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乳腺センター

乳がんについて

乳がんは全国で年間約10万人の女性が罹っており、罹患数は女性の悪性疾患の中で第1位です。

現在、9人に1人の日本人女性が生涯に乳がんに罹ると言われていて滋賀県においても増加の一途をたどっています。他の悪性疾患と異なるのは、50歳前と後に発症のピ-クがあり、仕事や育児をしながら闘病生活を送らざるを得ない女性が多いこと、また転移再発後も経過が長く長期にわたる治療やケアが必要となる方が多いこと、そして女性に特に関心の高い臓器であることです。

女性だけの病気ではなく、乳がん患者の0.6%が男性です。

乳腺外科の役割

乳腺外科では、乳腺疾患の診断から治療に携わっています。

 診断:マンモグラフィや超音波検査を用いた画像診断、外来診察室や手術室での生検を行っています。局所麻酔下での針生検によって乳がんの病理組織診断を行うことが多いのですが、乳房内の石灰化病変に対してはステレオガイド下吸引式生検、超音波で同定される腫瘤性病変や腫瘤非形成性病変に対しては超音波ガイド下吸引式針生検を行っています。

 治療:乳がんの病期やサブタイプに応じて、外科手術や薬物療法(内分泌療法、化学療法、分子標的療法、免疫チェックポイント阻害剤)を行っています。薬物療法は腫瘍内科と連携し基本的に外来で行なっていますが、入院での治療にも対応しています。

 外科手術: 乳がん手術には乳房全切除術と乳房部分切除術とがあります。乳房部分切除術が可能な患者さんには整容性を保つ手術「オンコプラスティックサージャリー」を行なっています。乳房全切除術後に乳房再建を希望される患者さんには形成外科医師と協力して乳房再建手術を受けていただいています。

放射線部・臨床検査部の役割

放射線部

質の高いマンモグラフィ(乳房X線検査)を提供するために、『デジタルマンモグラフィ検診施設画像認定』を取得しています。これは、厚生労働省が乳がん検診の精度維持・向上のための委員会において、厳しい基準を満たした施設に与えられるものです。3Dマンモグラフィを保有しており、撮影は女性技師が行っています。

放射線部・臨床検査部

検査部

専門の知識を持つ女性スタッフが超音波検査を担当します。被ばくの心配もなく、繰り返し検査が可能です。病変の位置・形態・性質などを画像で多方向から記録します。手術前精査・治療効果・手術後経過観察の目的で検査を行います。造影超音波検査など、さらに詳細な検査も行っています。乳腺画像病理カンファレンスにも参加し、症例の検討を医師とともに行なっています。

形成外科の役割

形成外科では乳房再建を行っています。乳房再建とは、乳がん手術による乳房の欠損や変形に対して、修復を行う手術です。乳房再建の時期は乳がんの手術の際に同時に開始する一次再建と、乳がん術後に行う二次再建とがあります。乳房再建の方法には腹直筋や腹部の脂肪、広背筋などのご自身の組織を用いた再建術と、シリコンインプラントを用いた再建術があり、患者さんのご希望を尊重し相談の上決定します。

放射線治療センターの役割

乳がんの手術後再発を予防する目的で多くの患者さんが放射線治療を受けられます。また、転移・再発後の治療においても症状を和らげたり予防する目的で有効な治療です。特に骨の転移や脳の転移に対する放射線治療は‘生活の質(QOL)’の維持や改善に重要な役割を果たしています。

リハビリテーション科の役割

乳腺センターの一員として、主に手術をされた方を中心に患者さんと関わっています。リハビリの目標は、「手術後の腕の動かしにくさや浮腫の予防・早期発見の方法を身に着けていただく」ことです。乳がんの手術後には、腕が動かしにくくなったり、腕がむくんで腫れてしまったり、といった症状が現れることがあります。

リハビリをすることでこれらの症状の予防・緩和が期待されています。リハビリの内容は ⓵肩の運動 ⓶腕の太さの測定 ⓷日常生活での注意点の説明の3つを行っています。

腫瘍内科・外来化学療法センターの役割

当院では乳腺外科および腫瘍内科の専門医が連携して抗がん剤などの薬物療法を行っています。また外来化学療法センターにはがん化学療法に関する専門的知識を持つ看護師や薬剤師が在籍しており、患者さんの気持ちや声をくみ取るようにしています。吐き気や倦怠感、手足のしびれ、脱毛などの副作用を出来るだけ上手にコントロールし、患者さんの自分らしさを保ちながら過ごせるよう、皆さんの治療をサポートさせていただきます。

ひとりで悩まれることのないよう、がん治療に関する不安やお悩みを相談ください。外来化学療法センターは患者さんやご家族にとっても気軽に相談できる場所でありたいと思っています。

薬剤師の関わり

お薬による乳がん治療(薬物療法)は、手術や放射線治療と並ぶ「がんの三大治療」の1つです。従来の抗がん薬、ホルモン薬、分子標的薬に加え、がん免疫療法が使用されるようになりました。薬物療法は日進月歩であり、特に乳がん治療は治療効果がどんどん良くなっていく反面、治療選択がとても複雑化してきました。それに加えて副作用対策も豊富になってきましたが、患者さんごとに症状は異なり最適な手段を見つけるのは容易ではありません。患者さんやご家族とよく相談し、医師・看護師等とともに協議し、よりよい治療を安全安心に継続して頂くように考え行動するのが薬剤師の大切な役割です。

また最近の取組みとして、保険薬局との連携を密にするよう取り組んでいます。病院からは治療内容等について、保険薬局からは患者さんのお家での副作用状況等について相互に情報交換しております。

乳がん治療は通院治療が主体となってきましたが、院内・院外の医療スタッフが協働して全力でサポートしていきます。

緩和ケアセンター専従看護師の関わり

緩和ケアセンターには、がん関連の研修を受けた看護師が配属されており、主治医や担当看護師からの依頼を受け、患者さんやご家族に対応しています。

診断(結果説明)時の外来診察同席および、その後の看護面談支援を通して、その時に抱えている不安を少しでも和らげ、今後の治療を選択し生活できるように支えたいと考えています。

入院中でも、患者さんのつらい症状や困りごとが緩和できるよう、緩和ケアチームのスタッフが乳腺外科と連携し、治療や退院後の生活が送れるようにサポートしていきたいと思っています。

がん相談支援センター(がん専門相談員)の関わり

ご自身やご家族が病気になると、たくさんの「困りごと」がでてきます。たくさんの「困りごと」は、病気や治療のこと、医療費や生活費、気持ちのつらさ、これからのくらしについての不安などさまざまです。

がん専門相談員は一人ひとりの「困りごと」に寄り添い相談支援を行います。がん情報コーナーでは各がん種診療ガイドライン、がんに関するパンフレット、ウィッグ、下着等のアピアランス(外見)ケア情報など取り揃えています。

臨床心理士・公認心理士の関わり

人の「こころ」と「からだ」は車の車輪のように密接に関係しており、病気になると「からだ」だけでなく「こころ」にも影響を及ぼします。特に、「がん」と診断された場合、不安、不眠、抑うつなどの症状が出てくることも少なくありません。通常、人は自分で回復する力を持っていますが、心理的苦痛の緩和が難しい場合は、医師の依頼により、こころの専門家である臨床心理士・公認心理士が、気持ちのつらさに寄り添い、その人の持つ「力」への支援を行い、他職種と連携しながら、「こころ」のしんどさを和らげるお手伝いをしています。心理的苦痛の緩和のために薬物治療が必要な場合は、主治医を通して、精神科医師への繋ぎ役もしています。また、「第2の患者」とも言われているご家族の抱えるつらさに対するサポートも行っています。

  1. 気持ちのつらさに対する支援
  2. 振り返り、その人の持つ「力」への支援
  3. コミュニケーション支援:患者さん、ご家族、医療者とのつなぎ役
  4. ご家族の支援:ご家族の抱えるつらさに対するサポート

乳腺ドックのご案内

乳腺ドックによる乳がんの早期発見・予防

当院では任意型検診としての乳腺ドックを行なっており、3Dマンモグラフィ検査と乳腺超音波検査(エコー)を併用することで乳がんの早期発見・予防に力を入れています。

乳腺外来で乳がんの疑いはない良性疾患の場合、乳腺ドックで経過観察させていただくこともあります。

受診ご希望の方は、かかりつけ医に相談するか、初診受付にお越しください。

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