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当院における「がん遺伝子パネル検査」実施体制について

 当院は2019年4月より、「がんゲノム医療中核拠点病院」である京都大学医学部附属病院と連携する「がんゲノム医療連携病院」として、がん遺伝子パネル検査(がんゲノムプロファイリング検査)を保険診療で提供しています。さらに、2025年3月からは当院内でエキスパートパネルを開催可能な体制を整備し、がんゲノム医療の実施拠点としての機能を強化しています。


 2019年6月より、がん組織の遺伝子(がんゲノム)の変異を調べて効果が期待できる薬の選択につなげることを目的とした「がん遺伝子パネル検査」が保険承認されました。がんができた「臓器」ではなくがんに生じた「遺伝子異常」を調べることで治療を選択するため、たとえば、肺がんに対して使用される薬剤が大腸がんに対して有効であるという結果になることも想定されます。がん診療における新たな治療選択肢の手がかりとなる一方で、検査の特性上、以下のような留意点があります。

保険適用の条件(2025年4月時点)

本検査は、以下の条件をすべて満たす患者さんに対して、原則1回に限り保険診療として実施可能です。

  • 固形がんであること(※血液がんは対象外)
  • がんが根治切除不能または再発していること
  • 以下のいずれかに該当すること:
    ・標準治療が終了、または終了が見込まれている
    ・原発不明がんや希少がんなど、標準治療が確立されていない疾患である

また、手術により治癒可能な早期がんや、抗がん薬治療が実施不可能な症例は対象外です。

治療に結びつく可能性

 がん遺伝子パネル検査の結果、治療に有用な遺伝子異常が見つかる割合は1015%とされています。ただし、実際に保険適用のある治療薬を使用できるかどうかは、がん種や全身状態、治療歴等によって異なります。

検査結果に基づいて保険適用外の治療薬が示唆された場合、以下の対応を検討します。

  • 治験や臨床試験の参加が可能かどうかを検討します。治験や臨床試験の参加の可否は、遺伝子異常の種類に加え、がん種・病状・治療歴・検査値等に基づき判断されます。C-CAT(がんゲノム情報管理センター)に登録された情報をもとに、参加可能な治験が提示されることもあります。
  • 治験参加が困難な場合、保険外での薬剤投与を検討することがあります。保険適用外での投薬が可能かどうかは所定の審査が必要です。保険適用外での投薬が必要となる場合、薬剤費・診察費・検査費等はすべて自己負担(10割負担)となります。また、この場合は高額療養費制度の対象外となり、月額数十万円程度の費用が発生する可能性があります。

実施体制と申込方法について

 当院では、がん遺伝子パネル検査の実施にあたって、遺伝子診療センターが窓口となり、専任の医療チームが対応しています。検査結果の解釈や治療方針については、当院内のエキスパートパネルにおいて多職種で検討し、必要に応じて中核拠点病院との連携も継続しています。

検査の流れや申し込み方法、必要書類等の詳細については、以下のページをご参照ください。

 遺伝子診療センターでの診療について

 ご不明な点がございましたら、当院がん相談支援センターまたは前方連携担当までお問い合わせください。患者さんご本人だけでなく、他院からのご相談にも対応しております。

 

【お問い合わせ先】

◆ 検査内容・治療内容についてのご相談
がん相談支援センター
TEL:077-582-8141
FAX:077-582-5073

◆ 検査依頼・紹介・申込手続きに関するご相談
前方連携(経営強化推進室)
TEL:077-582-9711
FAX:077-582-9712