体験者の語り (昭和19年生まれ)
私は、上郷(えご)川の水害体験を話させて頂きます。
平成11年の9月15日は敬老日でした。かつてない大雨で、石田川・上郷川の見廻りに出ました。上郷川へ行って見ると、濁流で、堤防いっぱいに増水していました。町役場へ土のうなどを要請しようかと川の様子を見ていると、雨の勢いが弱まり、徐々に小止みになりました。この間が、約1時間。
この川は上流が短いので、いつもは即水位が下がるのですが、当日はなかなか水位が下がりませんでした。上流へ行ってみると、刈り取り終わった田は満水状態。この水が上郷川へ流れて、水位が下がらなかった事がわかりました。田の保水力の大きさ、役割を考えさせられました。
中山間部の田は、高低差があるため、あぜが大きく、そこに生えた草がなぎ倒されているのを見て、滝のようだったのだろうと思いました。
被害は、キャベツ畑20アールが冠水して全滅。また、堤防は一部決壊しましたが、大事に至りませんでした。
翌日の新聞は、今津町で、1時間当たり100ミリ近い雨量と、主要道路で車が立往生している様子を報じていました。