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最新の文献から【臨床的研究】

C-24-10-1 アトピー性皮膚炎小児および思春期患者における疾患負荷に対するデュピルマブの評価:集団をベースにしたコホート研究⇒関連する他の疾患も軽減効果ありTsai SYC et al. Evaluation of dupilumab on the disease burden in children and adolescents with atopic dermatitis: A population-based cohort study. Allergy 2024; 79: 2748-2758. ★★

電子化された健康保険記録から3575名のデュピルマブで治療された18歳未満アトピー性皮膚炎患者を抽出し、他の薬剤で治療された同数のアトピー性皮膚炎患者と比較。喘息、鼻炎、感染症、精神障害、不安、睡眠障害などアトピー性皮膚炎に関連した併存症の頻度が有意に低かった。しかもその効果は5歳までの若年患者で特に顕著であった。

 

C-24-10-2 プロバイオティクスと経口免疫療法を併用したプロトコール研究に参加したピーナッツアレルギー患者の治療後2年間の経過(PPOIT-003LT)⇒寛解群でより良好な経過にLoke P et al. Two-year post-treatment outcomes following peanut oral immunotherapy in the Probiotic and Peanut Oral Immunotherapy-003 Long-Term (PPOIT-003LT) study. Allergy 2024; 79: 2759-2774. ★★

PPOIT-003研究に参加したピーナッツアレルギー患者の、その後2年間の経過を前方視的に追跡。寛解に達した群は脱感作群と比べて誘発症状、とりわけ重篤な誘発症状の発現率が低く、また脱感作群、アレルギー残存群とくらべてQOLの改善がより顕著に見られた。

 

C-24-10-3 牛乳アレルギー経口免疫療法で維持量に達した患者における長期にわたるアドヒアランスとアレルギー反応のリスク⇒継続が大事Mule P et al. Long-term adherence and risk of allergic reactions in patients who attained milk oral immunotherapy maintenance. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2811-6.

牛乳経口免疫療法で200mlの維持量に達した50名の牛乳アレルギー児について、少なくとも週2回は200ml摂取を続けるよう指示して長期間追跡。指示へのアドヒアランス良好だったのは56%に留まった。アドヒアランス良好群ではアレルギー反応やアナフィラキシーのリスクが低かった。

 

C-24-10-4 IgE依存性食物アレルギー患者のQOLに影響する因子は年齢によって異なる⇒多彩な因子が影響Kubala SA et al. Key factors that influence quality of life in patients with IgE-mediated food allergy vary by age. Allergy 2024; 79: 2812-2825. ,

125名の食物アレルギー児を対象に食物アレルギー関連QOL(FAQOL)調査を実施。年齢、誘発回数や除去品目数、牛乳・鶏卵・大豆除去、4年以内のアドレナリン使用、厳格除去または極少量での誘発、などの因子がQOLに影響した。

 

C-24-10-5 ピーナッツアレルギー児の経過を予測するバイオマーカー⇒検査で予測できるか?Foong RX et al. Biomarkers of peanut allergy in children over time. Allergy 2024; 79: 2775-86.

265名(ピーナッツアレルギー児20名、ピーナッツ感作非発症児245名)の出生コホートを対象に、定期的にピーナッツプリックテスト、ピーナッツ特異IgE、マスト細胞活性化試験(MAT)の検査をしながら7~12歳まで追跡。この間にピーナッツアレルギーが継続した児では検査データの経時的な悪化が見られた。

 

C-24-10-6 ピーナッツ導入ガイダンスを高めるための臨床意思決定支援ツールの導入⇒関心を高めるきっかけにRowland AF et al. Implementing a clinical decision support tool to increase early peanut introduction guidance. J Allergy Clin Immunol 2024; 154: 988-95.

小児科医による早期のピーナッツ導入ガイダンスの提供を支援するために、臨床意思決定支援(CDS)ツールを導入し、その効果を評価。CDSツールは、電子カルテに統合され、4ヶ月、6ヶ月、12ヶ月の健診時にピーナッツ導入に関するアドバイスを促すもので、導入前後の効果を比較した。その結果、医師のピーナッツ導入に対する意識は17.8%から66.7%に向上し、4ヶ月健診でのピーナッツ導入計画についての話し合いが2.4%から81.2%に増加した。結論として、CDSツールはピーナッツ導入の話し合いを増加させ、医療現場で最新のガイドラインの導入を支援する有効な方法であった。

 

C-24-10-7 1歳半における食物アレルギー児および健常対照児の腸内細菌叢⇒菌叢分布に有意差ありHara M et al. Gut microbiota of one-and-a-half-year-old food-allergic and healthy children. Allergol Int 2024; 73: 550-555. ★★

1歳半における食物アレルギー児29名、健常対照児19名の腸内細菌叢を比較。食物アレルギー児では腸内炎症を引き起こす菌が増加し、免疫寛容に関わる菌が減少している、などの変化が見られた。

 

C-24-10-8 少量経口食物負荷試験⇒1歳未満でも安全に施行可能Takei M et al. Low-dose oral food challenges. Pediatr Allergy Immunol 2024; 35: e14258.

卵、乳、または小麦の食物アレルギーと診断された1歳未満の乳児を対象に、少量(加熱全卵20分の1個、加熱牛乳3ml、うどん2gなど)の経口負荷試験を実施した結果を後方視的にまとめた。症状誘発率は各々、7%、24%、0%であり、いずれも軽微な反応でアナフィラキシーは起きなかった。

 

C-24-9-1 加工卵や加工乳を用いた食事前進治療(DAT)の安全性、有効性:体系的レビューとメタ分析⇒エビデンスは不充分Anagnostou A et al. The safety and efficacy of baked egg and milk dietary advancement therapy: a systemic review and meta-analysis. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2468-80.

牛乳や鶏卵のラダー法、加工乳や加工卵の経口免疫療法など、いわゆる食事前進治療(Dietary Advancement Therapy、DAT)の有効性、安全性につき、29の文献を抽出してメタ分析。結論として、まだ充分なエビデンスは認められなかった。

 

C-24-9-2 食物アレルギー治療に対するオマリズマブの費用対効果⇒現状では割高Shaker M et al. The cost-effectiveness of omalizumab for treatment of food allergy. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2481-9. ★★

食物アレルギー治療にオマリズマブを使用することの費用対効果を検討。現状では割高であるとの結論に。

 

C-24-9-3 食物舌下免疫療法:実臨床における増量プロトコールの安全性と簡便性⇒実臨床で有効Windom RR et al. Food sublingual immunotherapy: safety and simplicity of a real food updosing protocol. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2447-53. ★★

計50名の食物アレルギー患者に、実臨床の場面で実際の食品を用いた簡便な舌下免疫療法を施行し、その安全性、有効性を確認した。運動負荷試験を行った結果、施行後の安静維持は不要であった。

 

C-24-9-4 カナダのモントリオールにおける、2017年ピーナッツ早期摂取ガイドラインの前後におけるピーナッツアナフィラキシー発症率の傾向⇒2017年以降減少傾向にYu J et al. Trends of peanut-induced anaphylaxis rates before and after the 2017 early peanut introduction guidelines in Montreal, Canada. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2439-44. ★★★◎

2017年にピーナッツアレルギー予防のための早期摂取ガイドラインが発表されて以降のカナダ、モントリオールにおけるピーナッツによるアナフィラキシー発症頻度について、モントリオール小児病院受診患者を対象に調査。2017年以降では0~2歳の発症頻度が有意に減少していた。

 

C-24-9-5 早期摂取の適切なタイミングは鶏卵とナッツ類で違うのか?⇒食品毎に異なるHamaguchi S et al. Does appropriate timing for early introduction differ between hen’s eggs and nuts? Clin Exp Allergy 2024; 54: 700-702.

湿疹を持つ2歳未満の乳児における卵白やナッツ類に対する感作の年齢ごとの違いを調査。成育医療研究センターでのデータを基に、血液検査結果から特定のアレルゲンに対するIgE感作の頻度を分析した結果、卵白に対する感作は3ヶ月未満で始まり、その頻度は15〜18ヶ月でピークに達した。一方、ナッツ類に対する感作は15ヶ月以降に急増し、18〜21ヶ月でピークに達た。卵白に対する感作の割合はナッツよりも高く、特に卵白では3〜6ヶ月の時点で50%以上が感作されていたのに対し、ナッツ類の感作はそれより遅れていた。アレルギー予防のための適切なタイミングを探る重要な手がかりとなる研究。

C-24-8-1 食物のマトリックス構成が鶏卵加工品のアレルゲン性に影響する⇒マトリックス効果を追求Liu EG et al. Food matrix composition affects the allergenicity of baked egg products. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2111-7. ★★

鶏卵などのアレルゲン食品を他の食品と混ぜて調理したマフィンのような食品では、アレルゲン性が低下することが知られている(マトリックス効果)。しかしながら、その効果を詳細に検討した報告は少ない。本研究では、鶏卵を小麦、米粉など様々な食材と混ぜてマフィンを作成し、その効果を比較。いずれの食材も抽出可能なオボアルブミン量は上昇し、オボムコイド量は減少した。食材によって抽出蛋白の量に違いが見られた。

 

C-24-8-2 食物蛋白誘導性腸炎症候群(FPIES)の寛解スウェーデンにおける113名小児の長期追跡調査⇒魚が原因の場合は難治性かUllberg J et al. Resolution of food protein-induced enterocolitis syndrome – a long-term follow-up study of 113 Swedish children. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2127-34. ★★

スウェーデンでFPIESと診断された113名の乳児を概ね5歳まで追跡。多くは寛解したが(乳では93%など)、魚によるFPIESは寛解率46%と低かった。

 

C-24-8-3 アナフィラキシー既往のある小児における鶏卵及び牛乳ラダー法を用いた食事解除療法⇒ラダー法の勧めGallagher A et al. Dietary advancement therapy using milk and egg ladders among children with a history of anaphylaxis. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 2135-43. ★★★

2011年から2021年にかけて牛乳および鶏卵アレルギーと診断された小児で段階的解除(いわゆるラダー法)を試みた458例(うち70名はアナフィラキシー歴あり)を後方視的に解析。およそ8割の症例で解除に到達した。副反応は軽微な皮膚症状のみであった。副反応の予測因子は見つからなかったが、副反応経験者では非到達例が多い傾向にあった。

 

C-24-8-4 先天性免疫異常を合併した小児および若年成人アトピー性皮膚炎に対するデュピルマブの使用⇒免疫不全児のアトピー性皮膚炎にも有効 Zangari P et al. Use of dupilumab for atopic dermatitis in pediatric and young adult patients with inborn errors of immunity. Pediatr Allergy Immunol 2024; 35: e14215. ★★

先天性免疫異常のある小児のアトピー性皮膚炎合併例6例に対して、デュピルマブを使用した経過のまとめ。全例に有効であり、重篤な副作用は見られなかった。

 

C-24-8-5 鼻閉時における13.2mgアドレナリン鼻スプレーの薬物動態的および薬力学的効果に関するランダム化試験⇒鼻閉時のほうが吸収効率は良いDworaczyk DA et al. Randomized trial of pharmacokinetic and pharmacodynamic effects of 13.2mg intranasal epinephrine treatment in congestion. Ann Allergy Asthma Immunol 2024; 133: 186-193. ★★

51名の季節性アレルギー性鼻炎患者を対象に、アドレナリン鼻スプレーと0.3mgアドレナリン筋注における薬物動態を比較。鼻腔投与では、事前にアレルゲン鼻腔投与による鼻閉の有無で違いがあるかについても比較。鼻閉中の鼻腔投与が最も吸収効率が良かった。また、鼻スプレーは忍容性が良好であり、心拍数や血圧への臨床的に有意な影響は観察されなかった。この研究は、ENSがアナフィラキシー治療において有望な選択肢であることを示唆している。

 

C-24-8-6 牛乳、鶏卵、およびピーナッツアレルギー小児における年齢特異的な腸内細菌叢⇒年長児のピーナッツアレルギーに特徴ありPonda P et al. The age-specific microbiome of children with milk, egg, and peanut allergy. Ann Allergy Asthma Immunol 2024; 133: 203-210. ★★

56名の食物アレルギー児と14名の対照児の腸内細菌を横断的に解析。年長児の特にピーナッツアレルギー児において、細菌分布の不均衡が認められた。3歳未満の子どもたちでは、アレルギーを持つ子どもと持たない子どもとの間で腸内微生物叢の多様性に大きな差異は見られなかった。これらの結果は、特に年少の子どもたちに対する経口免疫療法による早期介入の有効性を支持するものであり、食物アレルギー治療における腸内微生物の役割についての理解を深めることが期待される。

 

C-24-8-7 日本の2018年洪水被害にあった小児及び若年成人における喘息処方の割合⇒自然災害が喘息に影響Utsumi S et al. Rate of asthma prescriptions for children and adolescents during the 2018 floods in Japan. Pediatrics 2024; 154: e2023065381.

2018年に日本で起こった洪水被害が、子どもや若者の喘息治療薬の処方に与えた影響を調査。国民健康保険データベースを使用し、災害前に喘息治療の記録がない0歳から19歳の参加者を対象とした。その結果、洪水被災者は非被災者よりも新たに喘息吸入薬が処方される可能性が高いことが示された(調整ハザード比1.30)。特に、コントローラー吸入薬(主にステロイド吸入薬)の処方が増加しており、自然災害が喘息の発症や増悪に影響を与える可能性があることが明らかになった。

C-24-7-1 中等症~重症アトピー性皮膚炎の思春期及び成人患者におけるネモリズマブと局所両方併用の効果(ARCADIA1及び2):2つの同一の二重盲検、ランダム化対照第3相試験⇒抗IL-31療法が有効Silverberg J et al. Nemolizumab with concomitant topical therapy in adolescents and adults with moderate-to-severe atopic dermatitis (ARCADIA 1 and ARCADIA 2): results from two replicate, double-blind, randomized controlled phase 3 trials. Lanacet 2024; 404: 445-60. ★★

世界22か国で行われた12歳以上の中等症~重症アトピー性皮膚炎患者に対するネモリズマブ(IL-31受容体サブユニットαアンタゴニスト)と局所療法の併用に関する二重盲検、ランダム化対照試験の結果を報告。炎症及び痒みに対して有効であった。

 

C-24-7-2 縦断的なピーナッツおよびArah2特異IgE、IgG4、IgG4/IgE比が小児ピーナッツアレルギーの自然寛解と関連している⇒経時変化が重要Parker KM et al. Longitudinal peanut and Arah2 specific-IgE, -IgG4, and -IgG4/-IgE ratios are associated with the natural resolution of peanut allergy in childhood. Allergy 2024; 79: 1868-1880. ★★★

1歳時点でピーナッツアレルギーと診断された小児156名を10歳まで追跡して抗体価の変化をみた。この間に33.9%の患者が自然寛解した。特異IgEの低下、特異IgG4の上昇、及び特異IgG4/IgE比の上昇が自然寛解と関連していた。診断時の検査所見は有効な予測因子とはならなかった。

 

C-24-7-3 メタボローム解析で同定された牛乳アレルギー児及び牛乳感作耐性児におけるアミノ酸代謝の表現型マーカー⇒感作も発症していない群に特徴が…Zhang Q et al. Metabolomics identifies phenotypic biomarkers of amino acid metabolism in milk allergy and sensitized tolerance. J Allergy Clin Immunol 2024; 154: 157-67.

牛乳アレルギー児30名、牛乳感作も発症していない児20名、正常コントロール児21名の3群を対象に網羅的メタボローム解析を実施。感作非発症群でアルギニン、プロリン、グルタチオンなどのアミノ酸代謝経路に特徴があることが分かった。同じ現象は別の集団でも確認された。

 

C-24-7-4 前方視的出生コホートの多民族小児における、生後早期のメタボローム解析と食物アレルギーや喘息のリスク⇒多民族で長期間追跡Hong X et al. Metabolomic profiles during early childhood and risk of food allergies and asthma in multiethnic children from a prospective birth cohort. J Allergy Clin Immunol 2024; 154: 168-78.

  1. 名の多民族出生コホートを対象に、出生後早期の血中代謝プロファイルとその後およそ10年間にわたる食物アレルギー、喘息発症との関連を検討。アンドロゲンやプレグネノロンなどのステロイドレベルが低いと食物アレルギーになりやすい、など各疾患特有及び共通の代謝プロファイルが見られた。

 

C-24-7-5 年齢に関連した食物への嫌悪と不安が食物経口免疫療法(OIT)に対する基本的な患者側からの障壁になる患者視点でOITを拒むものを考察Trevisonno J et al. Age-related food aversion and anxiety represent primary patient barriers to food oral immunotherapy. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 1809-18. ★★★

OITは食物アレルギー治療の有効なオプションであるが、その実行を拒む要素について患者視点で検討した報告はない。本研究では、カナダとアメリカでOITを施行された379名の患者家族を対象に調査。不安と味覚嫌悪が施行に対する最も多い障壁であった。それらに対して栄養士や心理的サポートによる介入が実施されている例は少なく、今後の課題である。

 

C-24-7-6 出生後10年間におけるIgE依存性食物アレルギーや他のアレルギー疾患の頻度:一般集団を対象とした縦断的HealthNutsスタディ⇒一般集団を10歳まで追跡Peters RL et al. The prevalence of IgE-mediated food allergy and other allergic diseases in the first 10 years: the population-based, longitudinal HealthNuts study. ★★★

オーストラリアで5000人以上の1歳児コホートを集め、6歳、10歳時点におけるアレルギー疾患の有無を追跡。学童期にはおよそ40%の小児が何らかのアレルギー疾患を有しており、そのうち3分の1は複数の疾患があった。負荷試験で確認された食物アレルギーの頻度は6.5%であり、乳児期に食物アレルギーと診断された児の45%は10歳まで継続していた。

 

C-24-7-7 中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者に対するバリシチニブとデュピルマブの包括的な実臨床での効果比較⇒実臨床での効果を確認Tsu Y et al. Comprehensive real-world comparisons between baricitinib and dupilumab treatments for moderate to severe atopic dermatitis. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 1924-27.

中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者に対してバリシチニブ(28名)、デュピルマブ(48名)投与の有効性を臨床症状、血清バイオマーカー、mRNAレベルなどで評価。いずれの薬剤も有効であることを確認した。バリシチニブはTh1、Th2両方の反応を抑えるのに対して、デュピルマブはTh2反応を特異的に抑えた。

 

C-24-7-8 学童期の地中海食型の食事摂取と若年成人期の喘息や呼吸機能との関連⇒有意の関連はなさそうGeorgakou A et al. Mediterranean-type diet in school age in relation to asthma and lung function up to young adulthood. Clin Exp Allergy 2024; 54: 518-20.

スウェーデンの出生コホートBAMSEのデータをもとに8歳時点の地中海食様の食事摂取と24歳までの喘息発症や呼吸機能との関連を検討。喘息とは有意の関連はなく、呼吸機能の一部の指標との間に関連がみられた。

 

C-24-7-9 牛乳アレルギー児の栄養状態に与えるミルク代替飲料の貢献度⇒代替飲料の効用Parlak-Hela Z et al. The contribution of milk substitutes to the nutritional status of children with cow’s milk allergy. Pediatr Allergy Immunol 2024; 35: e14202. ★★

2歳以上の102名の牛乳アレルギー児を対象にミルク代替飲料(植物由来ミルクや治療乳など)摂取の有無と栄養状態につき評価。代替飲料使用者はカルシウム、リボフラビン、ビタミンDの摂取量が多かった。

 

C-24-7-10 経口免疫療法(OIT)中のアナフィラキシーとその治療アドヒアランスへの影響:後方視的研究⇒アナフィラキシーの経験がアドヒアランスに影響Galletta F et al. Anaphylaxis during OIT and its impact on treatment adherence: a retrospective study. Pediatr Allergy Immunol 2024; 35: e14200.

イタリアの一施設において2012~2022年に実施された55症例のOITの成績を後方視的に検討。21例(38.1%)が施行中にアナフィラキシーを経験した。経験例では治療中断例が多かった。増量期間中、又は牛乳アレルギー症例でアナフィラキシーが多かった。

C-24-6-1 日本における重症小児喘息の疫学:全国規模の記述的研究⇒小児喘息の現状と課題Kimura Y et al. Epidemiology of severe childhood asthma in Japan: A nationwide descriptive study. Allergy 2024; 79: 1598-1628. ★★

日本において全国規模の診療報酬明細書(レセプト)データ(NDB)を解析して、小児の重症喘息頻度(診断コードと投薬内容に基づいて定義)を2013年から2019年にかけて比較。この間に半減していたが、経口ステロイド投与例やコントロール不良例の比率は高まっていた。

 

C-24-6-2 乳児アトピー性皮膚炎と新生児皮膚細菌叢の乱れ:スキンケアの減弱効果⇒新生児期からスキンケアをAoyama R et al. Neonatal skin dysbiosis to infantile atopic dermatitis: Mitigating effects of skin care. Allergy 2024; 1618-1622.

177名の新生児を対象に皮膚細菌叢、スキンケアなどと、1歳時点でのアトピー性皮膚炎や食物アレルギー発症との関連を追跡。皮膚炎を発症する児は、生直後から皮膚細菌叢の乱れが見られ、スキンケアはそれを改善する効果があった。

 

C-24-6-3 Prup3によるアナフィラキシーマウスモデルにおいて、食事からの酪酸補充は耐性反応を誘導する⇒免疫療法より有効?Cruz-Amaya A et al. Butyrate dietary supplementation promotes tolerant responses in a Pru p3-anaphylactic mouse model. Allergy 2024; 1605-1608. ★★

モモのLTPでアレルゲンとして知られるPrup3に感作されたマウスモデルを用いて、舌下免疫単独、酪酸の経口補充単独、及び両者を加えた場合の免疫学的変化を観察。IL-10産生性制御性T細胞の誘導などの耐性誘導効果は酪酸単独群が最も強かった。

 

C-24-6-4 中和IgG4抗体はピーナッツ経口免疫療後の持続的有効性のバイオマーカーとなる⇒IgG4が有効性の指標にKeswani T et al. Neutralizing IgG4 antibodies are a biomarker of sustained efficacy after peanut oral immunotherapy. J Allergy Clin Immunol 2024; 153: 1611-20. ★★

経口免疫療法を施行されたピーナッツアレルギー患者の血清を用いた検討で、持続的脱感作を達成した患者では特異的IgG4中和抗体が上昇しており、経口免疫療法の有効性を示す指標となっていた。

 

C-24-6-5 アドレナリン自己注射薬の副反応:フランス毒物管理センターからのデータ⇒重篤なものはなしPouessel G et al. Adverse drug reactions from adrenaline auto-injectors: Data from the French poison control centres. Clin Exp Allergy 2024; 54: 435-7.

フランスで2018年から2022年に集計された315のアドレナリン自己注射薬関連の副反応をまとめた。多くは軽症で回避可能なものであった。

 

C-24-6-6 乳児及び小児における牛乳除去や多品目除去と成長指標との関連⇒除去が多いと成長に影響Sackese C et al. The association of milk and multiple food avoidance with growth parameters in infants and children. Ann Allergy Asthma Immunol 2024; 132: 745-751.

トルコでの調査にて、食物アレルギーによる牛乳除去例、多品目除去例では身体発育の低下、カルシウムを含む栄養素の摂取不足、副甲状腺ホルモンの上昇、などの所見が見られた。

C-24-5-1 アトピー性皮膚炎におけるメンデルのランダム化解析:体系的なレビュー⇒アトピー性皮膚炎(AD)の原因か?結果か?Elhage KG et al. Mendelian randomization studies in atopic dermatitis: a systematic review. J Invest Dermatol 2024; 144: 1022-37. ★★

ADと関連する因子の因果関係について、未知の交絡因子の影響を極力排除するメンデルのランダム化解析という手法を用いて検討した30報の文献をメタ解析。BMI、腸内細菌叢、IL-18シグナル経路、GERDはADの原因となる一方、ADは心疾患、リウマチ、結膜炎などの原因となることが示された。

 

C-24-5-2 小児患者におけるアトピー性皮膚炎(AD)と循環器疾患リスク:体系的レビューとメタ解析⇒アトピー小児は循環器疾患になりやすいのか?Kern C et al. Atopic dermatitis and cardiovascular risk in pediatric patients: a systemic review and meta-analysis. J Invest Dermatol 2024; 144: 1038-47.

成人ではADと循環器疾患の関連が指摘されているが、小児でのデータは少ない。本研究では10文献を抽出して関連をメタ解析。AD児における循環器疾患のリスクが増加するとのエビデンスは明らかではなかった。

 

C-24-5-3 皮膚のバイオマーカーが小児期早期の食物アレルギー発症を予測する⇒皮膚でリスク評価Berdyshev E et al. Skin biomarkers predict the development of food allergy in early life. J Allergy Clin Immunol 2024; 153: 1456-63.

129名の乳児を対象に生後2か月でテープストリッピング法による皮膚検体を採取して、脂質やサイトカインなどを分析し、生後2年における食物アレルギー発症との関連を検討。食物アレルギー発症例では不飽和セラミドやサイトカインの産生が亢進しており、それらの組み合わせによって高い精度で発症が予測できることを示した。

 

C-24-5-4 ハイリスク食物アレルギーにおいて経口免疫療法増量期を舌下免疫療法第1相で迂回することの安全性と有効性⇒舌下で増量期を安全にSoller L et al. Safety and effectiveness of bypassing oral immunotherapy buildup with an initial phase of sublingual immunotherapy for higher-risk food allergy. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 1283-96. ★★

4~18歳のハイリスク食物アレルギー児に経口免疫療法を施行する際に、増量期のリスクを回避するために舌下免疫療法を適用した際の安全性、有効性を検討。命の危険が及ぶような副反応はなく、安全に施行できた。

 

C-24-5-5 乳幼児期からのピーナッツ経口免疫療法開始後1年における高頻度の脱感作:SmaChOランダム化比較対象試験⇒早めにゆっくり少量でUhi C et al. High degree of desensitization after 1 year of early-life peanut oral immunotherapy: Small Children Oral Immunothrapy (SmaChO) randomized controlled trial. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 1297-305. ★★

ピーナッツ経口免疫療法(POIT)は若年齢で始めたほうが有効と言われている。本研究では月齢23~40か月のピーナッツアレルギー児75名を対象として、50名には少量からゆっくり増量する方法でPOITを施行し、25名は除去を続けることとして1年後の効果を比較。除去群4%に対してOIT群75%で脱感作に到達した。副反応は1.4%に生じたが、75%は軽微であった。

 

C-24-5-6 COPDや喘息の早期診断と治療-ランダム化対照試験⇒病期は早いうちに打てAaron SD et al. Early diagnosis and treatment of COPD and asthma – a randomized, controlled trial. N Engl J Med 2024 10.1056/NEJM oa 2401389.

成人を対象にまだ診断されていないCOPDまたは喘息患者を595名抽出し、早期に治療を開始した群と通常群で比較したところ、早期開始群のほうが、予後が良かった。

C-24-4-1 IgE依存性小児牛乳アレルギー児を対象とした腸内メタボローム、ミクロビオームの統合による個別解析(フィンガープリンティング)により、アレルギー性炎症に先だって細菌叢の乱れが生じていることが明らかとなった⇒腸内細菌の乱れが牛乳アレルギーを誘導De Paepe E et al. Integrated gut metabolome and microbiome fingerprinting reveals that dysbiosis precedes allergic inflammation in IgE-mediated pediatric cow’s milk allergy. Allergy; 2024: 79: 949-963. ★★★

マウス実験やヒトでの解析を通じて、腸内細菌叢の乱れによる代謝の変化(特に胆汁酸、エネルギー、トリプトファン代謝)が牛乳アレルギーを誘導すること、また除去食を続けることで慢性炎症が続くこと、を明らかにした。

 

C-24-4-2 重症食物アレルギー児の摂取閾値に与えるオマリズマブの影響についてのランダム化されたダブルブラインドプラセボ対照試験⇒IgEをブロックして閾値を上げるMortz CG et al. A randomized double-blind placebo-controlled study on the efficacy of Omalizumab on food allergy threshold in children with severe food allergy. Allergy 2024; 79: 964-976.

20名の食物アレルギー児を対象に経口免疫療法を施行する際に、抗IgE抗体であるオマリズマブ併用群と対照群で3か月後の負荷試験閾値を比較。併用群で有意な閾値上昇をみた。

 

C-24-4-3 小児における早期舌下免疫療法開始の利点を定量化⇒早期の開始で喘息予防Hamelmann E et al. Quantifying the benefits of early sublingual allergen immunotherapy tablet initiation in children. Allergy 2024; 79: 1018-27. ★★

小児期アレルギー性鼻炎に対する舌下免疫療法によるアレルギー性喘息予防効果について開始時年齢別に比較。7歳開始、12歳開始では各々次の20年間に24%、25%が喘息発症に対し、5歳開始では19%と有意に減少した。医療費削減効果もあった。

 

C-24-4-4 開始時点の対象者背景因子とピーナッツ経口免疫療法後の治療効果の関連⇒こんな子にお勧め Lloyd M et al. Interaction between baseline participant factors and treatment effects following peanut oral immunotherapy. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 1019-28. ★★

201名のピーナッツアレルギー児を対象にプロバイオティクス併用の経口免疫療法(PPOIT)及び経口免疫療法単独(POIT)の効果を検討した研究のpost hoc解析として、PPOITやPOITの経過に影響する背景因子を検討。ピーナッツ強感作、他のアレルギー疾患の合併、アナフィラキシー歴などがあると寛解率が低下、またQOLには性、アナフィラキシー歴、年齢などが影響した。

 

C-24-4-5 小児における新型コロナウイルスと喘息発症⇒新型コロナウイルスに喘息発症リスクなしSenter JP et al. COVID-19 and asthma onset in children. Pediatrics 2024; 153: e2023064615.

2020年から2021年にフィラデルフィア小児病院で新型コロナウイルス陽性と判定された小児について、その後18か月間の喘息発症リスクを対照児と比較。新型コロナウイルス感染は喘息発症のハザード比に影響を与えなかった。

 

C-24-4-6 新型コロナウイルス感染症の経過に対するアレルギー疾患の予防的効果:一般集団および癌患者のUKバイオバンクデータを用いた後方視的コホート研究⇒アレルギー疾患は新型コロナを予防する? Santaolalla A et al. Protective effects of allergic diseases in COVID-19 outcomes: A retrospective cohort study in UK Biobank in the general population and in patients with cancer. Clin Exp Allergy 2024; 54: 297-299.

イギリスにおける10万人以上の患者データの解析からアレルギーや喘息が新型コロナウイルス感染や入院のリスクを抑制することを示した。コロナ感染のリスクであるACE発現がアレルギー患者では低いことや、アレルギー性炎症に対する投薬を既に受けていることでコロナ感染も制御されること、などが影響している可能性を考察している。癌患者ではそのような関連は見られなかった。

C-24-3-1 皮膚バリアの構築と早期アトピー性皮膚炎との関連:縦断的出生コホート研究⇒出生時の皮膚バリア評価の意義Chittock J et al. Association between skin barrier development and early-onset atopic dermatitis: A longitudinal birth cohort study. J Allergy Clin Immunol 2024; 153: 732-41. ★★

128名の出生コホートを対象に、生下時からの経時的な皮膚バリア機能と4つの主要なフィラグリン遺伝子多型を評価して、生後12か月までのアトピー性皮膚炎発症との関連を検討。様々な皮膚バリア評価と発症との強い関連は見られなかったが、フィラグリン遺伝子多型とは関連が見られた。これらの評価指標を組み合わせることで早期からの発症リスク予測につながるか、さらに検討が必要。

 

C-24-3-2 牛乳、ピーナッツ、鶏卵アレルギーの成人患者における経口面英療法の長期的臨床成績:パイロット調査⇒成人の効果は限定的Thomander T et al. Long-term clinical outcome of oral immunotherapy in adults with milk, peanut, and egg allergy: a pilot study. J Allergy Clin Immunol Pract 2024; 12: 776-8.

成人の食物アレルギーの治療成績に関する報告は限られている。本論文は、成人食物アレルギー患者30名に対して経口免疫療法を施行した成績をまとめた。2年以上継続できたのは14名にとどまった。中断した16名の理由は社会的理由(引っ越し、妊娠、意欲低下)が7名、副反応が10名であった。

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