体験者の語り 男性 74歳 (昭和16年8月生) 聞き取り日: 平成27年5月28日
藤尾奥町は、京都府と滋賀県境近くの、藤尾川流域の山あいの集落。台風23号で藤尾川が増水し、浸水の恐れのある3所帯が自治会館に避難。
平成16年10月、台風23号が大阪に上陸し、藤尾川が溢れるぎりぎりまで、水が走ったことがある。それが前の年と2年続いて、 ちょっとした土砂崩れが発生していた。
それで、川沿いの数件は、他の民家や自治会館などに避難した。
私の手元にある、台風後の平成16年11月に自治会から県に提出した「藤尾川改修及び土砂災害対策(急傾斜地)の現状とお願いについて」に記載されていた当時の様子を、要約紹介する。
《平成16年10月20日、午後5時45分に、藤尾川の水位がより危険な状況にあると連絡が入り、状況確認後、浸水のおそれのある3所帯6名を避難させた。
避難先には、藤尾学区の避難場所である藤尾市民センターへと促したが、雨が激しく降り、当人たちの希望もありやむなく奥町自治会館とした。家が心配で避難しなかった1軒が浸水しかけたが、大津市消防局や藤尾消防分団、県大津土木事務所の対応で免れた。
当日の土のうの対応は4か所で、竹林の土砂崩れが、幅15m高さ3m奥行き4mの規模で発生しているが、その後小雨になり、避難住民は被災することなく、帰宅できた。
避難住民の1人は当日の様子を、『藤尾川の増水とともに、石の流れる音がし、水が茶色く濁って、木の根の臭いがした。室内の飼い犬が異様に吠えたので、身の危険を感じた。
数年前の大雨の時には、自治会館に避難できることを考えずに、京都市山科区のボーリング場が24時間営業していたので、そこへペットも連れて避難し、夜を明かした。』と話している》