撮影・提供:奥村健一氏
場所:日野町佐久良
体験者の語り 役場に勤めていたAさんの日記から
昭和34年9月26日(土曜)
正午過ぎから風が強くなる。
4時に水防第三号指令が出る。産業課に水防本部を設ける。暗くなるにつれて風はますます激しい。
7時から8時頃のひどさ。窓ガラスが割れる音、トタンが飛ぶ、瓦が落ちる音。停電し不気味だ。南比地区、西桜谷地区、電話不通で情報が入らず。
9時半頃から風が弱まってきた。
12時(夜中)出発し、乗用車で南比連絡所の被害を聴きに行く。路上に樹木やトタン等が落ちているので、どけもって進行だ。電柱が倒れ、電線が垂れ下がっている。
調査が進むにつれ、被害の甚大さに驚く。橋、道の流失で、東桜谷及び鎌掛地区は車が不通となった。8月の7号台風後に架けた仮橋、仮道もまた流れ、それ以上の被害。またまた残業、夜業、徹夜と続くだろう。
体験者の語り 地元の人4名 (昭和8年・9年・22年生まれ・33年生まれ)
伊勢湾台風の時、木津では風による被害の方が大きかった。
「伊勢湾台風は、ここらは、すっぽり、目に入ったなあ。いっぺん、さっとお月さんが見えてよ。台風行ったって子ども心に思ったら、また、わーって台風が来た。
そのとき、11歳。5年生くらいやったで、だいたい、記憶にあるんや。あれ、きつかったわ。」
神社や山にある、直径1メートルくらいの木がたくさん倒れた。戦車が通ったみたいに、ざーっと木が倒れていた。