人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。
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令和3年(2021年)9月(第161号)
滋賀県では、毎年9月を「同和問題啓発強調月間」と定め、同和問題についての理解と認識を深め、部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消をはかるため、集中的に啓発に取り組んでいます。
じんけん通信9月号では、部落差別の現状や月間がはじまった経緯などをお伝えするとともに、月間中に実施する啓発事業についてもご紹介します。同和問題の一日も早い解消に向けて考えるきっかけとしていただければ幸いです。
同和問題とは、同和地区・被差別部落などと呼ばれる地域の出身であることや、そこに住んでいることを理由に、結婚を反対されたり、就職や日常生活のうえで様々な差別を受けたりするという、日本固有の人権問題です。
この問題は、日本社会の歴史的発展の過程で形づくられた身分的差別による差別意識が、現代社会にいまだに残っているために起きています。
滋賀県では、同和問題は基本的人権に関わる重大な問題であるとして、教育・啓発活動を積極的に推進してきました。この結果、県民の同和問題に対する理解・認識は徐々に深まってきていますが、近年では、情報化の進展に伴い、誰でも自由に書込みができるインターネット(以下「ネット」と言う。)の掲示板やSNSなどで、部落差別に関する差別的な内容の書込みが数多く見られます。
このように、ネット上の差別書込みが社会的に大きな問題となっていることから、平成28年(2016年)12月に、現在もなお部落差別が存在し、これを解消することが重要な課題であるとの認識のもと、「部落差別の解消の推進に関する法律(部落差別解消推進法)」が施行されました。
皆さんも学校で習われて覚えておられるかもしれませんが、大正11年(1922年)3月3日に被差別部落の人々の解放を目指して開かれた「全国水平社」創立大会から、令和4年(2022年)3月で100年を迎えます。この水平社運動は、被差別部落の人々の基本的人権の自覚を促すとともに、部落差別がいかに不当であるかを社会に認識させることとなりました。
しかしながら、現在でもネット上で発生している差別書込みは、同和問題を知らない人や正しく理解していない人に同和地区に対するマイナスイメージを植え付け、ひいては差別を助長・拡散し、誰かを傷つけることにもなる行為です。
ネットの世界は架空の世界ではありません。画面の向こう側に誰かがいることや、匿名性が実際には高くないこと、被害者にも加害者にもなりかねないものであること等を常に意識して利用するなど、その利用においても一人ひとりの人権意識が問われていることを知る必要があります。
県では、県民一人ひとりが、同和問題についての理解と認識を深め、部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消に向けて、主体的に行動していただけるよう、様々な啓発に取り組んでいます。
しかしながら、購入しようとしている土地が同和地区であるかどうかを問い合わせる行為や差別落書きなどは依然として発生しています。
「同和問題のことなど口に出さず、そっとしておけば、差別は自然になくなる」という考えは、差別を受けている人たちに我慢を強いるもので、結果的に差別を温存させる誤った考え方です。
子どもの時にマイナスのイメージで入った意識は、大人になってもなかなかぬぐいきれないことが多くあります。そのため、家庭や学校、地域において子どもたちが同和問題を正しく学ぶことが、部落差別を温存する社会意識を変える大きな力となります。
あいまいな情報やうわさ話を信じていませんか?差別をなくすには、一人ひとりが正しい知識を学び、人権意識を高めることが大切です。この機会に同和問題に対する理解をより一層深めて、差別を許さない社会をみんなでつくっていきましょう。
同和問題について一人ひとりが自分のこととして考え、行動するきっかけとしていただくため、「こんなときどうしますか」「考えてみましょう」「学習を深めるために」「ワンポイント講座」など、問題提起と解説でわかりやすく学んでいただける啓発冊子を作成、配布しています。
同冊子は県のホームページに掲載しているほか、希望される方にはお送りしますので、県人権施策推進課までお問い合わせください。
(電話番号:077-528-3533 FAX番号:077-528-4852)
※右の図をクリックすると、PDF版が開きます。
県では、県広報誌「滋賀プラスワン」に年3回、人権に関する取組などを紹介する人権特集記事「ふれあいプラスワン」を掲載しています。
令和3年9月1日発行の9-10月号(9月1日に新聞折り込みで配布)では、「100年前の人々が願ったこと~全国水平社宣言に込められた思い~」をテーマとした記事を掲載していますので是非ご一読ください。
なお、「全国水平社」創立大会で読み上げられた水平社宣言の全文についてはこちらからご覧いただけます。
〇同和問題啓発強調月間のはじまり
冒頭に述べたとおり、滋賀県では、毎年9月を同和問題啓発強調月間と定め、部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消に向けて集中的に啓発に取り組んでいますが、このはじまりは昭和60年(1985年)にまでさかのぼります。
昭和36年(1961年)に国で「同和対策審議会」が設置され、昭和40年(1965年)8月に「同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。(中略)その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である。」と内閣総理大臣あてに答申されました。いわゆる同対審答申です。
この答申から昭和60年で20年間が経過しましたが、なお差別事象があとを絶たない状況であったことから、一日も早い同和問題の解決のために、滋賀県では昭和60年から毎年9月を「同和問題啓発強調月間」と定め、集中的に啓発を展開していくこととしました。このことは昭和60年9月1日に当時の滋賀県厚生部同和対策課が発行した「ふれあい第58号」に掲載されています。
〇シンボルマーク
同和問題啓発強調月間のシンボルマークは、月間が始まった翌年の昭和61年(1986年)にできました(右図参照)。また、県・県教育委員会主催で始めた同和問題啓発強調月間も、昭和61年度には当時の市町村・市町村教育委員会も一緒になって集中的な啓発を行うこととなったようです。この同和問題啓発強調月間の取り組みは35年経った現在も続いています。
※シンボルマークに込められた意味を書き出してみると…
(1)同和問題を人間相互の課題として訴えていくために、人間そのものをシンボル化しています。
(2)県民一人ひとりが同和問題の意識を高めるために、その連帯感を人間が腕組した集合体で表現しています。
(3)線を太く白地にして印象を強め、テーマをより強調しています。
(4)全体を正円で囲み、みんなで繰り広げる「輪」・「和」を表しています。
★同和問題啓発強調月間のメインテーマおよびシンボルマークはこちら
前述のとおり、同和問題啓発強調月間を定めて以来、様々な媒体を活用して県民の皆さんに同和問題について考え、解消に向けて取り組んでいくきっかけとなるように啓発をおこなってきました。そこで、最近の主な同和問題啓発強調月間ポスターとそこに込められた意味をご紹介します(一部抜粋)。
ジンケンダーについてはこちら
本年度も様々な啓発事業を集中的に実施します。月間中に実施する予定の啓発事業についてご紹介します。
街中やテレビ、新聞等で是非探してみてください。そして、すべての人の人権が尊重される社会づくりについて、考え、行動に移してもらえると大変うれしいです。
●啓発ポスター
人権が尊重される社会づくりに向けては、一人ひとりが自らの問題と捉えて前向きに解決していくことが大切です。
近年、同和問題をはじめとして「コロナ差別」など様々な人権問題が深刻化している状況です。次世代を担う子どもたちに、人と人とが分かり合うことの大切さを伝えていく必要があります。
偏見等、マイナスイメージを持って決めつける前に、お互いに知る・考えることで、自分だけではなくみんなの笑顔を増やしていきましょう。
※公共施設や駅、商業施設などに掲示しています。
●啓発物品
ポスターと同じデザインを表紙にしたメモ帳を、商業施設などで配布しています。
表紙裏等には、人権相談窓口の連絡先や4コマ漫画、部落差別解消推進法の情報を掲載しています。
●啓発広告の掲出 上記のポスターを基調とした様々な広告を掲出しています。
・新聞広告
9月1日(水) 各新聞(毎日、読売、産経、京都、中日、朝日)の滋賀版
・交通広告
京阪電車 9月1日(水)~9月15日(水)
近江鉄道バス・帝産湖南交通バス 9月9日(木)~10月8日(金)
・地域情報誌
「レイクスマガジン」9月号
・スマートフォン向け広告
9月15日(水)~9月24日(金)
「Yahoo!Japan」および「Yahoo!ニュース」のアプリ、スマートフォン向けWEBページ等
●テレビスポット
ポスターと統一したコンセプトで制作した30秒テレビスポットCMを放送しています。
9月 びわ湖放送
●じんけんミニフェスタ
子どもから大人まで、身近なところから人権について考え、行動することの大切さが感じられるように、滋賀県人権啓発キャラクター「ジンケンダー」とともに啓発活動を実施します。
※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開催日程を変更しました。
第1回
開催日時:令和3年(2021年)10月16日土曜日 10時から15時まで
開催場所:びわこ文化公園 わんぱく原っぱおよびその周辺(大津市瀬田南大萱町1740-1)
開催内容:手話シンガーソングライターyokkoさんとジンケンダーのステージイベントや人権○×クイズ、吹奏楽ステージ、人権啓発ブースの設置の他、公園内の施設でワークショップなども実施します。
第2回
開催場所:ブランチ大津京 さんかく広場(大津市二本松1-1)
開催日時:令和3年(2021年)10月24日日曜日 11時から16時まで
開催内容:手話シンガーソングライターyokkoさんとジンケンダーのステージイベントや人権○×クイズ、吹奏楽ステージ、人権啓発ブースの設置等
※新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況により、変更する場合があります。変更する場合は、じんけんミニフェスタのページでお知らせします。
「STOP!コロナ差別」(新型コロナウイルス感染症に関連した人権侵害の防止について)
・同和問題啓発強調月間
滋賀県および県内市町では、県民のみなさんが同和問題についての正しい理解と認識を深め、県民一人ひとりが部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消に向けて主体的に行動できるよう、毎年9月を「同和問題啓発強調月間」として、さまざまな啓発事業を集中的に実施します。
・発達障害福祉月間
日本発達障害福祉連盟が主催する啓発月間であり、月間中は、発達障害への関心と正しい理解を深めることを目的とした啓発活動が行われます。
・障害者雇用支援月間
事業主のみならず、広く国民の皆様に対して障害者雇用の機運を醸成するとともに、障害者の職業的自立を支援するため、厚生労働省や独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構をはじめとする関係機関が協力して、様々な啓発活動を行っています。
・8日 国際識字デー
昭和40年(1965年)9月8日からイランで開催された「世界教育相会議(テヘラン会議)」において、当時のパーレビー国王が各国の軍事費1日分を識字基金に拠出することを提案したのがきっかけで、アメリカのジョンソン大統領が米国議会に9月8日を「国際識字デー」に制定するように呼びかけ、UNESCO(国際連合教育科学文化機関)が制定しました。
・10日 世界自殺予防デー、10日~16日 自殺予防週間
10日はWHO(世界保健機関)が定めた「世界自殺予防デー(World Suicide Prevention Day)」です。我が国では10日から16日までを自殺予防週間としています。悩みを抱えた人たちに広く支援の手を差し伸べていくことで、「誰も自殺に追い込まれることのない社会」を目指しましょう。
・15日 老人の日 、15日~21日 老人週間
だれもが健康で安心して生きがいをもった生活を送ることのできる長寿社会を築いていくことが求められています。このため、9月15日を「老人の日」、この日から21日までを「老人週間」とし、この期間を中心に、国民の間に広く高齢者の福祉について関心と理解を深めるとともに、高齢者に対して自らの生活の向上に努める意欲を促すための広報・啓発活動が国や関係団体により行われます。
・21日 国際平和デー
国連が「国際平和デー」を最初に宣言したのは昭和56年(1981年)です。従来、「国際平和デー」は毎年9月の国連総会開会日に制定され、開会式では各国代表がこの日を記念して1分間の黙祷を行うことが慣例となっていました。平成14年(2002年)からは、毎年9月21日を「国際平和デー」に定め、以後、世界の停戦と非暴力の日として、すべての国と人々に、この日一日は敵対行為を停止するよう働きかけています。
・21日 世界アルツハイマーデー
平成6年(1994年)「国際アルツハイマー病協会」(ADI)は、世界保健機関(WHO)と共同で毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定しています。アルツハイマー病等に関する認識を高め、世界の患者と家族に援助と希望をもたらす事を目的としています。
・23日 手話言語の国際デー
国連は、平成29年(2017年)12月19日の総会において、この日を「手話言語の国際デー(International Day of Sign Languages)」と宣言する決議を採択しました。決議文では、手話言語が音声言語と対等であることを認め、ろう者の人権が完全に保障されるよう、国連加盟国が社会全体で手話言語についての意識を高めるための手段を講じることを促進するとしています。
正しく知る・考えることが、みんなの笑顔につながるのだー!