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更新日:2023年10月31日
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がんと闘いながら私の夢を後押ししてくれた妻。その姿を通して前向きに、くじけずに生きる大切さを伝えたい。
取材日:平成27年11月
岡崎嘉一さん(73歳) 妻の故・孝子さん平成11年 肺がん手術 その後11年闘病
妻の孝子さんのがん治療の経緯について教えてください

妻は生きていれば今、69歳です。16年前に検診で肺がんが見つかり手術しました。しかし医師から「レベルは3の末から4のはじめ」と告知されていました。レベル4は末期がんで、5年以上生きられる確率はわずか0.5%、つまり1000人のうち5人しかいないことを知りました。しかし「がんで仕事を辞めたと言われたくない」と、妻は抗がん剤治療をしながら5年間働き続け、定年退職までこぎつけました。その後も6年間は生きながらえてくれました。
がんを宣告されて、孝子さんはどんな様子でしたか?
妻は「なぜ私ががんに?何も悪いことはしていないのに」と悔やんでいました。私はその当時海外勤務をしていましたが、余命少ない妻との時間をかけがえのないものにしたいと思い、定年まであと1年を残して退職し、妻のために尽くそうと決意しました。妻は「お父さんに会社を辞めさせてしまって、申し訳ありません」と何度も謝っていました。そんなときには「5年生きられる人が1000人のうち5人もいる。その5人になろうや」と励まし続けました。無事に妻が定年退職したら、「好きな所に行ったらいい」と勧めました。
気持ちが前向きになったきっかけは何かありましたか?

当時はがんに関する相談室もなく、相談する相手もいませんでしたが、治療に通う中で、病院の待合室で出会う人たちと仲良くなり、待合室が話し合いの場になりました。そうしたことから、病院の医師にもお話しして「がん患者の会」を作ったんです。これが、互いに励まし助け合う場所になりましたね。そして妻もこれをきっかけに、前向きに生きられるようになりました。
がんになった後、仕事を続ける上で困難だったことはありますか。
抗がん剤治療が大変でしたね。妻は農協に勤めており、集金に行ったり共済加入のお願いに回ったりすることもありましたが、これが非常に辛かったようです。定年の1年前には、上司からも理解が得られたようですが、身体の辛さがなかなか理解してもらえないと悩んでました。また、治療のために年休を使い切ってしまうと、あとは欠勤扱いとなったため、収入が減り生活が苦しくなったと言っていました。
孝子さんはどんなことを支えにされていましたか。
仕事が終わって家に帰ると私が待っていてくれることが、支えになっていると言ってくれていました。また、定年退職すればいろんな所に行きたいという夢があったことも、励みになっていたようです。妻は周りの人に「私はがんです」と公言し、辛いところは見せずいつも笑顔を絶やすことはありませんでした。
今後、ピアサポーター(がん患者とその家族を応援する人)として何を伝えていきたいですか。

私は今東近江市の市会議員ですが、初めて出馬した選挙では落選しました。その後も市民の皆さんのために働きたいという気持ちは強かったものの、妻が肺がんで大変な状況にある中で、「もう一度選挙に出たい」とは言えませんでした。にもかかわらず妻の方から「夢はもう諦めたんですか?そろそろ動き出さないと出遅れてしまいますよ」と後押ししてくれ、涙が出るほど嬉しかったです。その言葉に甘えて7年前、再度選挙にチャレンジしました。妻も体にむち打って私の夢を叶えるべく、一生懸命働いてくれました。身体の限界を超えてもグチ一つこぼさず、命を削る精進で支えてくれたおかげで初当選の喜びをいただきました。そのときは感動と感謝で、妻も私も涙ながらに抱き合い、まさにこれが夫婦愛和だと実感しました。思えばこうして議員の立場でいられるのも、すべては妻のおかげです。このように、がんと闘いながら、私の夢のためにがんばってくれたことを、生涯語り続けていきたいと思います。
孝子さんから学ぶ、がんと共に生きる秘訣は?
余命1年と言われながら、あきらめないでがんばることで妻は11年も生きることができました。そんな妻の姿を見て、何事にも負けない気力が何よりも大切だと感じています。「病は気から」と言いますが、前向きに今を生きること、そしてくじけないことが必要です。がんの告知を受け、悩んでいるご本人やご家族のために、少しでも気持ちが和らぎ、前向きになるお手伝いができればと、サロン活動を続けていきたいと思っています。
