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形成外科

スタッフ

形成外科 科長 兼 手術部 副部長

吉川 勝宇

専門医認定

日本形成外科学会専門医

日本形成外科学会再建・マイクロサージャリー分野指導医

日本救急医学会専門医

乳房再建エキスパンダー及びインプラント使用に関する責任医師

日本形成外科学会皮膚腫瘍外科分野指導医

その他所属

京都大学医学部臨床教授

京都大学医学博士

Plastic and Reconstructive Surgery-Global Open Assosiate Editor

京滋乳癌研究会世話人

滋賀形成外科医会監査役

日本形成外科学会「頭頸部再建診療ガイドライン」作成委員

日本形成外科学会、日本救急医学会、日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会、

日本手外科学会、日本熱傷学会、日本頭蓋顎顔面外科学会、日本創傷外科学会、

日本頭頚部癌学会、 日本形成外科手術手技学会、日本口蓋裂学会、日本マイクロサージャリー学会

医員

首藤 加奈

専攻医

増田 敦

専門医認定

緩和ケア研修会修了

非常勤

荻野 秀一

その他所属

滋賀医科大学医学部附属病院 形成外科助教

形成外科について

形成外科は、主に体の表面にある病気の治療を行います。体表面の変形を治したり、失った機能や体の一部を新たに作ったりする治療を行います。滋賀県立総合病院では形成外科は2016年4月1日に開設されました。当施設は京都大学形成外科学教室の関連施設でもあります。

診療方針または特色ある治療法など

患者さまの立場に立って診療を提供してまいります。ご都合に合わせて診療計画を立てたり、痛みを極力少なくし、リラックスした環境で治療できるよう配慮いたします。

傷や変形をきれいに治すことを主な目的とし、顔や手足など身体表面の、ケガ、顔面骨折、やけど、腫瘍、先天異常、皮膚潰瘍、がんの切除・再建、乳房再建治療、顔面神経麻痺の再建手術、潰瘍、褥瘡、壊疽などの治療を行います。

リンパ浮腫

がん治療のためのリンパ節郭清や放射線療法後に生じることが多い疾患です。リンパの流れが停滞することで、生涯にわたり腕や脚がむくむことがあります。このむくみをリンパ浮腫といいます。これは乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、皮膚がんなどの治療による後遺症の一つです。発症時期には個人差があり、手術直後から発症することもあれば10年以上経過してから発症することもあります。まずは、弾性ストッキングやリンパマッサージによる保存的治療を行います。保存的治療で軽快しない場合は手術療法を行います。手術療法には、リンパ管と静脈を吻合するリンパ管静脈吻合術と、リンパ節皮弁移植術の2種類があります。リンパ管静脈吻合術は従来から行われている治療法で確立された方法で、初期のリンパ浮腫に対し有効です。一方のリンパ節皮弁移植術は比較的新しい手術方法で、中等度から重度のリンパ浮腫に対し適応があります。顎の下からリンパ節を採取し、四肢に移植します。どちらの方法も完全に正常な四肢に戻ることはありませんが、おおよそ60~70%の改善を認めることができます。

四肢のむくみがリンパ浮腫によるものなのか、また手術適応があるのか等、リンパ浮腫にお悩みの方は、金曜日の外来に是非ご相談ください。

眼瞼下垂

上まぶたが上がりにくくなることにより、視野が狭くなる状態です。

多くの場合は上まぶたを持ち上げる筋肉(挙筋)が弱くなることが原因ですので、筋肉を縮める手術(挙筋短縮術)で治療が可能です。しかし、皮膚の余剰量や挙筋の力の程度に応じて余剰皮膚の切除や筋膜による吊り上げ術を行います。治療によって視野が広がるだけでなく、見た目が若返ったと喜ばれる方もおられます。

先天性の眼瞼下垂と言って生来まぶたが上がりにくいことがあります。先天性眼瞼下垂の手術はほとんどが小児ですが、大人の場合と異なりまぶたを挙げる筋肉がほとんど動かないため挙筋短縮では効果がない場合が多いです。筋肉がほとんど動かない場合は筋膜吊り上げ術を行います。

顔面神経麻痺

顔面神経麻痺は様々な原因で生じます。原因に対する治療を十分に行っても、残念ながら後遺症として高度な顔面神経麻痺が残る場合があります。それらに対する再建治療を形成外科で行います。

1. 静的再建

顔面神経麻痺による顔面の下垂に対して、大腿筋膜という膜を用いて、下眼瞼、小鼻、口角を吊り上げる手術です。下垂を吊り上げる治療で、顔面の動きは再現されないので静的再建と言います。

2. 動的再建

静的再建に対し、動きのある再建を動的再建と言います。神経移植や神経縫合などの神経を再建する方法と、側頭筋移植や薄筋移植などの筋肉を移植する方法があります。

(1) 神経移行術

脳手術や耳の奥の手術の術後で、麻痺はあるものの、顔面の筋肉および神経が構造として残っている場合に適応となります。舌下神経という神経と顔面神経をつないで、舌下神経からの電気信号が顔面神経に流れるようにする手術です。舌下神経を半切してつなぐ方法と、ふくらはぎから採取した神経をバイパスとしてつなぐ方法があります。発症から1年以上経過する場合は顔面の筋肉の萎縮が進行するため効果が弱くなります。

(2) 筋肉移植術

手術や外傷により顔面神経の構造が失われてしまった場合、または、発症から長期間経過するため顔面の筋肉が萎縮している場合に適応となります。当院では眼瞼(閉瞼の再建、兎眼、下眼瞼外反の再建)には側頭筋移植を行い、口角挙上の再建には神経血管付き薄筋移植を行っています。

褥瘡

褥瘡とは「床ずれ」と言われるもので、麻痺や老衰などによりご自身での体位の変換が難しい患者様に見られます。体の一部への荷重が続くことにより、その部位の組織が壊死に陥り、皮膚潰瘍となるものです。治療の基本は、患部への荷重を軽減すること(免荷)です。規則的な体位の変換や、体圧分散エアーマットレスなどを用います。おおきな褥瘡や感染を伴う褥瘡の場合は、局所からの蛋白漏出により栄養状態が悪化していることがしばしばあります。栄養状態の改善も褥瘡治療の重要なポイントの一つで、当院では栄養サポートチーム(NST: Nutrition Support Team)と連携して治療を行っています。

局所の治療の基本は、洗浄処置と外用薬剤や創傷被覆材によるもので皮膚ケア専門看護師(WOCナース)と連携して治療を行います。なかなか治らない場合や、重症の褥瘡の場合は閉鎖手術を行うこともあります。褥瘡の術式は部位によって、筋皮弁や筋膜皮弁など多くありますが、例えば仙骨部の褥瘡に対しては大殿筋穿通枝皮弁法が現在の主流となっております。

外来担当医表

外来担当医表をご覧ください。