文字サイズ
血液は身体の隅々まで流れ、細胞や組織に種々の栄養分やホルモンなどを運んでいます。また、細胞や組織で不要になった物質を吸収または回収しています。
病気になると、血液によって運搬される物の量や質、免疫関連タンパク質の量に変化が生じます。血中の種々の化学物質やタンパク質を測定することで身体の健康状態をチェックすることができます。
生化学・免疫血清検査では、血液中の液状成分である血清あるいは血漿や尿を検査材料として次のような検査を実施しています。
血液中や尿中の糖質・脂質・蛋白質・無機イオン・酵素などの化学物質を定量測定する検査です。
総タンパク(TP) | 血液中に流れるタンパク質の総称で、その成分の半分以上はアルブミンです。 |
---|---|
アルブミン(ALB) | タンパク質の中でも、主に栄養分などを全身に運ぶ働きを持ちます。 |
アルカリフォスファターゼ | 肝臓の障害以外に骨の病気や妊娠でも上昇します。 |
AST(GOT) | 心筋、肝臓、骨格筋、腎臓に分布する酵素です。 |
ALT(GPT) | 肝臓に最も多くある酵素です。 |
LDH | 肝臓や心臓などの障害で上昇します。 |
γ-GTP | γ-GTP 主に肝臓に存在します。 |
CPK | 筋肉(骨格筋や心筋)の障害で上昇します。 |
トロポニンI | 急性心筋梗塞の早期に上昇します。 |
総コレステロール | 高値は動脈硬化の危険因子です。 |
HDL-コレステロール | 善玉コレステロール。動脈硬化を防ぐ働きがあります。 |
LDL-コレステロール | 悪玉コレステロール。高値は動脈硬化の危険因子です。 |
中性脂肪(TG) | 高値は動脈硬化の危険因子です。食後や飲酒後でも上昇します。 |
BUN(尿素窒素) | 腎臓から排出される代謝産物で、腎機能障害で上昇します。 |
クレアチニン | 筋肉中のクレアチンの代謝産物です。 |
その他の検査項目 | 総ビリルビン、直接ビリルビン、コリンエステラーゼ、アミラーゼ、CPK、CK-MB、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、クロール(Cl)、無機リン(IP)、尿酸、アンモニア、鉄(Fe)、不飽和鉄結合能(UIBC)、血清浸透圧など |
感染や免疫異常などによる疾患の診断に広く用いられています。
分析装置
感染や免疫異常などによる疾患の診断に広く用いられています。
CRP | 炎症や組織障害で上昇します。 |
---|---|
RF | 慢性関節リウマチなどで上昇します。 |
IgG | 感染防御として働く蛋白です。 |
その他の検査項目 | IgA、IgM、HBs抗原、HBs抗体、HBc抗体、HCV抗体、HIV抗原・抗体、TP抗体、RPRなど |
内分泌系の全身制御はホルモンと呼ばれる小分子の量的調節によって行われ、量的質的異常を確認します。
また、糖代謝の検査もここに含まれます。
甲状腺刺激ホルモン(TSH) | 甲状腺ホルモンの過剰・不足は代謝・循環器・精神機能など全身に大きな影響を及ぼし、疾患の種類、治療経過に応じて変動します。 |
---|---|
遊離トリヨードサイロニン(FT3) | 甲状腺機能の指標として重要です。 |
遊離サイロキシン(FT4) | 甲状腺機能の指標として重要です。 |
脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP) | 心臓で合成分泌される心不全の指標です。 |
血糖(グルコース) | 血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度です。糖尿病や食後に高値を示します。 |
ヘモグロビンA1c(HbA1c) | 赤血球中のヘモグロビンに糖がどれくらいの割合で結合してい糖尿病や食後に高値を示します。コントロールの指標となります。 |
腫瘍マーカーとは、正常細胞ではほとんど産生されず、主に腫瘍細胞が特異的に産生する物質を指します。癌の補助診断、病期の判定、治療効果の判定、経過観察、予後推定などに用いられます。
PSA | 前立腺上皮より分泌される糖蛋白で、前立腺癌などで上昇します。 |
---|---|
CEA | 消化器癌を中心に上昇します。 |
CA19-9 | 膵癌、胆道癌などで主に上昇します。 |
その他の検査項目 | フェリチン、AFP、PIVKA-II、SCC、CA-125、シフラ、KL-6など |
投与後に薬剤の血中濃度が有効範囲にあるかを判断するための検査です。
バンコマイシン | グリコペプチド系薬抗菌薬で、主にMRSAと呼ばれる細菌に使用されます。 |
---|---|
ジゴキシン | 主に狭心症および心房細動に対して用いられます。 |
その他の検査項目 | タクロリムス、シクロスポリンなど |
血液と同様に病気になると尿中の物質が増減します。化学的に尿を分析し各種成分を分析します。
また、尿中に排泄される物質は食事や運動などにより変動しますので、1日量(蓄尿)を用いて分析する場合があります。
主な検査項目 | 尿浸透圧、尿蛋白、尿糖、尿クレアチニン、尿UN(尿素窒素)、尿Ca(カルシウム)、尿P(リン)、尿Na(ナトリウム)、尿K(カリウム)など |
---|