文字サイズ

  • ホーム
  • センター紹介
  • センターご利用案内
  • 診療科案内
  • 採用情報
  • 地域医療連携~医療機関の皆様~

特発性側彎症の進行とそれによる身体への影響

背骨が曲がり始めても通常は痛みを伴わないません。また、彎曲がおよそ30度未満の場合には、脊柱の捻れや前後方向の正常の彎曲も比較的保たれているため、一見しただけでは異常がわかりにくいものです。とくに最近では昔のように銭湯を利用することなども少なくなり、御家族がお子様の背骨の異常に気付く機会も減ってきました。こうした様々な理由により、側彎が初期の段階で発見されず、周囲の人が「姿勢が変だな」と気付いたときにはかなりの彎曲に進行していることも稀ではありません。

特発性側彎症も他の構築性側彎(本物の側彎症)と同様に脊柱が側方に曲がるだけで無く、側方に曲がっている部分は回旋(捻れ)をともなっているのが普通です。さらに脊柱の左右方向への彎曲と捻れが強くなると、脊柱の前後方向の彎曲が変化し、胸椎であれば背中の丸みが失われ、腰椎であれば腰骨の反りが無くなってきます。側彎症とは、脊柱の捻れ、側方への曲がり、そして前後方向の正常の彎曲が失われた状態ということができます。左右方向への彎曲(これはレントゲンで計測します)が30度を超え、10度以上の捻れが生じてくるころには脊柱の前後方向の彎曲の異常がはっきりしてきます。側方への曲がりによって、肩の高さが異なったり、腋の下の左右非対称やウエスト部分の左右の高さの差が現れたり、肩甲骨の高さの差が出現します。脊柱の捻れが生じれば背部や腰部の左右のどちらかが突出してきますし、女子であれば前胸部の左右非対称が気になるはずです。このような状態に前後方向の彎曲の異常(背中や腰部のゆるやかな彎曲が減少した状態)が加わってくると一見して異常に気付くようになります。好きな服が着にくい、プールで水着になりたくない、など周囲の目が気になって精神的ストレスを引き起こす原因ともなります。

典型的な胸椎側彎症の写真
典型的な胸椎側彎症

肩の高さの左右差、右肩甲骨の突出、腋の下の左右非対称、ウエストラインの左右非対称、右背部の隆起などが明らかです。

特発性側彎症は一度発生すると一般的に進行性です。特に身長の伸びの著しい時期、女子でいえば生理開始の1-2年前頃から生理開始まで(およそ10-13歳の間)に急激に進行します。乳幼児期側彎や学童期側彎の場合には、10歳くらいまでにかなりの彎曲が存在していますので、著しく成長する13歳頃までには相当の彎曲が形成される可能性があります。

年令とともに彎曲が進行した代表的な例の図
年令とともに彎曲が進行した代表的な例

骨成熟期(骨の成長が止まる時期)に彎曲が40度未満であれば、それ以後彎曲が増悪する可能性は低いのですが、50-60度以上の彎曲が形成されると骨成長が終了しても側彎は進行する傾向があります。脊柱の捻れが強くなり、胸椎と腰椎の前後方向の彎曲が消失してくると、肺臓、心臓などを収納している胸郭の容積が減少してゆきます。これはちょうど円筒状のものを捻ってみればその容積が小さくなってくることから理解できます。見かけがさらに悪くなる事もさることながら、肺臓、心臓などの重要臓器が長期間圧迫されるようになるのは好ましいことではありません。

胸椎側彎症における胸郭のMRI横断像
胸椎側彎症における胸郭のMRI横断像。脊椎の捻れと彎曲による転位の為肺が扁平化し容積が減少しています

また、腰椎の彎曲が強くなると、正常の人と比べると腰痛の発生率が高くなるといわれています。腰椎どうしを繋ぐ関節は前後方向の運動には適しているのですが、左右方向の動きは制限されています。腰椎が捩じれたり、左右に曲がってくると関節そのものに無理がかかってくるからです。

お問い合わせ
病院事業庁 小児保健医療センター
電話番号:077-582-6200
FAX番号:077-582-6304
ページの先頭へ戻る