体験レポート

伝説のマタギが営む『在原の業平園』で極上のジビエ料理とそばを味わう

 【在原の業平園/滋賀県高島市マキノ町】
本当にお店があるの…?と不安になるほど山奥へ。
大自然を横目にぐんぐん進むと、
突如あらわれるのが『在原の業平園』です。
名物は、84歳の店主が自ら狩猟・調理するジビエ料理。
常連客だけでなく遠方からも訪れる人が絶えない人気店です。

建物や内装も!豪快でぬくもりあふれる手作りのお店

店内に入るとドラム缶を改造した薪ストーブがお出迎え。
パチパチと薪がはぜる音と焚火のにおいが広がっています。
砂利が敷かれた店内には、がっちりとした木製のテーブルとイス。
なんと、これらはすべて店主の手作り!温もりを感じます。

大きなガラス戸からは外が一望。
この日は見渡す限りの雪原でした。

夏には新緑が広がり、
涼しい風が吹き抜けるためガラス戸を開け放っているそう。
 

メニュー

メニューは店内の看板。
イノシシやシカのステーキ、季節の天ぷらも気になるところ…。
店主・池田武治さんにおすすめを聞くと
「冬は脂がのったイノシシやシカが獲れる。この時期が一番うまい!」
というので「猪ステーキ瓦焼」を注文。

箸が止まらぬ肉のうま味に悶絶!“命”をいただく過程を見学

猪ステーキ瓦焼

瓦の上にドンと盛られた「猪ステーキ瓦焼」。
薄切りにしたイノシシ肉とネギ、
味付けは塩コショウのみというシンプルで豪快な一品です。

臭みは全くなく、口に入れると脂の甘みが一気に広がります。
ジビエが苦手だという取材班も
「本当にイノシシ肉!?おいしすぎる!」と驚いた様子で、箸が止まりません。

美味しさの秘密は、狩猟した日のうちに池田さんご自身で
解体、冷凍などの処理を行っているから。

11月から2月にかけて狩猟が解禁されると一人で雪山に入り、
大きいもので200kgにもなるイノシシを
猟銃で仕留め、山から下ろします。

「雪についた足跡を目印に追うんだ」。
険しい冬山を、カンジキを履いて一歩一歩のぼる池田さん。
イノシシの足跡をとらえると、そのまま追って山の奥へと進みます。
獲物を見つけてからは、いっそう危険が伴います。
勝負は数発。

池田さん

イノシシの突進を受けたことや
クマに左腕をかまれたこともあると言い、
「ほら、ここに傷が残っている」と腕の傷を見せる池田さん。
命のやり取りをする厳しさを身体に刻んでいました。

その姿はまさに「伝説のマタギ」。
池田さんの狩猟シーンをまとめた5分ほどの動画は必見です。
頼むと店内のテレビで見せてくれますよ。

イノシシやシカは、お店の近くにある
食肉処理場と食肉調理室で解体されます。
今回は特別に処理場の中を見せていただきました。

農作物が荒らされるなど獣害が絶えない在原。
ジビエ料理は、山と人の微妙な緊張関係の中から生まれる料理でもあります。
 

ジビエ冷凍庫

冷凍庫は、処理を済ませて冷凍した肉でいっぱいに。
脂がのって臭みも少ない冬眠前の時期に
1年分をまとめて狩猟し冷凍するため
『在原の業平園』では1年中美味しいジビエ料理がいただけます。

もう一つの名物。地産地消の食材と山の水が生みだす珠玉の一杯

業平そば

もうひとつの看板メニューは「業平そば」。
在原では昔から、来客があった時のもてなしがそばだったそう。
地元でとれたしいたけの出汁と醤油だけのシンプルな味付けのつゆに、
ネギとしいたけの佃煮がトッピング。
そばの太さがまちまちなのも愛らしく、素朴で優しい味わいです。

そばは、注文を受けてから打つというこだわりの逸品。
コシがあり、噛むほどにそばの風味が味わえるのは、
そば粉の中でも一番粉だけを使っているからなのだそう。

山の水

茹で上がったそばは、キンキンに冷えた山の水で
一気に締めるのも美味しさの理由です。

おいしいのは料理だけじゃない!景色もまるごと楽しんで

大自然を見ながら、自然の恵みいっぱいの料理を味わう。
この地を訪れた人だけが味わえる贅沢です。
田舎の“おもてなし”と山の命を丁寧に扱う『在原の業平園』。
帰るころには、どこか懐かしいぬくもりで胸がいっぱいに。
これが一番のお土産かもしれません。

「在原の業平園」のデータ

在原の業平園
住所 滋賀県高島市マキノ町在原624
電話番号 0740-28-0814
営業時間 11時~14時