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令和2年度は、新型コロナウイルス感染症に対応するため、刻々と変化していく状況に合わせて、臨床検査部一丸となって検査体制の構築に取り組みました。特にCOVID-19 PCR検査に関しては、研究所にご協力いただき検査技術を習得し、5月にPCR装置を導入後は、微生物検査室を中心に部門を超えて8名が検査を担当、当日中の結果報告が可能な体制を整えました。令和3年2月からは、行政PCR検査も平日は臨床検査部で実施しています。また、当院には地域外来PCRセンターが設置されており、そこで採取された検体と全身麻酔術前スクリーニングの検体については、外注委託処理等の業務も行なっています。
令和元年度の検体検査機器の更新後、外来採血室で採血された外来至急検体について、機器更新前と比較すると、自動分注・搬送システムの運用開始により、甲状腺項目、腫瘍マーカーおよび感染症項目では報告時間が短縮でき、臨床側への結果報告の迅速化が図れました。
医療法改正により、臨床検査の品質と精度保証の評価が厳しくなり、作業日誌、管理台帳等を活用して日々の管理を行ない、異常データの記録や許容限界対応記録は、検査部全体の精度保証に対する意識の向上に役立てています。令和2年度は、日本臨床検査技師会精度保証施設認証制度へ申請し承認を得ました。
外部精度管理においては、日本臨床検査技師会精度管理(AおよびB評価99.6%)、滋賀県技師会精度管理(全てA評価)、日本医師会精度管理(修正点:98.9点)であり、客観的にも高い評価が得られました。
当院は、がんゲノム医療連携病院の指定を受けており、複雑化する遺伝子関連検査では、がんパネル検査の検体受付から外注委託までを担当するなど、臨床からの要望に対して、日々きめ細かい対応に努めています。
生理検査部門では、平成28年のエコー検査のセンター化により業務の効率的な運用が進み、令和2年度は臨床からの要望に応えるため、関節エコー検査枠の増枠、腎動脈血流測定検査枠を新設しました。待ち時間の短縮を図るため、報告方法にも工夫をしています。また、3Dエコー装置の導入で、より精密な検査が実施できるようになりました。
微生物検査では、令和元年度の質量分析装置導入により血液培養陽性時の報告が迅速化され、AST(抗菌薬適正使用支援チーム)の血流感染症への早期介入を可能にしました。当院は、感染防止対策加算1および、感染防止対策地域連携加算を取得しており、感染管理室とともに地域の感染対策にも貢献しています。
血液管理室では、血液製剤の在庫管理、頻回輸血のチェックおよび自己血貯血時の介助なども行い、血液製剤の適切な管理に努め、血液製剤廃棄金額を対前年度比30%減少させることができました。事務局となっている輸血療法委員会では、輸血に関する様々な情報を集約し、臨床へ提供しています。
チーム医療の分野では、感染制御チーム(ICT)、感染管理実践者(ICP)チーム、AST、栄養サポートチーム(NST)、糖尿病療養指導、心臓リハビリ、術中モニタリングに参加し、脳外科、乳腺、外科カンファレンスにも参加、クリニカルパス委員会においても積極的に活動し、職種横断的に活動することで専門知識や情報を提供しています。糖尿病療養指導では、病棟ナースとの連携を密にして患者サービスを向上させています。
財務の面では、検体管理加算(I)および(IV)算定の認可を受けて、臨床検査の適正化に取り組んでいます。臨床検査適正化委員会の事務局としては、新規検査項目の要望に対する適正な判断や、オーダー側への情報提供(包括項目・重複検査削減等)を行い、患者負担の軽減と効率的な検査の実施に関する啓発に努めています。
学術活動は、新型コロナウイルス感染症のため、研修会等が激減する中でも、学会発表は5回、講演など院内外での教育活動は14回行うと共に、検査部内勉強会、Web開催を含め院内外の研修会へ積極的に参加し、スキルアップや最新知識の習得に努めました。また、専門性を高めるため、積極的に資格取得に取り組んでおり、新たに1名が日本リウマチ学会登録ソノグラフィ資格を取得しました。広報紙、リーフレットも5回発行し、臨床検査部の業務を広くアピールしています。
臨床検査部には特定化学物質と有機溶剤の技能講習を受講した作業主任者が3名在籍し、安全な職場環境の維持にも努めています。
(学会発表)
(論文)