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さまざまな認知症:脳血管性認知症

脳血管性認知症

「最近歩き方がおぼつかなくなって、もの忘れもするし・・・」Dさん、70歳、男性

以前から高血圧で薬を飲んでいた。1年前から徐々にもの忘れが目立つようになった。半年前から日付の感覚があいまいになってきた。「ハイハイ」と返事はよいのに実際はすっかり忘れており、そのことを叱られてもあまり悪びれた様子がない。同じ頃から、チョコチョコとすり足で歩く傾向がでてきた。また、尿をもらしてズボンを濡らすことが増えてきた。

脳血管性認知症

普通、脳梗塞・脳出血などの脳血管障害では、手足の麻痺、言語の障害などがみられることが多いですが、ときにそれらの症状がなく、記憶障害、見当識障害など認知症を思わせる症状だけが現れることがあります。通常、発症時期が比較的はっきりしていることが多いとされていますが、多発性ラクナ梗塞による認知症や、大脳白質の慢性虚血によるもの(ビンスワンガー病、Binswanger disease)では、アルツハイマー病と同様に徐々に進行することがあります。高血圧症がある、小刻みな歩行になる、比較的早期から失禁が多い、などの特徴があります。脳MRIなどで診断できます。進行予防には早期からの血圧管理など、脳血管障害を予防する治療が大切になります。