文字サイズ
竹内 雄三
赤松 俊二
臨床工学技士 15名
勤務地
滋賀県立総合病院
滋賀県立小児保健医療センター
臨床工学部には、大きく分けて10の業務分野があり、各分野ごとに1名のコアと3~10名のスタッフが配置されており、それぞれの技士が3~4つ程度の業務分野を掛け持ちし日々の業務にあたっています。また、多様な医療資格や認定資格を持つ技士がそれぞれの専門性を活かし業務を行っています。
特に、心臓カテーテル業務、心臓植込みデバイス業務、人工呼吸関連業務では医療の進歩に合わせた積極的な業務展開を行っており、先端医療の一助となるよう日々研鑽重ね業務への反映に努めています。
また、学会・研究会など活動も積極的に行っており、2017年度は18件の講演、5件の研究発表を行いました。
手術ナビゲーションシステム、レーザーメス、超音波手術装置、ラジオ波焼灼装置などの機器の操作や管理を行っております。
手術ナビゲーションシステムでは、神経や血管、臓器の3次元画像をリアルタイムに構築することで、正確な手術をナビゲーションでき、より的確で精度の高い手術をサポートしています。
KTP/YAGレーザーは組織への浸透が浅く、止血しながら切開が出来ます。
超音波吸引装置により組織を乳化・吸引することで、重要な血管の損傷が回避でき、出血量を抑えた安全な手術が行えます。
人工心肺装置、心筋保護装置、自己血回収装置、PCPS、IABP、一時的ペースメーカーなどの操作を行っています。
IVUS、IABP、ロータブレーター、PCPSの操作、心電図・血圧の監視、治療記録の作成を行っています。
心臓カテーテル検査中に心電図や血圧を測定したり、状態に変化が無いか監視しています。
IVUS(血管内超音波装置)やロータブレータ(回転型アテレクトミー)を治療に合わせて操作しています。
重症心不全患者に経皮的心肺補助装置(PCPS)が導入された場合、集中治療室において24時間体制で管理を行っています。
カテーテルを用いた不整脈の治療では、多数の電極がついたカテーテルを心臓内に挿入し、電位解析装置とプログラム刺激装置を用いて不整脈の診断を行います。このことをElectrophysiological Study(EPS)と言います。また、3Dマッピング装置を用いて不整脈の起源や回路の同定を行います。
その上で、高周波通電装置と3Dナビゲーションを使ってカテーテルで不整脈の起源や回路を焼灼し治療します。このことをカテーテルアブレーションと言います。最近では、心房細動治療のための肺静脈隔離術において、クライオ(冷凍)バールーンカテーテルを用いた冷凍アブレーションも行っています。
技士はこれらの診断・治療に関わるすべての医療機器を操作し、医師と連携して不整脈治療にあたっています。
植込み手術から退院指導、外来フォローアップまで携わっており、デバイスを植込まれた患者の安全・安心やQOLの向上のために医師と連携をとりながら業務を行っています。
また、緊急のデバイスチェックや電気メスを用いる手術、放射線治療、MRI検査などの電磁干渉にも対応しています。
患者が在宅のままデバイスのチェックが行える遠隔モニタリング※1も積極的に導入しており、これを用いて他の病院や診療所と連携した患者のフォローアップも行っています。
※1:患者の自宅に送信機を設置することで、デバイスの情報をインターネットを介して病院などに送ることができるシステム
心臓に留置するリード線の位置決定のために、ペーシングシステムアナライザを操作して心内電位や刺激閾値の測定を行います。
患者さんが退院後、安心して生活できるよう定期チェックの必要性や電磁干渉の影響などについて説明します。
植込みデバイスが適正に動作するように、プログラマーを用いて電池電圧やペーシング閾値、心内波高などの測定を行います。
また、不整脈の検出やデバイスの作動の適否を明らかにし、医師に報告しています。
遠隔モニタリングを積極的に導入し、他の病院や診療所との連携を図ることで、患者の診察や通院の利便性向上に努めています。
急性期を中心にあらゆる血液浄化(濾過、吸着、除去など)を施行しています。外来透析は行っていませんが、維持透析をされている患者さんが入院すればその間に必要な透析は行います。
血液浄化の他にも、血液癌の治療として末梢血幹細胞採取、難治性腹水症に対する腹水濾過濃縮再静注法なども行っており、がん拠点病院としての機能の一翼を担っています。
血液浄化に関する施行条件や膜の選択に関しては臨床工学技士が主体となって提案を行っており、医師や看護師と連携をとりながら、より良い血液浄化が施行できるよう日々業務を行っています。
睡眠時無呼吸症候群や慢性心不全に合併したチェーンストークス呼吸の患者に対して、呼吸器内科、循環器内科と連携を取りながら、CPAP、ASVの導入と装置のデータ解析を行っています。
マスクのトラブルが多く、装着方法やマスクリークに対する対処方法などの指導を行うことは重要です。そのため導入時やトラブル時に適宜指導を行っています。
導入が決まった患者には病棟または外来にて機器の説明などを行っています。
また、ウェブモニタリングシステムにより転院後も開業医と連携して患者管理を行っています。
人工呼吸器の定期点検をはじめ、人工呼吸器使用中ラウンドによる日常点検や運用管理を行うとともに、装置の機能が最大限に活かされるよう医師に対して設定変更の推奨なども行っています。
また、呼吸ケアチーム(RCT)の一員として呼吸ケアの質向上に貢献しています。
救急車による人工呼吸患者の搬送の際には、医師とともに搭乗し安全な患者搬送に貢献しています。
また、事前に転院先の病院へ人工呼吸器使用に関わる情報を伝え、転院後も安心して使用して頂けるような対応も行っています。
輸液ポンプ、シリンジポンプ、人工呼吸器などを中央管理し、各種ME機器の定期点検や修理、メンテナンスを行っています。
医療機器の定期点検は年間計画を立て漏れのないように行っています。
また、メーカー主催のメンテナンス講習会に積極的に参加し、故障時の院内修理が出来る限り行えるような体制をとっています。また、保守に関する知識と技術を習得したうえで定期的に消耗部品などの交換を行い、装置の機能維持と安全性を担保しています。
ME室管理機器の貸出/返却スペースも充実!
小児保健医療センターでは、人工呼吸器管理、在宅移行支援、ME機器管理、手術支援などの業務を行っています。
小児保健医療センターには呼吸異常を伴う先天性疾患児が多いことから、排痰補助装置や各種の呼吸関連装置を駆使しながら治療の支援を行っています。
在宅支援業務では、訪問看護師、ヘルパーなどとの他職種連携を重視しながら支援を行っています。
院内で使用しているME機器について、主に看護師を対象に研修会を開催しています。
実際に体験してもらって日頃の業務に活かしてもらっています。
県内の訪問看護ステーションに対してアンケート調査を行い、その結果から在宅人工呼吸について疑問や不安を抱えた方々がおられることを実感し、平成27年度より在宅人工呼吸器体験セミナーを開催しています。
臨床工学技士、慢性呼吸器疾患看護認定看護師が担当しています。
実技中心の研修を体験して頂き、在宅人工呼吸器に関する不安や疑問に対して専門性のあるスタッフが対応することで、参加者全員の実践スキルがアップすることを目標としています。
内容の異なる4つのブースで、体験を通じた研修を受けていただきます。具体的にはマスクフィッティング、拘束性換気障害、排痰補助装置、理学療法による排痰手技、体得する換気モードなどです。