. Management of anaphylaxis after pre-hospital epinephrine use in children with food-induced anaphylaxis. Ann Allergy Asthma Immunol 2024; 133: 682-688. ★★

2011年から2023年にかけて、救急受診前にエピペンを使用した食物摂取後のアナフィラキシー症例1127例を分析。病院で繰り返しアドレナリン投与を行ったのは18.5%、入院したのは2.7%と少数であった。現場でエピペンを使った症例の全員がその後に救急受診すべきかについては、共有意思決定も含めた慎重な議論が必要である。

C-24-11-1 アトピー性皮膚炎患者における経口JAK阻害薬とデュピルマブの安全性の比較⇒どちらも安全Tsai SYC et al. Comparative safety of oral Janus kinase inhibitors versus dupilumab in patients with atopic dermatitis: a population-based cohort study. J Allergy Clin Immunol 2024; 154: 1195-203.

アメリカでJAK阻害薬またはデュピルマブによる治療を受けた成人アトピー性皮膚炎患者を938名ずつマッチングさせたうえで、治療開始後2年間の副作用頻度を比較。JAK阻害薬では皮膚感染、ヘルペス感染、ニキビ、血球減少、高脂血症などのリスクが、またデュピルマブ治療群では眼合併症のリスクが高くなったが、重篤な副作用は起こらなかった。

 

C-24-11-2 アレルゲン早期摂取の時代における食物アレルギーの頻度および発症要因:EarlyNuts一般集団対象研究⇒早期摂取無効例の特徴とは?Soriano VX et al. Prevalence and determinants of food allergy in the era of early allergen introduction: the EarlyNuts population-based study. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 3068-78. ★★★

オーストラリアでは、2016年にガイドラインが改定され、アレルゲン食品の早期摂取(生後6か月まで)が推奨されるようになったが、食物アレルギー頻度の減少は見られていない。本研究では、1歳までにアレルゲン食品を開始した1420名の乳児コホートを対象に、食物アレルギー発症リスクを調査。6か月までに開始したにもかかわらず発症リスクが高かったのは、両親がアジア生まれの者や早期発症の湿疹有症者であった。

 

C-24-11-3 農家の埃による小児喘息の予防:マスサイトメトリーで明らかになった新たな細胞制御⇒農家の子に喘息が少ない理由を免疫学的に解明Beerweiler CC et al. Farm-dust mediated protection of childhood asthma: Mass cytometry reveals novel cellular regulation. Allergy 2024; 79: 3022-3035.

喘息患児と健常対照児の末梢血単核球をin vitroで農家の埃と反応させ、マスサイトメトリーを用いて単一細胞レベルで解析。農家の埃と反応させると喘息に関連したマーカーの現症が見られた。

 

C-24-11-4 IgE依存性食物アレルギー成人患者における栄養障害の頻度⇒大きな影響なしLazarevic VV et al. Nutritional disorders prevalence among adults with immunoglobulin E-mediated food allergy. Clin Exp Allergy 2024; 54: 930-932.

今まであまり注目されていなかった食物アレルギー成人患者の栄養障害について検討。基本的には大きな問題はなかった。

 

C-24-11-5  IgE依存性食物アレルギーの有無や経口免疫療法反応性の違いと代謝産物プロファイリングに基づいた免疫調節性代謝産物との関連⇒胆汁酸とヒスチジン代謝物に注目Virkud YV et al. Immunomodulatory metabolites in IgE-mediated food allergy and oral immunotherapy outcomes on metabolomic profiling. Pediatr Allergy Immunol 2024; 35: e14267. ★★

異なる小児コホート集団を用いて、食物アレルギー児の有無や経口免疫療法に対する反応性(耐性獲得vs 一時的脱感作)に応じた血中代謝産物を比較。食物アレルギー児では胆汁酸の増加、ヒスチジン/ウロカニン酸プロフィールの変化が見られた。また経口免疫療法を施行した者のうち、耐性獲得例では一部の例外を除いて胆汁酸やヒスチジン代謝産物の低下が見られた。

 

C-24-11-6 小児における多価不飽和脂肪酸(PUFA)と若年成人期までのアレルゲン感作や鼻炎との関連⇒食べ物か代謝かEkstrom S et al. Childhood PUFA levels in relation to allergic sensitization and rhinitis up to young adulthood. Pediatr Allergy Immunol 2024; 35: e70001.

933名の小児コホートを用いて、血中n-3系、n-6系PUFAと鼻炎やアレルゲン感作との関連を検討。血中n-3系および一部のn-6系PUFAレベルが鼻炎やアレルゲン感作と逆相関した。これが食事によるものか、代謝によるものかは今後の検討が必要。

 

C-24-10-1 アトピー性皮膚炎小児および思春期患者における疾患負荷に対するデュピルマブの評価:集団をベースにしたコホート研究⇒関連する他の疾患も軽減効果ありTsai SYC et al. Evaluation of dupilumab on the disease burden in children and adolescents with atopic dermatitis: A population-based cohort study. Allergy 2024; 79: 2748-2758. ★★

電子化された健康保険記録から3575名のデュピルマブで治療された18歳未満アトピー性皮膚炎患者を抽出し、他の薬剤で治療された同数のアトピー性皮膚炎患者と比較。喘息、鼻炎、感染症、精神障害、不安、睡眠障害などアトピー性皮膚炎に関連した併存症の頻度が有意に低かった。しかもその効果は5歳までの若年患者で特に顕著であった。

 

C-24-10-2 プロバイオティクスと経口免疫療法を併用したプロトコール研究に参加したピーナッツアレルギー患者の治療後2年間の経過(PPOIT-003LT)⇒寛解群でより良好な経過にLoke P et al. Two-year post-treatment outcomes following peanut oral immunotherapy in the Probiotic and Peanut Oral Immunotherapy-003 Long-Term (PPOIT-003LT) study. Allergy 2024; 79: 2759-2774. ★★

PPOIT-003研究に参加したピーナッツアレルギー患者の、その後2年間の経過を前方視的に追跡。寛解に達した群は脱感作群と比べて誘発症状、とりわけ重篤な誘発症状の発現率が低く、また脱感作群、アレルギー残存群とくらべてQOLの改善がより顕著に見られた。

 

C-24-10-3 牛乳アレルギー経口免疫療法で維持量に達した患者における長期にわたるアドヒアランスとアレルギー反応のリスク⇒継続が大事Mule P et al. Long-term adherence and risk of allergic reactions in patients who attained milk oral immunotherapy maintenance. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2811-6.

牛乳経口免疫療法で200mlの維持量に達した50名の牛乳アレルギー児について、少なくとも週2回は200ml摂取を続けるよう指示して長期間追跡。指示へのアドヒアランス良好だったのは56%に留まった。アドヒアランス良好群ではアレルギー反応やアナフィラキシーのリスクが低かった。

 

C-24-10-4 IgE依存性食物アレルギー患者のQOLに影響する因子は年齢によって異なる⇒多彩な因子が影響Kubala SA et al. Key factors that influence quality of life in patients with IgE-mediated food allergy vary by age. Allergy 2024; 79: 2812-2825. ,

125名の食物アレルギー児を対象に食物アレルギー関連QOL(FAQOL)調査を実施。年齢、誘発回数や除去品目数、牛乳・鶏卵・大豆除去、4年以内のアドレナリン使用、厳格除去または極少量での誘発、などの因子がQOLに影響した。

 

C-24-10-5 ピーナッツアレルギー児の経過を予測するバイオマーカー⇒検査で予測できるか?Foong RX et al. Biomarkers of peanut allergy in children over time. Allergy 2024; 79: 2775-86.

265名(ピーナッツアレルギー児20名、ピーナッツ感作非発症児245名)の出生コホートを対象に、定期的にピーナッツプリックテスト、ピーナッツ特異IgE、マスト細胞活性化試験(MAT)の検査をしながら7~12歳まで追跡。この間にピーナッツアレルギーが継続した児では検査データの経時的な悪化が見られた。

 

C-24-10-6 ピーナッツ導入ガイダンスを高めるための臨床意思決定支援ツールの導入⇒関心を高めるきっかけにRowland AF et al. Implementing a clinical decision support tool to increase early peanut introduction guidance. J Allergy Clin Immunol 2024; 154: 988-95.

小児科医による早期のピーナッツ導入ガイダンスの提供を支援するために、臨床意思決定支援(CDS)ツールを導入し、その効果を評価。CDSツールは、電子カルテに統合され、4ヶ月、6ヶ月、12ヶ月の健診時にピーナッツ導入に関するアドバイスを促すもので、導入前後の効果を比較した。その結果、医師のピーナッツ導入に対する意識は17.8%から66.7%に向上し、4ヶ月健診でのピーナッツ導入計画についての話し合いが2.4%から81.2%に増加した。結論として、CDSツールはピーナッツ導入の話し合いを増加させ、医療現場で最新のガイドラインの導入を支援する有効な方法であった。

 

C-24-10-7 1歳半における食物アレルギー児および健常対照児の腸内細菌叢⇒菌叢分布に有意差ありHara M et al. Gut microbiota of one-and-a-half-year-old food-allergic and healthy children. Allergol Int 2024; 73: 550-555. ★★

1歳半における食物アレルギー児29名、健常対照児19名の腸内細菌叢を比較。食物アレルギー児では腸内炎症を引き起こす菌が増加し、免疫寛容に関わる菌が減少している、などの変化が見られた。

 

C-24-10-8 少量経口食物負荷試験⇒1歳未満でも安全に施行可能Takei M et al. Low-dose oral food challenges. Pediatr Allergy Immunol 2024; 35: e14258.

卵、乳、または小麦の食物アレルギーと診断された1歳未満の乳児を対象に、少量(加熱全卵20分の1個、加熱牛乳3ml、うどん2gなど)の経口負荷試験を実施した結果を後方視的にまとめた。症状誘発率は各々、7%、24%、0%であり、いずれも軽微な反応でアナフィラキシーは起きなかった。

 

C-24-9-1 加工卵や加工乳を用いた食事前進治療(DAT)の安全性、有効性:体系的レビューとメタ分析⇒エビデンスは不充分Anagnostou A et al. The safety and efficacy of baked egg and milk dietary advancement therapy: a systemic review and meta-analysis. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2468-80.

牛乳や鶏卵のラダー法、加工乳や加工卵の経口免疫療法など、いわゆる食事前進治療(Dietary Advancement Therapy、DAT)の有効性、安全性につき、29の文献を抽出してメタ分析。結論として、まだ充分なエビデンスは認められなかった。

 

C-24-9-2 食物アレルギー治療に対するオマリズマブの費用対効果⇒現状では割高Shaker M et al. The cost-effectiveness of omalizumab for treatment of food allergy. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2481-9. ★★

食物アレルギー治療にオマリズマブを使用することの費用対効果を検討。現状では割高であるとの結論に。

 

C-24-9-3 食物舌下免疫療法:実臨床における増量プロトコールの安全性と簡便性⇒実臨床で有効Windom RR et al. Food sublingual immunotherapy: safety and simplicity of a real food updosing protocol. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2447-53. ★★

計50名の食物アレルギー患者に、実臨床の場面で実際の食品を用いた簡便な舌下免疫療法を施行し、その安全性、有効性を確認した。運動負荷試験を行った結果、施行後の安静維持は不要であった。

 

C-24-9-4 カナダのモントリオールにおける、2017年ピーナッツ早期摂取ガイドラインの前後におけるピーナッツアナフィラキシー発症率の傾向⇒2017年以降減少傾向にYu J et al. Trends of peanut-induced anaphylaxis rates before and after the 2017 early peanut introduction guidelines in Montreal, Canada. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2439-44. ★★★◎

2017年にピーナッツアレルギー予防のための早期摂取ガイドラインが発表されて以降のカナダ、モントリオールにおけるピーナッツによるアナフィラキシー発症頻度について、モントリオール小児病院受診患者を対象に調査。2017年以降では0~2歳の発症頻度が有意に減少していた。

 

C-24-9-5 早期摂取の適切なタイミングは鶏卵とナッツ類で違うのか?⇒食品毎に異なるHamaguchi S et al. Does appropriate timing for early introduction differ between hen’s eggs and nuts? Clin Exp Allergy 2024; 54: 700-702.

湿疹を持つ2歳未満の乳児における卵白やナッツ類に対する感作の年齢ごとの違いを調査。成育医療研究センターでのデータを基に、血液検査結果から特定のアレルゲンに対するIgE感作の頻度を分析した結果、卵白に対する感作は3ヶ月未満で始まり、その頻度は15〜18ヶ月でピークに達した。一方、ナッツ類に対する感作は15ヶ月以降に急増し、18〜21ヶ月でピークに達た。卵白に対する感作の割合はナッツよりも高く、特に卵白では3〜6ヶ月の時点で50%以上が感作されていたのに対し、ナッツ類の感作はそれより遅れていた。アレルギー予防のための適切なタイミングを探る重要な手がかりとなる研究。

C-24-8-1 食物のマトリックス構成が鶏卵加工品のアレルゲン性に影響する⇒マトリックス効果を追求Liu EG et al. Food matrix composition affects the allergenicity of baked egg products. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2111-7. ★★

鶏卵などのアレルゲン食品を他の食品と混ぜて調理したマフィンのような食品では、アレルゲン性が低下することが知られている(マトリックス効果)。しかしながら、その効果を詳細に検討した報告は少ない。本研究では、鶏卵を小麦、米粉など様々な食材と混ぜてマフィンを作成し、その効果を比較。いずれの食材も抽出可能なオボアルブミン量は上昇し、オボムコイド量は減少した。食材によって抽出蛋白の量に違いが見られた。

 

C-24-8-2 食物蛋白誘導性腸炎症候群(FPIES)の寛解スウェーデンにおける113名小児の長期追跡調査⇒魚が原因の場合は難治性かUllberg J et al. Resolution of food protein-induced enterocolitis syndrome – a long-term follow-up study of 113 Swedish children. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2127-34. ★★

スウェーデンでFPIESと診断された113名の乳児を概ね5歳まで追跡。多くは寛解したが(乳では93%など)、魚によるFPIESは寛解率46%と低かった。

 

C-24-8-3 アナフィラキシー既往のある小児における鶏卵及び牛乳ラダー法を用いた食事解除療法⇒ラダー法の勧めGallagher A et al. Dietary advancement therapy using milk and egg ladders among children with a history of anaphylaxis. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2135-43. ★★★

2011年から2021年にかけて牛乳および鶏卵アレルギーと診断された小児で段階的解除(いわゆるラダー法)を試みた458例(うち70名はアナフィラキシー歴あり)を後方視的に解析。およそ8割の症例で解除に到達した。副反応は軽微な皮膚症状のみであった。副反応の予測因子は見つからなかったが、副反応経験者では非到達例が多い傾向にあった。

 

C-24-8-4 先天性免疫異常を合併した小児および若年成人アトピー性皮膚炎に対するデュピルマブの使用⇒免疫不全児のアトピー性皮膚炎にも有効 Zangari P et al. Use of dupilumab for atopic dermatitis in pediatric and young adult patients with inborn errors of immunity. Pediatr Allergy Immunol 2024; 35: e14215. ★★

先天性免疫異常のある小児のアトピー性皮膚炎合併例6例に対して、デュピルマブを使用した経過のまとめ。全例に有効であり、重篤な副作用は見られなかった。

 

C-24-8-5 鼻閉時における13.2mgアドレナリン鼻スプレーの薬物動態的および薬力学的効果に関するランダム化試験⇒鼻閉時のほうが吸収効率は良いDworaczyk DA et al. Randomized trial of pharmacokinetic and pharmacodynamic effects of 13.2mg intranasal epinephrine treatment in congestion. Ann Allergy Asthma Immunol 2024; 133: 186-193. ★★

51名の季節性アレルギー性鼻炎患者を対象に、アドレナリン鼻スプレーと0.3mgアドレナリン筋注における薬物動態を比較。鼻腔投与では、事前にアレルゲン鼻腔投与による鼻閉の有無で違いがあるかについても比較。鼻閉中の鼻腔投与が最も吸収効率が良かった。また、鼻スプレーは忍容性が良好であり、心拍数や血圧への臨床的に有意な影響は観察されなかった。この研究は、ENSがアナフィラキシー治療において有望な選択肢であることを示唆している。

 

C-24-8-6 牛乳、鶏卵、およびピーナッツアレルギー小児における年齢特異的な腸内細菌叢⇒年長児のピーナッツアレルギーに特徴ありPonda P et al. The age-specific microbiome of children with milk, egg, and peanut allergy. Ann Allergy Asthma Immunol 2024; 133: 203-210. ★★

56名の食物アレルギー児と14名の対照児の腸内細菌を横断的に解析。年長児の特にピーナッツアレルギー児において、細菌分布の不均衡が認められた。3歳未満の子どもたちでは、アレルギーを持つ子どもと持たない子どもとの間で腸内微生物叢の多様性に大きな差異は見られなかった。これらの結果は、特に年少の子どもたちに対する経口免疫療法による早期介入の有効性を支持するものであり、食物アレルギー治療における腸内微生物の役割についての理解を深めることが期待される。

 

C-24-8-7 日本の2018年洪水被害にあった小児及び若年成人における喘息処方の割合⇒自然災害が喘息に影響Utsumi S et al. Rate of asthma prescriptions for children and adolescents during the 2018 floods in Japan. Pediatrics 2024; 154: e2023065381.

2018年に日本で起こった洪水被害が、子どもや若者の喘息治療薬の処方に与えた影響を調査。国民健康保険データベースを使用し、災害前に喘息治療の記録がない0歳から19歳の参加者を対象とした。その結果、洪水被災者は非被災者よりも新たに喘息吸入薬が処方される可能性が高いことが示された(調整ハザード比1.30)。特に、コントローラー吸入薬(主にステロイド吸入薬)の処方が増加しており、自然災害が喘息の発症や増悪に影響を与える可能性があることが明らかになった。

C-24-7-1 中等症~重症アトピー性皮膚炎の思春期及び成人患者におけるネモリズマブと局所両方併用の効果(ARCADIA1及び2):2つの同一の二重盲検、ランダム化対照第3相試験⇒抗IL-31療法が有効Silverberg J et al. Nemolizumab with concomitant topical therapy in adolescents and adults with moderate-to-severe atopic dermatitis (ARCADIA 1 and ARCADIA 2): results from two replicate, double-blind, randomized controlled phase 3 trials. Lanacet 2024; 404: 445-60. ★★

世界22か国で行われた12歳以上の中等症~重症アトピー性皮膚炎患者に対するネモリズマブ(IL-31受容体サブユニットαアンタゴニスト)と局所療法の併用に関する二重盲検、ランダム化対照試験の結果を報告。炎症及び痒みに対して有効であった。

 

C-24-7-2 縦断的なピーナッツおよびArah2特異IgE、IgG4、IgG4/IgE比が小児ピーナッツアレルギーの自然寛解と関連している⇒経時変化が重要Parker KM et al. Longitudinal peanut and Arah2 specific-IgE, -IgG4, and -IgG4/-IgE ratios are associated with the natural resolution of peanut allergy in childhood. Allergy 2024; 79: 1868-1880. ★★★

1歳時点でピーナッツアレルギーと診断された小児156名を10歳まで追跡して抗体価の変化をみた。この間に33.9%の患者が自然寛解した。特異IgEの低下、特異IgG4の上昇、及び特異IgG4/IgE比の上昇が自然寛解と関連していた。診断時の検査所見は有効な予測因子とはならなかった。

 

C-24-7-3 メタボローム解析で同定された牛乳アレルギー児及び牛乳感作耐性児におけるアミノ酸代謝の表現型マーカー⇒感作も発症していない群に特徴が…Zhang Q et al. Metabolomics identifies phenotypic biomarkers of amino acid metabolism in milk allergy and sensitized tolerance. J Allergy Clin Immunol 2024; 154: 157-67.

牛乳アレルギー児30名、牛乳感作も発症していない児20名、正常コントロール児21名の3群を対象に網羅的メタボローム解析を実施。感作非発症群でアルギニン、プロリン、グルタチオンなどのアミノ酸代謝経路に特徴があることが分かった。同じ現象は別の集団でも確認された。

 

C-24-7-4 前方視的出生コホートの多民族小児における、生後早期のメタボローム解析と食物アレルギーや喘息のリスク⇒多民族で長期間追跡Hong X et al. Metabolomic profiles during early childhood and risk of food allergies and asthma in multiethnic children from a prospective birth cohort. J Allergy Clin Immunol 2024; 154: 168-78.

  1. 名の多民族出生コホートを対象に、出生後早期の血中代謝プロファイルとその後およそ10年間にわたる食物アレルギー、喘息発症との関連を検討。アンドロゲンやプレグネノロンなどのステロイドレベルが低いと食物アレルギーになりやすい、など各疾患特有及び共通の代謝プロファイルが見られた。

 

C-24-7-5 年齢に関連した食物への嫌悪と不安が食物経口免疫療法(OIT)に対する基本的な患者側からの障壁になる患者視点でOITを拒むものを考察Trevisonno J et al. Age-related food aversion and anxiety represent primary patient barriers to food oral immunotherapy. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 1809-18. ★★★

OITは食物アレルギー治療の有効なオプションであるが、その実行を拒む要素について患者視点で検討した報告はない。本研究では、カナダとアメリカでOITを施行された379名の患者家族を対象に調査。不安と味覚嫌悪が施行に対する最も多い障壁であった。それらに対して栄養士や心理的サポートによる介入が実施されている例は少なく、今後の課題である。

 

C-24-7-6 出生後10年間におけるIgE依存性食物アレルギーや他のアレルギー疾患の頻度:一般集団を対象とした縦断的HealthNutsスタディ⇒一般集団を10歳まで追跡Peters RL et al. The prevalence of IgE-mediated food allergy and other allergic diseases in the first 10 years: the population-based, longitudinal HealthNuts study. ★★★

オーストラリアで5000人以上の1歳児コホートを集め、6歳、10歳時点におけるアレルギー疾患の有無を追跡。学童期にはおよそ40%の小児が何らかのアレルギー疾患を有しており、そのうち3分の1は複数の疾患があった。負荷試験で確認された食物アレルギーの頻度は6.5%であり、乳児期に食物アレルギーと診断された児の45%は10歳まで継続していた。

 

C-24-7-7 中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者に対するバリシチニブとデュピルマブの包括的な実臨床での効果比較⇒実臨床での効果を確認Tsu Y et al. Comprehensive real-world comparisons between baricitinib and dupilumab treatments for moderate to severe atopic dermatitis. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 1924-27.

中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者に対してバリシチニブ(28名)、デュピルマブ(48名)投与の有効性を臨床症状、血清バイオマーカー、mRNAレベルなどで評価。いずれの薬剤も有効であることを確認した。バリシチニブはTh1、Th2両方の反応を抑えるのに対して、デュピルマブはTh2反応を特異的に抑えた。

 

C-24-7-8 学童期の地中海食型の食事摂取と若年成人期の喘息や呼吸機能との関連⇒有意の関連はなさそうGeorgakou A et al. Mediterranean-type diet in school age in relation to asthma and lung function up to young adulthood. Clin Exp Allergy 2024; 54: 518-20.

スウェーデンの出生コホートBAMSEのデータをもとに8歳時点の地中海食様の食事摂取と24歳までの喘息発症や呼吸機能との関連を検討。喘息とは有意の関連はなく、呼吸機能の一部の指標との間に関連がみられた。

 

C-24-7-9 牛乳アレルギー児の栄養状態に与えるミルク代替飲料の貢献度⇒代替飲料の効用Parlak-Hela Z et al. The contribution of milk substitutes to the nutritional status of children with cow’s milk allergy. Pediatr Allergy Immunol 2024; 35: e14202. ★★

2歳以上の102名の牛乳アレルギー児を対象にミルク代替飲料(植物由来ミルクや治療乳など)摂取の有無と栄養状態につき評価。代替飲料使用者はカルシウム、リボフラビン、ビタミンDの摂取量が多かった。

 

C-24-7-10 経口免疫療法(OIT)中のアナフィラキシーとその治療アドヒアランスへの影響:後方視的研究⇒アナフィラキシーの経験がアドヒアランスに影響Galletta F et al. Anaphylaxis during OIT and its impact on treatment adherence: a retrospective study. Pediatr Allergy Immunol 2024; 35: e14200.

イタリアの一施設において2012~2022年に実施された55症例のOITの成績を後方視的に検討。21例(38.1%)が施行中にアナフィラキシーを経験した。経験例では治療中断例が多かった。増量期間中、又は牛乳アレルギー症例でアナフィラキシーが多かった。

C-24-6-1 日本における重症小児喘息の疫学:全国規模の記述的研究⇒小児喘息の現状と課題Kimura Y et al. Epidemiology of severe childhood asthma in Japan: A nationwide descriptive study. Allergy 2024; 79: 1598-1628. ★★

日本において全国規模の診療報酬明細書(レセプト)データ(NDB)を解析して、小児の重症喘息頻度(診断コードと投薬内容に基づいて定義)を2013年から2019年にかけて比較。この間に半減していたが、経口ステロイド投与例やコントロール不良例の比率は高まっていた。

 

C-24-6-2 乳児アトピー性皮膚炎と新生児皮膚細菌叢の乱れ:スキンケアの減弱効果⇒新生児期からスキンケアをAoyama R et al. Neonatal skin dysbiosis to infantile atopic dermatitis: Mitigating effects of skin care. Allergy 2024; 1618-1622.

177名の新生児を対象に皮膚細菌叢、スキンケアなどと、1歳時点でのアトピー性皮膚炎や食物アレルギー発症との関連を追跡。皮膚炎を発症する児は、生直後から皮膚細菌叢の乱れが見られ、スキンケアはそれを改善する効果があった。

 

C-24-6-3 Prup3によるアナフィラキシーマウスモデルにおいて、食事からの酪酸補充は耐性反応を誘導する⇒免疫療法より有効?Cruz-Amaya A et al. Butyrate dietary supplementation promotes tolerant responses in a Pru p3-anaphylactic mouse model. Allergy 2024; 1605-1608. ★★

モモのLTPでアレルゲンとして知られるPrup3に感作されたマウスモデルを用いて、舌下免疫単独、酪酸の経口補充単独、及び両者を加えた場合の免疫学的変化を観察。IL-10産生性制御性T細胞の誘導などの耐性誘導効果は酪酸単独群が最も強かった。

 

C-24-6-4 中和IgG4抗体はピーナッツ経口免疫療後の持続的有効性のバイオマーカーとなる⇒IgG4が有効性の指標にKeswani T et al. Neutralizing IgG4 antibodies are a biomarker of sustained efficacy after peanut oral immunotherapy. J Allergy Clin Immunol 2024; 153: 1611-20. ★★

経口免疫療法を施行されたピーナッツアレルギー患者の血清を用いた検討で、持続的脱感作を達成した患者では特異的IgG4中和抗体が上昇しており、経口免疫療法の有効性を示す指標となっていた。

 

C-24-6-5 アドレナリン自己注射薬の副反応:フランス毒物管理センターからのデータ⇒重篤なものはなしPouessel G et al. Adverse drug reactions from adrenaline auto-injectors: Data from the French poison control centres. Clin Exp Allergy 2024; 54: 435-7.

フランスで2018年から2022年に集計された315のアドレナリン自己注射薬関連の副反応をまとめた。多くは軽症で回避可能なものであった。

 

C-24-6-6 乳児及び小児における牛乳除去や多品目除去と成長指標との関連⇒除去が多いと成長に影響Sackese C et al. The association of milk and multiple food avoidance with growth parameters in infants and children. Ann Allergy Asthma Immunol 2024; 132: 745-751.

トルコでの調査にて、食物アレルギーによる牛乳除去例、多品目除去例では身体発育の低下、カルシウムを含む栄養素の摂取不足、副甲状腺ホルモンの上昇、などの所見が見られた。

お問い合わせ
滋賀県立総合病院
電話番号:077-582-5031(代表)
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