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子宮頸がんの原因はヒトパピローマウイルス(HPV)です。
ヒトパピローマウイルスは、性交渉により女性の8割が50歳までに感染するといわれており、通常は感染しても自然に排除されますが、ハイリスク型に感染した場合、子宮の入り口(頸部)に数年かけて前がん病変として腫瘍化し、子宮頸がんに進行する場合があります。子宮頸がんは国内で年間10,000人が罹患し、年間約2,700人の女性が命を落とし、特に20代から30代で最も頻度の高いがんです。HPVはハイリスク型が15種類程度存在しますが、その中で主にHPV16型、18型が子宮頸がんの約65%を占めています。
HPVワクチン接種で16型と18型HPV感染による子宮頸がんを予防できます。
HPVワクチンは最も子宮頸がんのハイリスク型であるHPV16型18型を標的としており、ワクチンを接種することで、HPV16型と18型で発症する子宮頸がんの予防ができます。HPVワクチンには16型18型を予防する2価ワクチン(サーバリックス)と16型18型に加え良性腫瘍の尖圭コンジローマの原因である6型と11型を予防する4価ワクチン(ガーダシル)があります。ワクチンの予防効果は8~10年は確認されていますが、16型18型以外のHPV感染に関しては対応していないため、成人になられてからは子宮頸癌検診を受けていただく必要があります。
当院婦人科と滋賀県立小児保健医療センター予防接種外来でHPVワクチンの接種ができます。婦人科では4価ワクチンを、小児保健医療センターでは2価と4価ワクチンを取り扱っております。公費予防接種の対象が、小学校6年生~高校1年生の女性となっており、半年間で3回ワクチンを注射することになります。期間を過ぎると自費となりますのでご注意ください。
HPVワクチン接種の副反応は他の予防接種と同等の頻度です。
ワクチンの接種部位のはれや痛みは8割から9割の頻度で報告されていますが、これは身体の中でウイルス感染を防御するための免疫反応としての症状でほとんどが数日程度で治まります。また注射の痛みによって心拍数や血圧が低下して失神が起きることがあります。接種後は30分院内で安静にしていただきます。
日本国内でワクチンを接種した人の中に、痛み、運動障害、不随意運動、その他多彩な症状が報告されていますが、同様の症状はワクチンを接種していない同じ世代の女性や男性にも報告されており、因果関係は証明されていません。
重大な副反応は極めてまれです。国内の報告によると約890万回接種のうち副反応が疑われた方が2584人(0.03%)で、そのうち90%以上が回復しています。10万人中2人(0.002%)が回復が確認されていない副反応と報告されています。本ワクチンにより健康被害にあわれた方の救済制度や、対応にあたる専門機関も整備されています。
現在、わが国においては積極的接種が差し控えられていますが、HPVワクチンプログラムが普及する国々では子宮頸がんおよび前がん病変の減少が認められており、世界保健機構(WHO)はHPVワクチンは極めて安全なワクチンであり、日本で子宮頸がんによる死亡率が増加している状況にもかかわらず、ワクチン接種の勧奨が中止されている事態を憂慮する旨の声明を発表しています。
HPVワクチン接種は予約制です。
下記の市町の住所に応じて必要な手続きを行い、必要書類と母子健康手帳を持参してください。
以下の項目に該当する方は小児保健医療センターで予防接種を受けていただくようお願いします。
小学6年生以上~成人の女性
予約受付 | TEL:077-582-9704 婦人科外来受付Dブロック |
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予約時間 | 月~金 14:00~16:00 |
相談窓口 | TEL:077-582-8141 がん相談支援センター |
初診日 | 月・水・金 15:00~15:30 |
再診日 | 月~金 担当医予約枠 |
※現在4価ワクチンのみ取り扱っています。
※ワクチン接種予定日1週間前までにご予約ください。
小学6年生以上~18歳未満の女性の方
予約受付 | TEL:077-582-8425 |
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相談窓口 | TEL:077-582-6296 予防接種センター |
相談・予約対応時間 | 火・木 9:00~16:30 水 9:00~12:00 |
※2価、4価ワクチンのみ取り扱っています。
※ワクチン接種予定日1週間前(前の週の木曜日12:00)までにご予約ください。