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滋賀県立総合病院では、2007年10月より外来化学療法室を設置し、化学療法の管理、副作用のチェック・対処のみならず、患者さんの心や体の変化に対するアドバイスやサポートを行ってきました。2008年10月より効率的かつ効果的な化学療法の提供とがん医療の質の向上を図ることを目的として化学療法部が設置され、2016年11月の新病棟開設を機に外来化学療法室をベッド数25床に拡張した外来化学療法センターとして一新しました。
当院のがん化学療法には、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医1名、日本医療薬学会がん専門薬剤師1名、がん薬物療法認定薬剤師2名、がん看護専門看護師1名、がん化学療法看護認定看護師2名を含む多くの専門的スタッフが関与し、安全かつ効果の高い治療を行えるように取り組んでいます。具体的には以下のことを主な業務としています。
がん化学療法に関わるすべての診療科・薬剤部・看護部が関与する、広範囲の運営となっており、月1回運営会議を開催し、これらの目的を達成すべく努力しています。
業務実績としましては、平成27年度の外来・入院化学療法の延べ件数は、各々4576件(月平均381件)と2588件(月平均216件)となっています。
がん化学療法の進歩はめざましく、専門性が要求されます。がん化学療法をうけられる患者さんの数は年々増加しており、それに応えるべく、がん化学療法に関する業務の充実・改善に努めています。
医師は、患者様ごとに抗がん剤治療の計画をたて実施しています。この治療計画は、科学的根拠に基づいた標準的治療なのかを医師、薬剤師および看護師が確認し、有効性と安全性について協議したうえで承認しています。
薬剤師は、処方が治療計画に正しく沿っているかを確認し、幾重にもチェックを行いながら無菌的に薬剤の調製を行っています。
安心して治療を受けていただくため、ご希望により薬剤師がお薬の作用や副作用および注意点について説明しています。また、副作用が疑われるときは、医師や看護師と協議し副作用対策を提案しています。
抗がん剤治療については、多くの患者様が不安を抱えていらっしゃると思います。経験豊富なスタッフ一同が対応しますので、ご遠慮なく医師、薬剤師、看護師にご相談ください。
~外来で治療を受けられる方々へのメッセージ~外来化学療法とは、抗がん薬を使用した薬物治療を通院しながら外来で行う治療法です。入院期間を短縮し、お仕事やご家族との大切な時間を少しでも多く持ちながら治療を行うことができ、患者さんのより良い生活の質を保つことができると言われています。
しかし、帰宅後にどんな症状がでるのだろうか、そんなときにはどうしたらいいのだろうか、と最初はいくつかの不安も生じやすいことがわかってきました。そこで、外来化学療法センターでは、患者さんが安心して治療を受けて頂けるように、入院中、外来通院中いずれの方にも、外来での治療が始まる前に外来化学療法センターにおいでいただいて、看護師が外来化学療法のオリエンテーション(説明)を行っています。
また、患者さんお一人お一人に「自己管理ノート」をお渡ししています。この「自己管理ノート」は、ご自宅で感じられた症状などを記入して、外来通院時に持参していただくものです。私たち外来化学療法担当者は、その記録をもとに患者さんのご自宅での様子を理解するよう努め、お一人お一人に応じた医療や看護が提供できるよう取り組んでいます。
万が一、外来化学療法に関連して患者さんやご家族に心配事が生じたり、対処に困ったりされたときには、外来化学療法担当看護師が患者さん、ご家族とともにその先の対応を考え、大切な治療が順調に継続できるようサポート致します。どうぞ、遠慮なく外来化学療法センターの看護師にお声かけください。
○緊急時の対応
当院は、化学療法に専任の医師、看護師、薬剤師が院内に配置されており、外来で化学療法を受けている患者さんで、電話等の緊急の相談がある場合でも休日・夜間問わず24時間体制での連絡体制を整えています。また、副作用と思われる症状が出現した際でも休日・夜間問わず24時間体制で診療を行っています。
○受診を希望される場合
化学療法による副作用で救急診療を希望されるときは、当院までお電話いただき、救急診療依頼と化学療法を受けている旨をお伝えください。ただし、救急外来では、重症患者さんの治療が優先されます。そのため、患者さんの診察状況によって、待ち時間が長くなる場合があることをご了承ください。
○がん化学療法委員会
当院では定期的にがん化学療法委員会を開催しています。がん化学療法に関わる各診療科の医師、看護師、薬剤師および管理栄養士によりレジメン(治療内容)の妥当性を評価し、治療効果の高い標準治療を安全に提供できるように管理しています。