○滋賀県文化振興条例
平成21年7月23日
滋賀県条例第55号
滋賀県文化振興条例をここに公布する。
滋賀県文化振興条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第3条)
第2章 文化振興基本方針(第4条)
第3章 文化の振興に関する基本的施策(第5条―第15条)
第4章 滋賀県文化審議会(第16条・第17条)
付則
私たちのふるさと滋賀は、母なる琵琶湖を田園、山並みなどが取り巻く穏やかな自然に恵まれ、いにしえから交通の要衝として人、もの、情報が行き交う歴史の重要な舞台となってきた。こうした独自の歴史や風土の中で、自律性、進取の気性などが培われるとともに、地域の特色ある伝統的な文化が先人から脈々と受け継がれてきた。また、それぞれの時代を生きる人々の感性や国内外との交流により新たな文化が創造されてきており、これらが滋賀の個性ある文化を形成している。
文化は、私たちに感動、精神的な安らぎや生きる喜びをもたらすとともに、感性や創造力をはぐくむものである。また、人と人が互いに理解し尊重し合う基盤となり、教育、福祉等と密接に関連するとともに、経済の発展にも寄与するなど、地域社会の発展に欠かせない影響力を有している。
今、心の豊かさや人と人との絆が求められる時代を迎え、文化の役割がより重みを増してきており、文化の価値を改めて認識する必要がある。また、県内各地において、文化を生かした取組が活発になりつつあり、そうした活動を育て、滋賀の文化を次の世代へ着実に引き継いでいかなければならない。
私たちは、だれもが誇りや愛着を持てる滋賀の実現を目指し、多様な主体による協働のもとに、日々の暮らしの中で魅力ある滋賀の文化をはぐくむことを決意し、ここに滋賀県文化振興条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、文化の振興に関し、基本理念を定め、および県の責務を明らかにするとともに、文化の振興に関する施策(以下「文化振興施策」という。)の基本となる事項を定めることにより、文化振興施策の総合的な推進を図り、もって心豊かで潤いのある県民生活および個性豊かで活力にあふれる地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 文化の振興に当たっては、県民一人ひとりが文化の担い手であることにかんがみ、文化に関する活動(以下「文化活動」という。)を行う者の自主性が尊重されるとともに、創造性が十分に発揮されるよう配慮されなければならない。
2 文化の振興に当たっては、文化を創造し、および享受することが人々の生まれながらの権利であることにかんがみ、県民が等しく文化活動を行うことができるような環境の整備が図られなければならない。
3 文化の振興に当たっては、文化の継承および発展を担う人材が育つとともに、その地位の向上が図られるよう配慮されなければならない。
4 文化の振興に当たっては、歴史、風土等に培われてきた地域の特色ある文化、新たに創造される文化その他の多様な文化がすべての県民に大切にはぐくまれ、次の世代に継承されるよう配慮されなければならない。
5 文化の振興に当たっては、滋賀の文化の魅力が国内外に広まり、多様な文化との交流が盛んになるよう配慮されなければならない。
(県の責務)
第3条 県は、前条に定める基本理念にのっとり、文化振興施策を総合的に策定し、および実施するものとする。
2 前項の規定による文化振興施策の策定および実施に当たっては、長期的かつ広域的な視点に立つとともに、広く県民の意見が反映されるよう十分に配慮するものとする。
3 県は、国および地方公共団体以外のもの(以下「民間団体等」という。)が行う文化活動が活発になるよう、民間団体等との連携に努めるとともに、民間団体等に対し、必要な助言、支援または調整を行うよう努めるものとする。
4 県は、地域における文化の振興に市町が果たす役割の重要性にかんがみ、市町との連携に努めるとともに、市町が文化振興施策を策定し、および実施するために必要な助言、支援または調整を行うよう努めるものとする。
5 県は、滋賀の文化が県外の文化との交流の中ではぐくまれてきたことにかんがみ、県外の地方公共団体および国との連携に努めるものとする。
第2章 文化振興基本方針
第4条 知事は、文化振興施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、文化の振興に関する基本的な方針(以下「文化振興基本方針」という。)を定めるものとする。
2 文化振興基本方針は、文化の振興に関する総合的かつ長期的な目標、文化振興施策の方向その他必要な事項について定めるものとする。
3 知事は、文化振興基本方針を定めるに当たっては、あらかじめ、県民の意見を反映することができるよう必要な措置を講じなければならない。
4 知事は、文化振興基本方針を定めるに当たっては、あらかじめ、滋賀県文化審議会の意見を聴かなければならない。
5 知事は、文化振興基本方針を定めたときは、これを公表するものとする。
6 前3項の規定は、文化振興基本方針の変更について準用する。
第3章 文化の振興に関する基本的施策
(芸術活動の促進)
第5条 県は、文学、音楽、美術、写真、演劇、舞踊、メディア芸術(映画、漫画、アニメーションおよびコンピュータその他の電子機器等を利用した芸術をいう。)その他の芸術について創造性豊かな活動を促進するため、これらの芸術の公演、展示等への支援およびその実施その他の必要な施策を講ずるものとする。
(地域において継承されてきた文化的資産の保存および活用)
第6条 県は、歴史、風土等に培われてきた有形および無形の文化財その他の地域において継承されてきた文化的資産の保存および活用を図るため、これらの文化的資産の調査およびその修復、公開等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
(魅力ある風景の保全および継承)
第7条 県は、人々の生活とともに形成されてきた滋賀の魅力ある風景を保全し、次の世代に継承するため、地域の風景を守り育てる活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
(文化活動の場の充実)
第8条 県は、文化施設(文化活動に係る公演、展示等を行うための施設をいう。以下同じ。)について、その特色を生かした事業の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 県は、県民の文化活動の場の充実を図るため、文化施設以外の場所の活用その他の必要な施策を講ずるものとする。
(文化に関する情報の発信および取得)
第9条 県は、県民が文化に関する情報を効果的に発信し、および容易に取得することができるよう、文化に関する情報の発信および取得の環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。
(文化に関する交流の促進)
第10条 県は、県民と国内外の人々との文化に関する交流を促進するため、その機会の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
(産業の分野との連携)
第11条 県は、観光その他の産業の分野の発展とともに文化の振興を図るため、これらの分野への文化的資産の活用その他の必要な施策を講ずるものとする。
(高齢者、障害者等の文化活動の充実)
第12条 県は、高齢者、障害者等が行う文化活動の充実を図るため、これらの者の文化活動が活発に行われるような環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。
(青少年の文化活動の充実)
第13条 県は、次代の社会を担う青少年が行う文化活動の充実を図るため、青少年を対象とした文化活動に係る公演、展示等の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。
(学校教育における文化活動の充実)
第14条 県は、学校教育における文化活動の充実を図るため、文化に関する体験学習の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。
(文化の継承および発展を担う人材の育成)
第15条 県は、文化に関する専門的な活動を行う者、その活動を支える者その他の文化の継承および発展を担う人材の育成を図るため、これらの者が行う文化活動への支援、文化活動で顕著な成果を収めた者の顕彰その他の必要な施策を講ずるものとする。
第4章 滋賀県文化審議会
(滋賀県文化審議会)
第16条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づき、知事の附属機関として、滋賀県文化審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、第4条第4項に規定する事項を調査審議するほか、知事の諮問に応じ、文化の振興に関する事項を調査審議するものとする。
3 審議会は、前項の調査審議を行うほか、文化の振興に関する事項に関し、知事に意見を述べることができる。
(審議会の組織等)
第17条 審議会は、委員15人以内で組織する。
2 委員は、文化の振興に関し学識経験を有する者および県民から公募した者のうちから知事が任命する。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることを妨げない。
5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織および運営に関し必要な事項は、規則で定める。
付則
1 この条例は、公布の日から施行する。
2 滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例(昭和28年滋賀県条例第10号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略