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A: 現在のところ一次性の認知症を完全に予防することはできません。ただ、普段から趣味に励んだり、積極的に社会活動に参加したりする人は認知症になりにくい、と言われています。また緑黄色野菜や魚を中心としたバランスの良い食生活を続けることも認知症の予防に効果があるようです。
A: 現在のところ一次性の認知症を完全に予防することはできません。ただ、普段から趣味に励んだり、積極的に社会活動に参加したりする人は認知症になりにくい、と言われています。また緑黄色野菜や魚を中心としたバランスの良い食生活を続けることも認知症の予防に効果があるようです。
A: 認知症はいくつかのタイプに分かれ、それぞれ特徴的な症状や、それが原因でおこる行動(いわゆる問題行動)がみられます。早い時期に認知症のタイプが分かっていれば、これから起こるであろう症状を予測できますし、対策を立てることができます。場合によっては問題行動を食い止めることさえできるのです。薬物に関しても同様で、効く薬と効かない薬、飲んではいけない薬などがあります。早めの相談をお勧めします。
A: それぞれの症状が次第に進み、自立した生活が困難になります。末期には日常生活の基本的な動作ができず寝たきりになります。けれどもその期間には個人差があり、患者さんの中にはアルツハイマー病をはじめ、認知症という病気を持ちながらもいきいきと過ごしておられる方が少なくありません。最も大切なことは、患者さんが今持てる能力でどのように幸せに暮らしていけるかを考えることです。
A: 現在発売されているアルツハイマー病の治療薬であるコリンエステラーゼ阻害剤は、残念ながら、病気そのものを治癒させることはできません。けれども服用する人によっては認知症の進行を遅らせることが可能です。具体的には、「落ち着きがみられるようになった」「機嫌が良くなった」「話がよく通じるようになった」「自分から進んで家の用事をするようになった」などの改善がみられています。また不眠やイライラ、怒りっぽさ、強い不安感などには別の種類の薬が有効ですが、副作用が現れたり、場合によっては悪化することもありますので、専門医と十分に相談して、処方を受けて下さい。
A: あまりにも同じ質問を繰り返されると、腹が立って「さっきも言ったやろ」と念を押したくなりますね。認知症にみられる病的な「もの忘れ」の特徴として1.体験そのものを「まるごと」忘れてしまう、2.忘れていることを自覚できない、ことがあげられます。介護する方にとっては「何度も尋ねられる」ことですが、患者さんにとっては常に「はじめて」のことになります。ですので、「さっきも言ったやろ」などと患者さんには身に覚えのないことでしかられたり無視されると、怒ったり、不安になったりして、別の症状の原因につながることも考えられます。なかなかできないことですが、繰り返される質問には根気よく、何度も答えてあげることが一番良い対応となります。また、どういう気持ちが何度も尋ねさせているのかを考えることも良い対応につながると思います。
A: 昼間の活動が減少すると、夜間の眠りが浅くなり、昼夜が逆転したり、意識障害であるせん妄を引き起こすきっかけになったりします。昼間はできるだけ活動的に、夜間はぐっすり寝てもらうようにしましょう。何もしなくなったのは、何をして良いのかわからなくなった、とも考えられます。患者さんにとって何か興味のあることを見つけて提供できるといいですが、見つからない場合、デイサービスなどに参加するだけでも効果があるようです。
あなたの介護している患者さんの疾患によってその理由が違ってきます。「アルツハイマー病」である場合、それは「徘徊」と呼ばれる症状であることがほとんどです。背景としては、不安で落ち着かない、その場所の居心地が悪い、親しい人(家族など)を探そうとしている、ことなどが考えられます。ここに居て大丈夫なのだということを、言葉や態度で伝えることが大切です。それでもやはり出て行こうとされる場合は、一緒に外出して、頃合いを見て「疲れたし、休みましょう」と伝えて戻りましょう。
患者さんの疾患が「前頭側頭葉変性症」である場合、外へ出て行こうとするのは「周徊」と言い、繰り返し行動と呼ばれるものの一つであることが多いようです。患者さんはたとえ雨が降っていても、毎日、同じ時間に、同じコースを散歩せずにはいられません。そして「周徊」は放っておくとその回数が増加する傾向にあるようです。そうなる前に、より適切な方向へ患者さんの興味を向けさせること(デイサービスへの参加など)が重要です。
A: 一生懸命介護をしているのに、犯人扱いされてしまう御家族やケアスタッフの方々のお気持ちは察するに余りあります。けれども、認知症の患者さんにとって一番身近な人が“犯人”になってしまうことが多いようです。妄想は大切な物をしまいこんで、その場所を忘れてしまう記憶の障害がきっかけになります。最初は“思い違い・勘違い”のレベルであることが多いのですが、「私は盗っていません」と強く否定されるとむきになり、「やっぱり盗ったに違いない」という“信念”に変っていきます。そうなる前に一緒に探しましょう。そして見つかった時には一緒に喜びましょう。大切なのは“思い違い・勘違い”を正すことではなく、見つかったことで患者さんが安心されることです。他人が盗ったことにしなければ、自分の記憶の障害と折り合いを付けられない患者さんの気持ちに寄り添うことが、あなたの気持ちを落ち着かせ、患者さんに安心感を与えることになります。