人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。
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令和4年(2022年)11月(第175号)
11月25日から12月1日まで「犯罪被害者週間」です!
そこで今月号のじんけん通信では、犯罪被害者等を支える社会づくりについて特集し、今年の3月に策定された「第2次滋賀県犯罪被害者等支援推進計画」の特徴と犯罪被害者を支援する「公益社団法人おうみ犯罪被害者支援センター(以下「おうみ犯罪被害者支援センター」と言います。)」のインタビュー内容を紹介します!
すべての人の人権が尊重される豊かな社会の実現を目指し、県ではさまざまな啓発活動を実施しています。ぜひ積極的にご参加ください!
犯罪被害者の方々は、命を奪われる、身体を傷つけられる、物を盗まれる、などの生命、身体、財産上の直接的な被害だけでなく、被害後に生じるさまざまな問題に苦しめられます。
このような問題は「二次的被害」と呼ばれます。
様々な犯罪等が跡を絶たず、それらに巻き込まれた犯罪被害者等の多くは、これまでその権利が尊重されてきたとは言い難いばかりか、十分な支援を受けられず、社会において孤立することを余儀なくされてきました。さらに、犯罪等による直接的な被害にとどまらず、その後も副次的な被害に苦しめられることも少なくなかったこともあり、平成17年(2005年)4月1日に「犯罪被害者等基本法」が施行されました。
本県においては、平成15年に制定した「なくそう犯罪」滋賀安全なまちづくり条例に基づく基本方針において5つの基本的方向の1つとして「犯罪被害者や弱者の支援」を掲げ、各部局が連携して取り組みを進めてきました。
近年、様々な犯罪が後を絶たず、県民誰もが犯罪被害者等となる可能性があり、さまざまな課題を抱える犯罪被害者の方々が一日も早く、再び平穏な生活を営むことができるよう、平成19年7月に「犯罪被害者総合窓口」を開設し、平成21年4月からは公益社団法人おうみ犯罪被害者支援センターに窓口業務を委託しました。
また、犯罪被害者等に対する理解を深め、ともに支え合い、安心して暮らしていくことができる滋賀を目指して、「滋賀県犯罪被害者等支援条例」を平成30年4月1日に施行し、同条例に基づき、「滋賀県犯罪被害者等支援推進計画」を策定しました。
「滋賀県犯罪被害者等支援推進計画」が令和3年度(2021年度)末をもって計画期間が終了することから、犯罪被害者等支援を取り巻く環境の変化や新たな課題への対応を踏まえ、令和4年(2022年)3月に「第2次滋賀県犯罪被害者等支援推進計画」を策定しました。
この計画では、
1.犯罪被害者等が抱える多様な課題に応え、平穏な生活への復帰を支援する。
2.犯罪被害者等を支える社会の形成を推進する。
という基本的な方向のもと、施策を進めることとしており、以下のとおり、6点の項目を新規・拡充しました。
(1)「社会生活の変化に対応した相談環境の整備」
デジタル化の進展等も踏まえ、より犯罪被害者等が相談しやすい相談環境の整備を進めます。
(2)「市町と民間被害者支援団体との連携強化」
住民にとって身近な生活支援施策を行っている市町と民間被害者支援団体との連携強化を図るとともに、市町における犯罪被害者等支援の充実を図ります。
(3)「大規模事案等への対応」
同時に多数の死傷者が生じるなど、大規模事案等が発生した際に備え、本県における経験や他都道府県の事例等を踏まえ、関係機関等と連携して必要な支援を行えるよう体制を整備します。
(4)「インターネット上の誹謗中傷等に関する相談支援と啓発の強化」に努めるとともに、民間被害者支援団体とも連携を図ります。
(5)「学校における性犯罪・性暴力に対する教育の一層の充実」を図ります。
(6)「民間被害者支援団体との連携強化と支援」として、関係機関等との連携をさらに強化するとともに、団体の活動が安定して継続的に行われるよう、人材の育成や財政基盤の強化に向けた取組について支援を行います。
詳しくは、県ホームページ(リンク)をご覧ください。
近年の相談支援件数については、下表のとおり増加傾向となっています。これは、相談窓口の周知が図られたことや、関係機関の横つなぎの支援体制が強化されたことによるものと考えています。
相談窓口では、一人ひとりの事情に配慮し、適切な支援が継続的に受けられるよう、寄り添った相談支援を行っています。
「おうみ犯罪被害者支援センター」は、滋賀県公安委員会から指定を受けた犯罪被害者等早期援助団体で、犯罪による被害、交通事故や事件などの被害者や、その家族・関係者の方々が必要とされる支援をしています。
相談は無料で、電話相談だけでなく、ご希望により面接相談も受けることができます。
今回は、「第2次滋賀県犯罪被害者等支援推進計画」について、これまでから犯罪被害者支援に様々な形でかかわってくださいました「おうみ犯罪被害者支援センター」の副理事長、松村裕美さんに、お聞きしました。
Q 今回の計画改定にあたって、どのようにかかわってくださったのですか。また、今後望むことはどのようなことがありますか。
今回の計画改定にあたっては、県の担当者の方をはじめ様々な機会を通じて、たくさんの意見を聞いていただきました。
提案した主な意見としては、「性暴力等の被害に対する支援」、「子どもの被害に対する支援」、「障害のある人の被害に対する支援」などがあります。
その中でも複合的な問題となるのですが、「子どもの性被害」について、実際の相談内容、対応を踏まえて提案をさせていただきました。
性暴力等の被害については、「性暴力被害者総合ケアワンストップびわ湖(SATOCO)」で対応いただいていますが、その内の半分程度が未成年の被害であり、加害者の約9割が知っている人となっています。家族からの性被害であったり、親族、先生、コーチ、塾の先生、SNSで知り合った人からの性被害などとなります。
特に子どもは「性被害」がどういうものか、という理解が不足していることもあるので、様々な大人が教える機会が重要と考えています。また、身近な相談相手となる学校の先生が適切な対応がとれるような研修の機会の充実も今後の課題と考えています。大切なのは被害にあった子どもが「自分が悪い」と思うことが無いよう、相談された際には、「悪いのはあなたじゃない」、「そのことを話せたあなたの勇気はすばらしい」、「あなたが話してくれたから他の人が被害にあわずにすんだ」と良い方向に上書きできるようにすることだと思います。
また、「障害のある人への被害」についても、性暴力が特に多いことに心を痛めています。被害の日時が特定できない、場所を覚えていない、常に一貫した説明ができないなど障害特性による問題があるので、被害届を出すことが困難な事例も多くあります。こういった点についても、今後さらに対応を充実させていく必要があると考えています。
Q 今回の計画改定のポイントに「大規模事案への対応」が盛り込まれていますが、どのようにお考えですか。
県内の大規模事案としては、令和元年(2019年)5月に起こった大津市内(瀬田地域)の保育園の交通事故の際に、大きくかかわりました。事故発生後すぐに、どのように被害者の支援を行うか、ということを考え、滋賀弁護士会に相談し、被害者支援に強い弁護士に集まっていただきました。その後保育園とも相談したうえで、事故後1週間くらいで全体の説明会、個別相談会を開催し、一体的な対応を図ることができました。これは過去の他府県の事件の教訓が生きています。そのまま裁判も同じ弁護団で行うことができ、被害者の裁判への参加も行うことができました。
この事案では被害者が県内の方でしたので、「おうみ犯罪被害者支援センター」など県内の機関で対応を行いましたが、近隣府県に被害者やその家族がわたる場合、県域を越えた対応が求められることとなり、相互支援や連携が必要となるので、その際にはコーディネートする力が問われると思います。
Q その他にはどのようなことが必要とお考えですか。
まず一つ目は「インターネット」の問題。今の子どもたちはネットからすぐに情報を仕入れる時代になりました。新型コロナウイルス感染症の影響もあり、タブレットやスマホ、ゲーム機の利用が増え、さらにそれを通して容易に他人とつながる時代となりました。
リアルとネットは別と大人は考えてしまいますが、子どもにとっては両者の違いがないので、当たり前のようにネット経由で出会ってしまう時代です。
当然被害も増えることとなり、現状は追いかけっこどころではない状況です。たまたま流れ着いた一人を助けているのが現状で、それよりも上流、被害にあう前に守る必要があると感じています。「何に気を付ける必要があるか」など家庭、学校教育がそれに負けないようにする必要があると感じています。
次に「県内市町との連携協定」です。現在19市町中8市町と協定を結んでいますが、協定を結べている市町とは情報の共有が図れるため、支援がスムーズにできます。日ごろから相談にも乗ることができますし、そういう関係性があることでお互いに助かる状況となっています。
Q 最後にメッセージをお願いします。
防犯活動と被害者支援は異なることを知ってほしいと思います。防犯活動はわかりやすく効果が出ますが、それにより被害者は余計にしんどい状況となることもあるのです。言い換えると、危ないから池に近寄ってはいけない、と言い続けるのが防犯で、池に近寄らないようにしていたにもかかわらず、ある日突然池に放り込まれたのが被害者です。自分で這い上がる力がない状況に陥ってしまうことを想像してもらうと、被害者支援の必要性をご理解いただけるのではないでしょうか。
● 児童虐待防止推進月間
児童虐待に関する相談対応件数は依然として増加傾向にあり、子どもの生命が奪われるなど重大な事件も後を絶たない状況です。児童虐待は社会全体で解決すべき深刻な問題です。月間中は児童虐待問題に対する深い関心と理解を得ることができるよう、集中的に広報・啓発などを行います。
● 子供・若者育成支援強調月間
期間中は、子供・若者育成支援に関する国民運動の一層の充実や定着を図ることを目的として、関係省庁、地方公共団体および関係団体とともに、諸事業、諸活動を集中的に実施します。
● 過労死等防止啓発月間
月間中は、過労死等を防止することの重要性について国民への周知・啓発を目的に、各都道府県で「シンポジウム」を行うほか、無料の電話相談を行います。
● 1日 滋賀教育の日
県民がこぞって滋賀の教育について考える機運を高め、社会全体で子どもの育ちを支える環境づくりを促進することを目的に、平成18年(2006年)に制定されました。 県民をはじめとして、地域、企業、学校など、教育に関係する機関・団体それぞれが主体的に取り組み、互いに連携・協力して「滋賀教育の日」の趣旨の普及・啓発を図ります。
● 4日~17日 福祉人材確保重点実施期間
広く福祉・介護サービスについての理解を深めるとともに、福祉人材の確保・定着を図る観点から、介護の日(11月11日)を中心として11月4日から17日までを「福祉人材確保重点実施期間」と定めています。期間中は、全国各地で関係団体などによる、さまざまな行事が開催され、広く周知を図ります。
● 11日 介護の日
介護についての理解と認識を深め、介護サービス利用者及びその家族、介護従事者等を支援するとともに、地域社会における支え合いや交流を促進するため定められました。この日には、全国各地で関係団体などによるさまざまな行事が開催されます。
● 13日~26日 家族の週間/20日 家族の日
子供と子育てを応援する社会の実現のためには、子供を大切にし、社会全体で子育てを支え、個人の希望がかなえられるバランスの取れた総合的な子育て支援を推進していく必要があり、平成19年度から、11月の第3日曜日を「家族の日」とし、さらに、その前後1週間を「家族の週間」と定め、地方公共団体、関係団体等と幅広く連携・協力し、行事の開催や啓発を実施します。
● 12日~25日 女性に対する暴力をなくす運動
夫・パートナーからの暴力、性犯罪、売買春、セクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為等女性に対する暴力は、女性の人権を著しく侵害するものであり、男女共同参画社会を形成していく上で克服すべき重要な課題であり、期間中に地方公共団体、女性団体その他の関係団体との連携、協力の下、社会の意識啓発など、女性に対する暴力の問題に関する取組を一層強化します。
● 18日~24日 全国一斉「女性の人権ホットライン」強化週間
全国の法務局・地方法務局では、専用相談電話「女性の人権ホットライン(0570-070-810[ゼロナナゼロのハートライン])」を設置して、女性をめぐるさまざまな人権問題についての相談に応じています。週間中は、平日の電話相談受付時間を延長し、土・日曜日も電話相談に応じます。
● 20日 世界の子どもの日
昭和29年(1954年)、国連総会は全ての加盟国に対し「世界の子どもの日」を制定して、子どもたちの世界的な友愛と相互理解の日に、また世界の子どもたちの福祉を増進させる活動の日に当てるよう勧告しました。一般的には「子どもの権利宣言」「子どもの権利条約」が採択された11月20日に制定されていますが、日本は5月5日のこどもの日を日本版「子どもの日」としています。
● 25日~12月1日 犯罪被害者週間
犯罪被害者等は、犯罪等による直接的な被害に加え、社会の無理解・無関心などから配慮に欠けた対応をされるなど、二次的な被害にも苦しめられています。このような犯罪被害者等の置かれた状況について国民が理解を深め、犯罪等による被害について考える機会として定められました。期間中、全国各地で広報啓発行事を行い、犯罪被害者等への理解・配慮・協力を呼びかけます。
●そして現在、特殊詐欺被害が多発しています。お金やキャッシュカードを要求する話の電話は、詐欺電話です!「他人にキャッシュカードを渡さない。暗証番号を教えない。」を徹底していただきますようお願いします。