文字サイズ

第48回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手「滋賀県青少年広報レンジャー」の皆さん

「滋賀県青少年広報レンジャー」の皆さん

今回は、「滋賀県青少年広報レンジャー」の皆さんと対話を行いました。

県では今年度から、多くの若者に県政への関心を高め、県政参加のきっかけとしていただくことを目的に、滋賀県青少年広報レンジャー(以下、レンジャー)を設置しました。

平成29年7月に12名の高校生・大学生に委嘱を行い、県関連事業等への参加、県Facebookを通じた県政情報の発信など積極的に活動いただいています。

今回は、レンジャーの皆さんと三日月知事が、レンジャー活動を通じて感じたことや滋賀県への思いについて語り合いました。

知事から

今回の対話について

  • 滋賀県は「滋賀県基本構想」に従って運営している。この構想では「新しい豊かさ」をつくることを基本理念にしている。今だけ、ものだけ、自分だけ、お金だけの豊かさではなく、心でみんなが実感できる豊かさをつくろうとしている。具体的な取組として、SDGsに滋賀も参画している。SDGsとは国連が2年前に定めた「持続可能な開発目標」のことで、前は途上国の支援が主だったが、先進国でも一人一人や企業ができることがあるのではないかということで、17の目標を掲げている。滋賀でも、できることをやろうと今年から取り組み始めた。「私たちにも何かできることはあるか」という視点で考えてくれたらうれしい。
    例えば、まだ食べられるのに捨てられる「食品ロス」が日本全国で600万トンにのぼる。これは食べることを必要としている他の国の人たちの何ヶ月分、何年分の食料にもなる量である。このようなことを一緒に考えませんかという目標でもあるので、この取組にも皆さんの力を貸してほしい。
  • これからもレンジャーに参加したことをきっかけに、滋賀県政や琵琶湖などに関心を持ってもらえたらうれしい。

「滋賀県青少年広報レンジャー」の皆さんから

レンジャー活動を行って感じたことについて

  • 「滋賀県私立中学高等学校連合会」の皆さんとの「こんにちは!三日月です」に同行した。レンジャーの活動以外にも滋賀県基本構想審議会などにも関わっている。このような活動を通して県職員の皆さんの本気みたいなもの、すごく熱いものを感じた。その一方で、それを自分と同世代の若者たちが全然知らないという現状をもどかしく感じている。
  • 実家が農業をしていることもあり、知事がキャベツ苗の定植体験をされた「滋賀県農協青壮年部協議会」の皆さんとの「こんにちは!三日月です」に同行した。普段、親と話していることより専門性が高い内容であったので、もっと学ばないといけないと思った。将来は家業を継ぐつもりをしており、病気に強い種をつくることが目標。
    また、起業に興味があるので「おうみ未来塾卒塾生」の皆さんとの「こんにちは!三日月です」にも同行した。
    県広報誌『滋賀+1(プラスワン)』の取材の一環で、湖魚のイサザを使った「じゅんじゅん(=湖北・湖西地方の郷土料理で、すき焼き風に味付けした鍋料理のこと)」をつくる体験もした。魚にあまり詳しくなく、イサザという魚を始めて知った。また、すき焼き風につくることを「じゅんじゅん」と言うことも知らなかったので、「イサザのじゅんじゅんつくるから来てね」と言われても、何をつくるか分からなかった。調べて知ることができたし、おいしかったので良かった。友達に見せたら「めっちゃおいしそう」と言ってくれた。普段は滋賀県のことを良く言ってくれないが、その時は「滋賀も捨てたもんじゃないな」と言ってくれた。
  • 県庁の県民サロンで開催されていた「T・E・I・B・A・N Japan classico 滋賀のモノづくり展」を取材した。私は京都の学校に通っており、県庁でこのような展示が行われていることを知らなかったので、もったいないと思った。展覧会では、滋賀県の伝統工芸の技術を使った製品が展示されていた。例えば、信楽焼でも従来のままだと売れる数には限りがある。そこで、おしゃれなホテルや飲食店をターゲットに信楽焼のランプをつくるなど、技術を別のことに利用し、新しい物をつくっていこうという取組をしておられる。それをどうやってお客さんにみせるかというトレーニングのためにサロンで展示をされていた。展示の仕方で見え方が変わること、見え方が変わるとそのモノの魅力が変わることなどを学んだ。
  • 「日本プライマリ・ケア連合学会滋賀県支部および家庭医療学夏期セミナーの学生・研修医スタッフ」の皆さんとの「こんにちは!三日月です」に同行した。大勢の方が地域医療について真剣に考えておられることをすごく頼もしいと思った。
  • プロバスケットボールチーム「滋賀レイクスターズ」のホームゲームのボランティアをした。バスケの試合を見させていただいたが、とても迫力がある試合で見ていて楽しかった。ボランティアをしたのは、ウカルちゃんアリーナでの沖縄との試合だったが、僅差で負けてしまった。当日は少ししか見られなかったが、その少しだけでも迫力があったので、また見たいと思うようになった。今度は妹と試合を見に行くつもりをしており、妹も楽しみにしている。
  • 成安造形大学で文化の日に行われた「美の糸口―アートにどぼん!2017」に参加した。文化に触れ合うイベントで、ワークショップなど様々な企画が行われていた。来場者に楽しんでもらうために、スタッフが裏で長い時間を掛けて準備されていることが分かった。
  • 県広報誌『滋賀+1(プラスワン)』の取材の一環で、鮒ずしを漬ける体験をさせていただいた。今まで鮒ずしを食べたことがなかったので、魚臭いのではないかという勝手なイメージがあったが、実際食べてみると、角のない、まろやかな味でおいしかった。鮒ずしを漬ける体験をしたことを学校でも話したが、鮒ずしを食べたことのある人はほとんどいなかった。私も鮒ずしがあることは知っていたが食べたことがなく、勝手なイメージでおいしくないのではと思っていた。おいしさをもっと伝えていけたらと思った。
  • 親は鮒ずしを食べているが、臭いを嗅いで駄目だと思い、まだ食べたことがない。父はすごく鮒ずしが好きだが、鮒ずしは高価なので手が出しにくい。鮒ずし味のポテトチップスも父が食べていた。
  • 「日吉こどもサミット」の皆さんとの「こんにちは!三日月です」に同行した。小中学生の皆さんとの対話もあり、とても新鮮だった。自分が中学生の時にはそのような機会はなかった。「早崎ビオトープネットワーキング」の皆さんとの「こんにちは!三日月です」に同行した。参加者から色々と意見が出ていたと思うので、それらがどう活かされているのか知りたい。
    レンジャーに応募したのは県庁や知事はどんな仕事をしているかを知りたいと思ったから。実際にレンジャーとして活動して、普段の学生生活では知れないようなことを学べた。また、思いを持って活動している方々がいらっしゃることを知る良い機会になったと思っている。

レンジャー以外の取組や普段感じている問題意識について

  • 私は県政モニターもやっていて、知事と意見交換を行うモニタートークにも参加した。ラジオ体操をもっと学校で普及させたらどうかという提案をしたが、なかなか思うように話せなかった。県で制作したラジオ体操の動画を見たが、良かった。
  • 今年の11月に内閣府青年国際交流事業「日本・中国青年親善交流事業」に参加した。中国に12日間行っていた。中国には初めて行った。滋賀からの参加者は私一人であった。滋賀県と湖南省は姉妹提携されているので、この滋賀で国際交流の場所がもっとあれば良いと感じた。
  • 高校生のときに、ミシガン州との交換留学に行った。その時知り合った人とは今もまだ仲が良く、日本が大好きなので、今年の8月にも日本に遊びに来た。私はデザインの勉強をしているが、その子もデザイン系の大学に進学したので、滋賀とミシガンでデザインの交流ができたら良いねと話している。
  • 学生が自ら会社を起こす「学生起業」まではいっていないが、「DANDELION」という学生団体を組織した。デザインを勉強している学生らを集めて、滋賀県や関西で活動しようといろんなプロジェクトを始めている。今やっているのが、滋賀県米原高校のホームページデザイン。ホームページデザインは、どこも似たり寄ったりである。学校のデザインを変えていくと、生徒の意識も変わると思う。ホームページのデザインなど、デザイン面からブランドをつくっていきたい。ぱっと見たときに、おしゃれだと思ったインパクトは一番残りやすい。運営メンバーは他府県の人が多い。ビジネスなのでお金ももらっている。
  • 地域に貢献したいと思っている学生はいるが、何をしたら良いか、どこでやったら良いか分からない人が多い。なので、営業をやりたい人、デザインしたい人、エンジニアでプログラミングしたい人、それぞれの架け橋になれるよう団体を組織した。

滋賀の魅力について

  • 出身は三重県だが、滋賀は地域のイベントが多く、盛り上げようとする人がすごく多いという印象を受けている。今まで地元でそういった活動に出なかったというのもあるかもしれないが、滋賀の大学に入って、サークル活動や地域との関わりの中で様々な活動をしている人を知る機会が多くなったと感じている。最近は、地元よりも滋賀のことの方が知っている気がする。
  • 京都出身で、今は彦根の大学に通っているが、彦根は地域のお祭りや地域のサークル活動などが多くて良い所だと感じている。
  • 一時期、静岡県の高校に通っていたことがあった。今は滋賀に戻って来たが、向こうに行ったことで滋賀県は良い所だと改めて思った。レンジャーにも参加して、やっぱり滋賀県の大学に行きたいと思い、春から県内の大学に入学することになった。
  • 周りの友達は滋賀に対してあまり良いイメージを持っていない。私はレンジャーとしてイベントなどに参加して滋賀県は良いと思っているが、友達はイベントなどに参加していない。若い人は都会のきらびやかな世界を見たがる傾向がある。滋賀より京都や大阪の大学に行きたがる人が多い。
  • 周りの友人にも滋賀は田舎というイメージを持つ人や「俺は東京に行く」と言う人が結構いる。自分はそこまでバイタリティーが待てず、近場で満足するタイプである。
  • 私の友達が京都の専門学校に行くつもりをしている。なぜ京都なのか聞いたら、「滋賀より京都の方が良い」と言う。遊ぶときも「滋賀はやめて、もっと良い大阪や京都へ行こう」と言われる。
  • 京都の学校に通っており、友達によく「四条へ遊びに行こう」と言われて行くが、毎週そういう所に行っていると飽きてくる。たまに行くには、大阪も京都もすごく楽しいが、毎日、毎週遊びに行くのは、私には合っていないと思う。言い方は悪いかもしれないが、田舎に住んでいるからこそ、たまに都会に行って発散するのが良いと思う。その方が非日常感を味わえる。
  • 最近は逆のこともある。都会の人は都会が当たり前だから、非日常で田舎に行きたいと言う。
  • 私は都会過ぎると住むのがしんどいと思う。滋賀県は京都に行くにしても、大阪に行くにしても、名古屋に行くにしても良い距離なので好きである。
  • 住むなら都会じゃなくて滋賀が一番良いと思う。都会は夜も静かにならないイメージがある。
  • 今の時代はスマホがあり、触れたい情報がいつでも出てくるという近さがあると感じるので、滋賀を出た後でも、いつでも滋賀との距離は近くいられる。滋賀を出るまでの間に滋賀への興味をどれだけ持ってもらえるかということだと思う。

知事から

対話を振り返って

  • 「滋賀レイクスターズ」には頑張ってほしいと思っている。選手の汗で選手が滑らないように、反対側を攻めている時にコートを拭く中学生や高校生のボランティアがいる。間近でロングシュートやドリブルのパス回しが見られるので、こういったボランティアをすることで中高生のレベルアップにつながれば良いと思っている。また、ハーフタイムにチアのショーがあり、たくさんの県内の子どもたちがキッズスクールでチアダンスをしている。これが体を動かしたり、ダンスをやったりするきっかけになったら良いと思っている。
  • 鮒ずしは安くはないので、高校生でも大学生でも気軽に食べられるかというと、そうではないかもしれない。鮒ずし味のポテトチップスはちょっとマイルド。コンソメのちょっと酸っぱいめで、なかなか良い。初めての人はポテトチップスから始めてみても良いかもしれない。
    ここに来る前に小学生が私に会いに来てくれたが、学校給食で琵琶湖の魚が出て「とてもおいしいし、うれしい」と言っていた。郷土料理全てを学校給食にというのはなかなか難しい面もあるが、子どもたちが触れられるきっかけができたら良いかもしれない。
    私も今年初めて鮒ずしづくりに挑戦した。まだ開けていないので、どうなっているか楽しみ。漬けることから勉強すると、また思いが変わる。
  • 「早崎ビオトープネットワーキング」の皆さんとの「こんにちは!三日月です」では、早崎ビオトープの現状や課題について意見交換した。早崎ビオトープは、昔は早崎内湖であった。人口増加に伴い、内湖を埋め立てて田んぼや畑にしたが、それを今また内湖に戻そうと取り組んでいる。そうすることで、いろんな生き物の環境を取り戻したり、川から流れてくる水を一度浄化して琵琶湖に入れたりできる。「早崎ビオトープネットワーキング」の皆さんは早崎内湖再生に向けた調査やビオトープの魅力発信に取り組んでおられ、意見交換ではたくさんの意見が出た。
    意見交換後、県では二つのことをやっている。一つは、いただいた意見を県の予算に反映させられるかどうかの検討を行っている。もう一つは、この事業は国の補助ももらいながら行っているので、国の環境省のトップに視察に来てもらうなど、引き続き支援してもらえるようお願いしている。
    これまでは人口が増えていたから、水面を農地にして耕すことをやってきたが、これから人口が減るので、琵琶湖だった所を琵琶湖に戻すような取組を積極的にやっていきたい。
    ただ、言うは易しで、行うのはなかなか難しい。田んぼだった所に水を入れると、水が入ってほしくない所には、堤防をつくったり、水路をつくったりしないといけないので、調整がなかなか難しい。今年「やろう」と言って、来年「できました」とはならない取組。長期にわたる事業では、地域の人たちにモチベーションを保ってもらえるような関わり方をしていくのが大事だと思っている。
  • 大学生のときに住んでいた寮に「中国、韓国、その他の国の留学生と交流するイベントの参加者を求める」という案内がたまたま貼ってあり、参加した。3泊4日で言葉の通じない人たちとディスカッションした。それが最初だったが、その後、「世界青年の船」という事業に参加した。船で他の国の人たちと交流する企画で、私の時は13カ国、300人の青年と60日間一緒に旅をした。私が今でも覚えているのは、毎朝国歌を流しながら、どこかの国の国旗を揚げるのだが、日本の青年がある国旗を揚げるときに、床にその国旗をつけてしまった。それを見たその国の青年が怒って「侮辱されたからこの船を降りる」と大問題になった。国旗はその国にとって大事なものなので、国旗を揚げるときは下につかないように揚げておくか、他にちゃんと持つ人がいて、地べたに着けるということは国際社会のタブーだということを知った。実際に行ってみると、いろんなことがあるし勉強できる。
    2018年は湖南省と姉妹提携を結んで35年の節目、アメリカのミシガン州とは姉妹提携を結んで50年の節目を迎える。もっとみんなが国際的なイベントに参加できるようにしたいと思っている。
  • 国と国とのつながりも、結局は人と人とのつながり。中国には平和堂が4店舗ある。本当にきらびやかな一流デパートでお客さんもたくさん来ている。何年か前に反日デモで暴動があった時に、平和堂も破壊された。こんなに日本がたたかれるなら撤退しようかいう話も出たが、踏みとどまれたのは、中国人の店員さんが「私たちやりますから、ここにいてください」と言ってくださったからであった。これは日中友好の象徴。皆さんもいろんな国の方々と交流してほしい。
  • 最近は見ようと思ったら、すぐ情報を見ることができる。興味や関心を持たれず、見ようと思われないことが大きな原因。嫌な思い出があったら見ないだろうし、そこをどう関心を持ってもらうかということがポイント。そこで、高校を卒業するときに登録してもらったら、滋賀の情報をお届けできるというSNSのつながりも持ち始めている。関心を持ってもらうことは大事なことだと思う。
    また、最近やっていることは、滋賀県出身で県外の大学に行っている人たちに、できるだけ滋賀の情報を届けたり、就職活動の選択肢に滋賀を入れてもらうための情報を投げたりしている。皆さんにもいろんな情報を入れていってほしい。
  • 滋賀は自治体活動や地域のお祭りが多い。しかもそのお祭りも子どもたちや中高生が主役になるものが多い。地域の行事に参加していますかという問いに対する「はい」という答えは、全国の中でも滋賀はとても高い。今年発表された総務省の調査では、滋賀県はボランティア活動に参加する比率が一番高かった。恐らくそれは、地域の行事、サークル活動を含めてやっている方が多いからではないかと思っている。こういう所は大事にしたい。
  • 1回離れると、居た所の良さが分かったり、逆に、三重や京都から来て新鮮な目で見て、良さに気づいていただいたりすることがある。逆に私たちは、他府県から来られた人に「良い風景で良いですね」と言われると、当たり前に毎日見ているから「向こう岸が見えているんですけど、行けなくて不便なんです」というようなマイナスのことばかり言うきらいがある。
    「京都や大阪みたいに」というよりも「滋賀は滋賀らしく」というのが良いと思う。近江八幡や草津からだと、名古屋と大阪、中部国際空港と関空が同じくらいの距離なので、このメリットをもっと前向きにアピールできると良い。
  • 地域の中で子どもを育てるということはこれからも大事にしたい。僕は小学生、中学生、高校生、大学生にも一緒に考えようと言っている。今一緒に居るのだから、将来がんばれと言うのではなく、一緒に考えてどうしたら良いと思うかを常に問い掛けるようにしている。
  • 大学で滋賀に来て、地域の活動に参加してくれているのは嬉しい。地域の人も喜んでいると思う。他県から来た大学生と一緒に地域を盛り上げる活動ができるというのは、とても刺激になっていると思うので、これからも続けてほしい。学生だからできることはたくさんあると思う。いろんな大学の人たちとつながるのもとても良いと思う。
  • 皆さんにはこれから3月末までレンジャーの活動もやっていただくということで、それ以外も色々な活動をどんどんやっていただいて、滋賀県もっとこんなふうにしたらというような意見をぜひ寄せてほしい。