体験者の語り (大正14年生まれ)
昭和9年の室戸台風が日夏に近づいてきていた時、小学校に登校し、教室で授業を受けていた。小学校3年生だった。
「隣の家の二階の屋根が、ぽいぽい飛んで行くんやわ。ほして、いかい(大きい)20メートルはあるポプラの木が、どんどんこけていくんやわ。」
しばらくしたら、学校から帰るように言われ、上級生に連れてもらい、みんな家に戻った。
当時、学校の横には建設中の公民館があった。台風が来る2週間ほど前に、棟上げをしたとこやった。
「昔の公民館が普請をしている最中で、それがどんどん学校に飛んできよったわ。柱をせっかく組んどかはるのが全部、飛んでしもて。」
室戸台風は風が強く、瀬田川の鉄橋から汽車が飛ばされるほどであった。
「あの時分は、柿の木がようけあって、こんな大きいてんご(かご)に一杯の柿の実が落ちてた。」
当時は、柿の木がどこにでも植えてあった。柿がたくさん落ちていたことが忘れられない。