人権施策推進課では、人権に関する特集記事「じんけん通信」を毎月、ホームページ上で発信しています。
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令和2年(2020年)9月(第149号)
滋賀県では、毎年9月を「同和問題啓発強調月間」と定め、部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消に向けて、集中的に啓発に取り組んでいます。
じんけん通信9月号では、今年発表された部落差別の実態に係る調査の結果を参照し、同和問題の現状についてお伝えするとともに、月間中に実施する啓発事業についてもご紹介します。
同和問題とは、同和地区・被差別部落などと呼ばれる地域の出身であることや、そこに住んでいることを理由に、結婚を反対されたり、就職や日常生活のうえで様々な差別を受けたりするという、日本固有の人権問題です。
この問題は、日本社会の歴史的発展の過程で形作られた身分的差別による差別意識が、現代社会にいまだに残っているために起きています。
同和問題の解決および人権尊重の理念の普及に向けて長らく取組がされてきたところですが、平成28年(2016年)12月に、現在もなお部落差別が存在し、これを解消することが重要な課題であるとの認識のもと、部落差別の解消の推進に関する法律(以下「部落差別解消推進法」)が施行されました。
同和問題啓発冊子「こころのいずみへ」は県ホームページに掲載しています。冊子の送付を希望される方は、人権施策推進課までお問い合わせください。
(TEL:077-528-3533)
※左の図をクリックすると、PDF版が開きます
部落差別解消推進法の第6条には、「部落差別の実態に係る調査を行う」ことが明記されており、これを受けて、法務省および文部科学省により次の4つの調査が実施されました。
1.法務省の人権擁護機関が把握する差別事例の調査
2.地方公共団体(教育委員会を含む)が把握する差別事例の調査
3.インターネット上の部落差別の実態に係る調査
4.一般国民に対する意識調査
令和2年(2020年)6月にこれらの調査結果が公表されましたので、今回のじんけん通信で、国民が直接の回答者となった、3と4の調査結果の一部をご紹介します。
※部落差別の実態に係る調査結果の詳細については、以下のURLに掲載されていますのでご覧ください。
以下の記事は、法務省人権擁護局により公表された調査の結果をもとに作成しています。
●インターネット上の部落差別の実態に係る調査の結果
平成30年6月1日から令和元年5月31日までの1年間に部落差別関連ウェブページを閲覧していたことが確認された人のうち、10,117人に対してアンケート調査が実施された結果、875人から回答が得られました。
この875人のうち、「部落差別」または「同和問題」という言葉を聞いたことがあると回答した人は843人。そしてこの843人のうち、過去に部落差別または同和問題に関するウェブサイトを目にしたことがあると回答した人(部落差別または同和問題に関するウェブサイトを閲覧した記憶がある人)は351人でした。
さらにこの351人に対し、部落差別または同和問題に関するウェブサイトを閲覧したきっかけについて尋ねた結果は、表1のとおりです。
「部落差別の歴史や用語などの一般的な事柄について調べてみようと思った」や「調べたいことがあってみたわけではなく、偶然目にした」といった回答のように差別的な動機とは言い難いものが大半ですが、差別的な意図が伺われる理由を挙げたもの(ピンク着色分)も84人(23.9%)見られます。
また、上記調査において「調べたいことがあってみたわけではなく、偶然目にした」または「覚えていない」を除く259人に対し、インターネットで調べてみようと思った理由を尋ねた結果は、表2のとおりです。
「インターネットで調べるのは他の方法よりも簡単だから」が最多である一方、「インターネット上の情報は他の方法で得られる情報よりも信用できるから」は少なく、情報の信頼性よりも利便性が重視されていることが伺われます。
以上の結果から、部落差別に関するウェブサイトの閲覧動機として、差別的な意図をもって閲覧していると思われる人が一定数いること、さらに、情報の正確さよりも情報収集の簡単さからインターネットを使用する人が多いことが見てとれます。
●一般国民に対する意識調査の結果
この調査は、全国376市区町村から満18歳以上の日本国籍を有する者10,000人を抽出し、調査員が調査票を配布・回収する方法で実施され、6,216人の有効回答が得られました。
この6,216人のうち、「部落差別」または「同和問題」という言葉を聞いたことがあると回答した人は4,831人。この4,831人のうち、部落差別または同和問題がどういう内容のものか「知っている」「何となく知っている」と回答した人は4,157人でした。
部落差別または同和問題がどういう内容のものか「知っている」「何となく知っている」と回答した4,157人に対して、部落差別は不当な差別であるのを知っているか尋ねたところ、「知っている」が85.8%、「知らない」が10.8%、「部落差別は不当な差別ではない」が2.2%との回答結果でした。
また、上記の4,157人に対し、現在でも部落差別があると思うかを尋ねたところ、73.4%にあたる3,050人が「部落差別はいまだにある」と回答しています。
さらに、この4,157人に対して、近隣住民、交際相手や結婚相手、求人に対する応募者や職場の同僚が「旧同和地区」出身者であるか否かが気になるかについても調査されていますが、交際相手や結婚相手については、「気になる」が15.8%と、近隣住民や職場と比較して高くなっています(表3参照)。
以上の結果から、同和問題に対する国民の理解が進む一方、部落差別や同和問題について知っている人のうち、交際相手・結婚相手が「旧同和地区」出身者であるか否か気になる人が15.8%と、心理面における偏見、差別意識が依然として残っていることが見てとれます。
自分の身近な人に、同和地区やその出身者を避けるような人がいたら、あなたはどうしますか。
その人との関係性を壊さないために、同調するでしょうか。差別されているのが自分ではなかったら、何となく受け流すでしょうか。それとも、同和地区に対する忌避意識を持たないように働きかけるでしょうか。
前項に記載の「一般国民に対する意識調査」で、部落差別はいまだにあると答えた3,050人に対してそのように思う原因を尋ねたところ、「昔からある偏見や差別を、そのまま受け入れてしまう人が多いから」「部落差別に関する正しい知識を持っていない人がいるから」「地域社会や家庭において偏見が植えつけられることがあるから」が多く選択された回答でした。(それぞれ75.0%、59.0%、48.4%(複数回答可)。)
同和問題に関する正しい知識を持っていないと、身近な人が同和地区やその出身者に忌避意識を持っていた場合、同じように忌避意識を何となく受け入れてしまうのではないでしょうか。あからさまな差別発言などをしなくても、「何となく避けてしまう」「触れない方が無難」というその感覚が、差別のない、人権が尊重される社会の実現を妨げているのです。
また、誤った情報や差別的な情報を含んだインターネット上の情報を正しい知識を身につけないままに閲覧していると、無意識のうちに偏見が刷り込まれる恐れもあります。
同和問題について、学校や職場で聞いたことがある、という皆さんへ。人権に関する研修やイベントに参加したり、啓発冊子や書籍を読んだりして学びを深め、人権感覚をより一層磨いてください。
そしてできれば、自分一人で学ぶのではなく、周囲の人を誘って、皆でこの問題について考えてみてください。「同和問題についてよく知らない」「話題にしない方が無難」と思っている人や、人権に対する関心が薄い人であっても、親しいあなたの誘いが、同和問題について知り、考えるきっかけとなるかもしれません。
すべての人の人権が尊重される豊かな社会を実現できるかどうかは、私たち一人ひとりの行動にかかっているということを、心に留めておいてください。
●啓発ポスター
近年、インターネット上での人権侵害が深刻な問題となっています。
これは、「同和問題」に限らず、「コロナ差別」などあらゆる人権問題にわたることです。
たとえ悪意がなくても、あなたの書き込みや転載が、誰かを傷つけているかもしれません。
スマートフォン等で、指先から世界へ情報発信ができる現在、その情報が誤りでないか、誰かを傷つけることにならないか、一呼吸おいて考えてみましょう。
※公共施設や駅、商業施設などに掲示しています。
●啓発物品
ポスターと同じデザインを表紙にしたメモ帳を、商業施設などで配布しています。
●啓発広告の掲出
上記のポスターを基調とした様々な広告を掲出します。
・新聞広告
9月1日(火) 各新聞(毎日、読売、産経、京都、中日、朝日)の滋賀版
・交通広告
京阪電車 9月1日(火)~9月10日(木)
近江鉄道バス、帝産湖南交通バス 9月18日(金)~10月17日(土)
・地域情報誌
「レイクスマガジン」9月号
・スマートフォン向け広告
9月16日(水)~9月25日(金)
「Yahoo!Japan」および「Yahoo!ニュース」のアプリ スマートフォン向けWEBページ 等
●テレビスポット
ポスターと統一したコンセプトで制作した30秒テレビスポット広告を放送します。
9月 びわ湖放送
新型コロナウイルス感染症に関連した、感染者・濃厚接触者,医療従事者などに対する差別や誹謗中傷は、決して許されません。
新型コロナウイルス感染症は、誰もが感染する可能性があります。自分が感染した時の気持ちを考えて、感染者などの人権を尊重した冷静な行動を心がけましょう。
「STOP!コロナ差別」(新型コロナウイルス感染症に関連した人権侵害の防止について)
・同和問題啓発強調月間
滋賀県および県内市町では、県民のみなさんが同和問題についての正しい理解と認識を深め、県民一人ひとりが部落差別をはじめとするあらゆる差別の解消に向けて主体的に行動できるよう、毎年9月を「同和問題啓発強調月間」として、さまざまな啓発事業を集中的に実施します。
・発達障害福祉月間
月間中は、発達障害への関心と正しい理解を深めることを目的とした啓発活動が行われます。
・障害者雇用支援月間
事業主のみならず、広く国民の皆様に対して障害者雇用の機運を醸成するとともに、障害者の職業的自立を支援するため、厚生労働省や独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構をはじめとする関係機関が協力して、さまざまな啓発活動を行っています。
・8日 国際識字デー
「すべての人に読み書きを」と、1965年のユネスコ総会で定められました。識字教育の重要性を世界に呼びかけます。
・10日 世界自殺予防デー、10日~16日 自殺予防週間
10日はWHO(世界保健機関)が定めた「世界自殺予防デー(World Suicide Prevention Day)」です。わが国では10日から16日までを自殺予防週間としています。悩みを抱えた人たちに広く支援の手を差し伸べていくことで、「誰も自殺に追い込まれることのない社会」を目指しましょう。
・15日 老人の日 、15日~21日 老人週間
だれもが健康で安心して生きがいをもった生活を送ることのできる長寿社会を築いていくことが求められています。この期間を中心に、国民の間に広く高齢者の福祉について関心と理解を深めるとともに、高齢者に対して自らの生活の向上に努める意欲を促すための広報・啓発活動が行われます。
・21日 国際平和デー
平成13年(2001年)に国際平和デーを毎年9月21日とし、すべての人々の関心を喚起し、平和を祝い、祈念することを決定しました。国連総会は、この日を全世界の停戦と非暴力の日とし、一日、戦争行為を中断するようすべての国家と人民に呼びかけていくものとすると宣言しています。
・21日 世界アルツハイマーデー
1994年「国際アルツハイマー病協会」(ADI)は、世界保健機関(WHO)と共同で毎年9月21日を「世界アルツハイマーデー」と制定しています。アルツハイマー病等に関する認識を高め、世界の患者と家族に援助と希望をもたらす事を目的としています。
・23日 手話言語の国際デー
国連は、平成29年12月19日の総会において、この日を「手話言語の国際デー(International Day of Sign Languages)」と宣言する決議を採択しました。決議文では、手話言語が音声言語と対等であることを認め、ろう者の人権が完全に保障されるよう、国連加盟国が社会全体で手話言語についての意識を高めるための手段を講じることを促進するとしています。
生まれた場所や、住んでいる場所で
差別されることのない社会をつくるのだー!