○滋賀県議会議員の政治倫理に関する条例
平成15年10月17日
滋賀県条例第69号
滋賀県議会議員の政治倫理に関する条例をここに公布する。
滋賀県議会議員の政治倫理に関する条例
政治倫理の確立は、議会政治の根幹である。
われわれ政治にかかわる者は、県政が県民の厳粛な信託によるものであることを自覚し、良心と責任を持って政治活動を行い、いやしくも県民の信頼を損なうことのないよう努めなければならない。併せて、議会議員は、地域社会の声を確かな形で、県政に反映させる役割をも担っている。
夢と希望にあふれた地域社会をつくるために、今後、さらに大きな役割が期待される地方議会の健全な発展を期して、ここに滋賀県議会議員の政治倫理に関する条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、滋賀県議会議員(以下「議員」という。)の責務および政治倫理規準を定めること等により、民主政治の根幹をなす政治倫理の確立を期するとともに、滋賀県議会(以下「議会」という。)の権威と名誉を守り、県民の厳粛な信託にこたえ、もって清潔で民主的な県政の発展と公共の福祉の向上に寄与することを目的とする。
(責務)
第2条 議員は、地方議会の持つ使命と果たす役割の大きさを認識し、自らに重大な使命とより高い倫理的義務が課せられていることを自覚し、政治倫理の向上に努めるとともに、県民は、公共の利益の重要性を深く認識し、議員の有する権限または地位による影響力を不正に行使させることのないよう努めなければならない。
(政治倫理規準)
第3条 議員は、公職選挙法(昭和25年法律第100号)、政治資金規正法(昭和23年法律第194号)等の政治活動に関する諸規定を厳守するとともに、次に掲げる政治倫理規準を遵守して行動しなければならない。
(1) 議員は、県民全体の福祉の向上を目標として行動すること。
(2) 議員は、地方自治の本旨と民主主義にのっとり、議員本来の責務を全うすること。
(3) 議員は、自らの行動を厳しく律し、議員としてふさわしい品位と識見を養うこと。
(4) 議員は、特定の利益を擁護することにより公共の福祉を損なう等県民の信託に反する行為は厳として慎み、かつ、県民から批判を受けることのないように努めなければならないこと。
(5) 議員は、公正を疑われるような金品の授受をしてはならないこと。
(6) 議員は、財産上の利益を得ることを目的として、行政庁が行う許可もしくは認可または県もしくは県が出資する団体が発注する建設工事等の請負契約、物品の購入契約等に関し、特定の者に有利または不利になるような働きかけをしてはならないこと。
(7) 議員は、前号に規定するもののほか、財産上の利益を得ることを目的として、その権限または地位による影響力を及ぼすことにより公務員および県が出資する団体の役職員の公正な職務の執行を妨げる等不正な行為をしてはならないこと。
(8) 議員は、滋賀県職員(会計年度任用職員、嘱託員および臨時的任用職員を含む。)の採用および人事異動に不当に関与してはならないこと。
(9) 議員および議員の資金管理団体(後援団体を含む。)は、政治的または道義的な批判を受けるような政治活動に関する寄附を受けてはならないこと。
2 議員は、政治倫理に関し、政治的または道義的な批判を受けたときは、真摯かつ誠実に事実を解明し、その責任を進んで明確にする義務を負うものとする。
3 辞職、失職等により議員の職を離れた者は、政治倫理に関し、議員在職中の行為について政治的または道義的な批判を受けたときは、真摯かつ誠実に事実を解明するよう努めるものとする。
(一部改正〔令和元年条例11号〕)
(審査の請求)
第4条 議員および地方自治法(昭和22年法律第67号)第18条に定める選挙権を有する県民は、前条第1項各号に掲げる政治倫理規準に反する疑いがあると認められる議員等があるときは、議員の定数の3分の1以上で、かつ、2会派以上の議員の連署または紹介でもって議長に審査の請求をすることができる。この場合において、審査の請求は、理由を明らかにした文書をもって行うものとする。
(審査会の設置)
第5条 議長は、前条に規定する審査の請求があったときは、これを審査するため、議会に滋賀県議会議員政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置する。
2 審査会は、委員12人以内で組織する。
3 委員は、議員および学識経験を有する者のうちから議長が任命する。
4 審査会に委員長および副委員長を置き、委員の互選により定める。
(審査会の運営)
第6条 審査会の運営は、次に定めるところによるものとする。
(1) 審査会が、この条例の遵守、出席自粛、役職辞任または議員辞職の勧告、文書警告、全員協議会での陳謝その他の措置を審査の結果に明記しようとするときは、出席委員全員の合意によるものとする。
(2) 審査会は、審査のため必要があるときは、議員等に対し、その出席を求め、意見もしくは事情を聴取し、または報告を求めることができる。
(3) 審査の請求に係る議員は、審査会から出席の要請があった場合は、必ず出席し、誠実に答える義務を負う。
(4) 審査の請求に係る議員は、審査会において弁明することができる。
(5) 審査会の委員または委員であった者は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
(6) 審査会の委員は、公平かつ適切に職務を執行しなければならない。
2 審査会は、前項第1号に定める措置に至らなかった場合で、審査の請求に係る議員の名誉を回復することが必要であると認めるときは、所要の措置を講ずるものとする。
3 審査会の運営に関し必要な事項は、その都度委員長が審査会に諮って定める。
(議長への報告)
第7条 審査会の委員長は、審査の結果について議長に報告するものとする。
(審査の結果の通知)
第8条 議長は、審査会から審査の結果の報告を受けたときは、審査の請求をした者および審査の請求に係る議員に対して審査の結果を通知するものとする。
(意見書の提出)
第9条 審査の請求に係る議員は、前条の規定による通知を受けたときは、審査の結果について、議長に対し意見書を提出することができる。
2 議長は、前項の規定により意見書が提出されたときは、審査の結果の公表に当たり、意見書の全部または概要を併せて公表するものとする。
(県民の理解と協力)
第11条 議会は、この条例の趣旨の周知徹底を図り、広く県民の理解と協力を求めるものとする。
(委任)
第12条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。
付則
1 この条例は、平成16年1月1日から施行する。
2 滋賀県特別職の職員の給与等に関する条例(昭和28年滋賀県条例第10号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
3 この条例の規定については、この条例の施行後3年を目途として、この条例の施行の状況等を勘案して検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
付則(令和元年条例第11号)
この条例は、令和2年4月1日から施行する。