体験者の語り
Aさんの体験談(女性)
うちは、葉山川の堤防沿い、川の橋の角なんやわ。昭和42か43年頃に葉山川が切れて、ウチの家に水が入りましたんや。子供が幼稚園やった。
朝4時頃にな、水が「ぐわ~」と来たんやわ。ウチの家は門樋の板(注:下記)を預かってたわけ。でウチのお爺さんがとっさに、門樋に板を填めようとしたけれど、板を順番に填める余裕がないわな、順番に填められヘん。
ほんで、鐘を叩かなあかんのやけれども、水がドドドと流れてくるさけ、歩けへんのやわ。兄が裸で鐘を叩きに行った。
私は子ども2人を、1人は抱えて、1人は引っ張って、近くのBさん家まで避難して。子ども達はBさんの2階に上げてもろうて。
ほんで私は、避難した先から怖くて帰ってこられなかったけど、みんなに怒られて、きばって帰ってきたんやわ。
家に帰ってきたら、砂がドッサリ。私が玄関の引き戸を開けたら、水がドバ~っと出てきた。
平井のみんなが、その砂をどけてくれてくれた。そんで「やれやれ」と思っていたら、今度は葉山川の上流が切れて、ほんで、また水がド~ンってきて。だから、2ヘン連続で水に遭うて。
ほんで、県や市から被害の状況を見に来てもろうた。ほんで、突貫工事にかかるちゅうて。子供が2人いるのに、夜中に工事をしはったんやわ。
家に水が入ってくる音は、なんとも言えん。「ワ~」というてくるわ。あれは、忘れられへんわ。
Bさんの体験談(女性)
ウチの家は、昭和42年に建ててますねん。その家が建ったとこやった。
Aさんが「助けて~」と言って、ポーンと子どもを投げて、ウチの家に避難させて。
Cさんの体験談(女性)
Aさんのところが切れた時は、私自身も経験したんですが、切れたところを修復せなあかんわね。応急処置として、田んぼに流れてきた土を土嚢に詰めて、肩に担いで決壊したとろこに積んでいたことを覚えています。