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心臓病について

心臓は心筋と呼ばれる規則正しく収縮する筋肉からできており、血液を全身に送り込むポンプの役割を担っています。人間の身体は心臓から送られてきた血液により養われており、その意味で心臓は大変重要な組織です。その心臓を冒す病気として以下に上げるような様々な病気があり、我々はその治療に励んでいます。

虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症など)

これは、心臓を養っている冠動脈(図1)に動脈硬化(図2)が生じて引き起こされる病気です。

虚血性心疾患
  1. 狭心症

    冠動脈に動脈硬化が生じ、心臓に十分な血液が流れなくなり、労作時などに胸の圧迫感を感じる病気です。動脈硬化でなく冠動脈の痙攣により心臓に十分な血液が流れなくなり、胸の圧迫感を感じるタイプの狭心症もあります。このタイプは一般に安静時(寝ているときなど)に症状を自覚します。診断の最終的な確定には心臓カテーテル検査が必要です。

  2. 心筋梗塞

    心臓を養っている冠動脈が閉塞し、心筋に血液が流れなくなり心筋が壊死に陥る病気です。壊死に陥った心筋は収縮する力を失い、豆腐のようにもろくなってしまいます。その結果、心臓が破れたり(心破裂)、不整脈が生じたりして、命に関わる状態になることもあります。症状としては、冷や汗を伴うような激しい胸痛が特徴的ですが、様々です。心臓は一般に血流の途絶後6時間経過すると完全に壊死に陥ってしまうといわれており、心筋梗塞発症後はできるだけ早く血流を再開させてあげることが重要です。その為、我々は24時間体制で心筋梗塞患者さんの治療にあたっています。

我々はこれら虚血性心疾患に対して、積極的にカテーテルによる治療を行い、国内だけでなく世界的にも高い評価を得ています。

心臓弁膜症

心臓弁膜症

心臓は4つの部屋に分かれていますが、その各部屋を仕切って、血液の逆流を防止しているのが、大動脈弁、僧帽弁、肺動脈弁、三尖弁、という4つの弁です。これらの弁に変化が生じ、弁が開きにくくなったり(狭窄症)、閉まりにくくなったり(閉鎖不全症)するのが、心臓弁膜症で、ひどくなると心不全を引き起こします。

我々は、エコー検査(超音波検査)、カテーテル検査にて診断、重症度の評価を行い、それを元に、最適な治療(薬物治療、カテーテル治療、手術療法など)を選択し、治療にあたっています。

不整脈

脈が乱れるのが、不整脈です。これには、脈が遅くなるものと(徐脈性不整脈)、脈が速くなるもの(頻脈性不整脈)とがあります。

徐脈性不整脈に対しては、必要に応じてペースメーカーの植え込み手術を行っています。頻脈性不整脈に対しては、薬剤による治療を行うとともに、可能な場合にはカテーテルアブレーション(足、首の動静脈から心臓までカテーテルを挿入して、高周波の電流にて不整脈の原因になっている部分を焼却して不整脈をおこらなくする手術)を行っています。

特に心房細動アブレーションは発作性から慢性まで幅広く施行しており、心不全や脳塞栓症の発症予防に効果を挙げています。

心筋症

これは心臓の機能に異常をもたらす、心筋(心臓の筋肉)の病気です。肥大型心筋症、拡張型心筋症、拘束型心筋症、不整脈源性右室心筋症、などがあります。

われわれは、エコー検査、カテーテル検査、心筋生検(心臓の筋肉の一部をカテーテルを用いて採取し、それを病理学的に評価する検査)などにて診断し、治療にあたっています。特に心臓の収縮力が低下して、心不全を引き起こす拡張型心筋症に対しては、近年注目されているベータ遮断薬を使った治療を積極的に行い、拡張型心筋症患者さんの症状改善、予後改善に努めています。

解離性大動脈瘤

動脈は内膜、中膜、外膜の三層より成り立っていますが、中膜が何らかの原因により裂けてしまう病気です。中膜が裂けた結果薄くなってしまった血管壁は破裂しやすい状況になり、放置しておくと生命の危険にさらされる状態となります。症状としては、胸部から背部にかけての激しい痛みが特徴的です。

緊急で外科的な手術が必要になることも多い病気ですが、我々は心臓血管外科とともに24時間体制でこの疾患の患者さんの治療にあたっています。

胸部・腹部大動脈瘤

大動脈瘤とは大動脈が部分的に拡張した病気です。ほとんどの場合無症状ですが、急速に大きくなるような場合は破裂の危険があり、手術の対象となることがあります。