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第43回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手「早崎ビオトープネットワーキング」の皆さん

「早崎ビオトープネットワーキング」の皆さん

今回は、「早崎ビオトープネットワーキング」の皆さんと対話を行いました。

県で平成13年から試験的に湛水し、内湖の可能性を探っている日本最大のビオトープ実験地「早崎ビオトープ」。

早崎ビオトープネットワーキングは「早崎ビオトープ」をフィールドに早崎内湖再生に向けた基礎データとして昔の内湖に関わって来られた方々への聞き取り調査を行い、地域住民と一緒に将来の内湖の在り方について考えるとともに、水棲生物の観察会や冬のコハクチョウ観察会等の活動を通して自然再生地としての「早崎ビオトープ」の魅力発信を行っておられます。

今回は早崎ビオトープネットワーキングの皆さんと三日月知事が早崎ビオトープを見学するとともに、ビオトープの今後について語り合いました。

知事から

今回の対話について

  • 早崎ビオトープは日本最大のビオトープ復活事業であり、琵琶湖に直接川が流れ注ぐだけではなく、内湖で1回とどめて、様々な生き物との関わり合いを取り戻したうえで琵琶湖とつなげている。この事業は大変意味のある事業であると思うし、時間はかかるが、しっかりと続けなければならない事業であると思っている。
  • 県では誰一人取り残さないということで、2030年代を目指した国連の新しい開発目標であるSDGs(持続可能な開発目標)への参画を表明している。この事業はその取組にとっても重要な柱であると考えている。
  • 琵琶湖の保全再生のための法律ができ、県でも計画をつくって具体の取組を始めている。内湖再生、ビオトープ活用の事業も柱になると思っている。

「早崎ビオトープネットワーキング」の皆さんから

取組紹介

  • 早崎町内の有志15名で構成している。設立は平成14年で現在16年目の活動になっている。設立の母体は、平成7年から地元で活動している早崎福祉JHの会で、公民館で地元の高齢者を対象とした催しを行う「ふれあいサロン」という活動は長浜市全域に広がった活動である。(早崎町が発祥の活動)
  • 現在、さまざまな助成金や補助金を活用して活動を進めている。環境省の補助金で観察会をするための道具などをそろえている。また、市の環境関係の補助金では舟も買った。
  • ビオトープ観察会では、約2900人の方を受け入れた。環境団体の方、旅行会社の現地研修、小学生など若者からお年寄りまで様々な方がこのビオトープに来られている。東京からの修学旅行生も受け入れた。地元のびわ北小学校では、平成15年から現在まで総合学習の一環として実施している。観察会以外には会長が出向いて教室で授業もしている。毎年4年生になるとビオトープに行くことになっており、既に約300名の児童がこの授業を受けている。
  • 昔はビオトープの中に入って魚を捕っていたが、今はヒシやハスがたくさん生えてきて水の中には入れないので、ヒシの実をとったり、舟の上から観察したりしている。観察会の内容も大きく変わってきた。
  • コハクチョウの観察会も行っている。琵琶湖の高島や草津あたりにもコハクチョウが飛んでくるが、琵琶湖に来るコハクチョウの約6割(琵琶湖に400羽が飛来し、そのうち260羽が早崎ビオトープに飛来する)が早崎ビオトープにやってくる。また、周囲360度どこからでも観察することができる。
  • ビオトープの近くにある「産直びわ みずべの里」と連携し、グリーンツーリズムも行っている。「産直びわみずべの里」で田植え体験をして、ビオトープで観察会をし、早崎公民館で地元のお料理を食べながら歓談するというコースである。また、サツマイモ植え・収穫体験もしており、収穫したサツマイモは焼きいもにして食べてもらう。これは都会ではなかなか出来ない体験である。
  • コハクチョウは飛び立つ瞬間が非常にきれいだが、飛び立つのは朝の8時頃なので、飛び立つ瞬間を見るには、どうしても1泊のツアーになる。今後はそのような1泊ツアーも観光資源の一つになるのではないかと思っている。
  • 昨年の10月19、20日にはビオトープ15周年記念イベントを行った。大々的な展示会や落語など、色々なことをさせていただいた。早崎だけでなく近隣の集落の方も、たくさん来ていただき、15年間の活動をPRできた。
  • 平成15年には私たちの活動をNHKで取り上げていただいたほか、滋賀銀行のCMでも取り上げてもらった。新聞にも数多く取り上げていただいているので、私たちの活動もたくさんPRされているのではないかと考えている。

観察会の継続について

  • 観察会を15年続けてきたが、来年からは(整備工事等により)実施が難しいのではないかと考えている。早﨑ビオトープは北区、南区に分かれているが、北区はハスなどが繁茂し、南区も草が覆い茂って草原になってしまっている。また北区では整備工事も進みだした。南区に小さい観察できる場所を作ってもらえると、子どもたちにこれからビオトープができていく様子を見てもらうことができ、これまでと違う観察会ができると思っている。県立大学の先生方に相談し、知恵も借りているが、私たちの力だけでは実現できないので、県に協力をお願いしたい。
  • ヒシや水草がたくさん生えており、船もなかなか動かないので、観察会の実施に相当な支障をきたしている。今後、ビオトープを改修される予定だと思うが、水草やヒシを除去できるいい方法を考えないと、せっかく改修いただいても今と同じ問題が出てくると思うので、そのあたりも考えていただきたい。琵琶湖の藻を刈る船があると思うが、それのもう少し簡易なものがあるとありがたい。
  • 7、8年経過して繁茂したハスがなくなった場所があるが、生えだすと刈っても追いつかない。保全活動をするには、お金がかかるので県としてある程度自由に使える活動資金を検討頂けるとありがたい。今は早崎内湖再生保全協議会に活動費の助成をもらっており、そこから早崎ビオトープネットワーキングが観察会などの必要な経費を支出している。助成の対象とならない経費は全部持ち出しでやっている。
  • 観察会をやるときは必ずヒシなどを事前に取っておくようにしている。取らないと地引き網が引けないので、地引き網をするところだけ刈り取って、何とかできるようにしている。去年はハスもまだ少なかったが、たぶん来年にはハスが一面に生えると思う。そうなると船も動かないし、観察会で中に入るということができなくなる。
  • 子どもたちは観察会に喜んで参加している。船に乗れることにも喜んでいる。

将来に向けた課題と今後の取組について

  • 最近、県のPRが少し不足しているように感じる。最初は世界に誇るビオトープだということで、一生懸命PRしていただいたが、最近はあまりできていないように感じる。これだけ大きい事業をやっているので、もっと宣伝した方がいいのではないかと思っている。ネットワーキングとしては昨年新しくパンフレットをつくってPRしている。大人は知っていても、子どもはビオトープの「ビ」の字も知らない。PRして人が来てくれて、注目されると、活動しやすい。
  • 改修工事をするときも大々的にPRしてもらうと、工事中でも見に来てくれるかもしれない。ホームページもビオトープネットワーキングで2、3日に一度更新している。
  • 今からの季節、コハクチョウはアピールポイントの一つになる。水鳥を撮るカメラマンが、たくさん県内外から来られる。コハクチョウと、山本山に来るオオワシを撮りにカメラマンが来る。2月いっぱいぐらいまではビオトープ周辺に車がずらっと並ぶ。コハクチョウは昼間、稲刈りした後に出てくる二番穂(切り株から出る穂)を食べに田んぼへ行っている。夜はビオトープの中にある畦畔ブロックで休んでいる。イタチなどの動物もいないし、早崎ビオトープの波も静かだし、この辺りが一番安全なようだ。平成14年にビオトープの水を張ったが、その次の年には鳥がたくさん来ていた。良い環境はすぐに分かるみたいだ。
  • 大正元年に大正天皇が即位されたことを祝い、子どもや青年団が協力し、かつて早崎町の琵琶湖岸に松林を植えた。ビオトープ改修の際にも、地元の人にマツを育ててもらって松林を作ると良いと思っている。
  • 観察会ではビオトープ南区にある揚水機場のトイレや会議室を利用させていただいていた。今は南区で観察会ができなくなったが、南区で観察会ができるようになれば、以前のように揚水機場のトイレや会議室を使えるように県から言ってほしい。
  • ビオトープの管理には地元の者が関わらないとできない。そうでないと長続きしない。漁業ができるほどの大きさの内湖だったら生業として一生懸命努力して関わるが、生計を立てられないビオトープに草むしりに行く人はいない。このままでは、毎年来ていただいているびわ北小学校の受入れも出来なくなると思う。
  • びわ北小学校の受入れを始めて15年経つので、その時の子どもたちがそろそろ自分の子どもを持つ年齢になっている。我々は内湖が干拓になる前を知っており、昔懐かしい思いがあるから、観察会などの活動をみんな熱心にやれる。しかし、現状は昔と全然違っていて、元の内湖に戻すには、人工的に力を入れていく必要がある。ビオトープは基本的に、自然のままに返していくというものであるが、ある程度人の力を加えていかないといけないし、しばらくは面倒を見てあげないといけない。
  • 昔はヨシがたくさん生えていたので、水が浄化できて、モロコも産卵できた。干拓する前がまさにその状況であった。今度北区を改修するときにヨシ帯を積極的に造っていくと良い。斜面をつくって放置するだけだと必ずヤナギの木などが繁茂して大変なことになると思う。
  • 環境学習として取組を維持しようと思うと、子どもたちに盛んに来てもらわないといけない。「うみのこ」の2代目ができるらしいが、「うみのこ」の環境学習の中に取り込んでもらって、「昔はこんなところだったが、今はこうなんだよ」というようにビオトープの昔や今を知ってもらうと良いと思う。環境学習の場として非常に適当な場所だと思う。長浜港からビオトープまで往復1時間はかかるので、現場に来てもらうのが難しければ、「うみのこ」の中で学習してもらうのも一つの方法だと思う。
  • ビオトープでの環境学習について、長浜市内の学校には声を掛けている。しかし、各学校で姉川の観察会などそれぞれ別の環境学習をやっている。昨年は長浜市の校長会に観察会に来ていただいてアピールしたが、なかなか新規開拓が難しい状況。
  • 琵琶湖は淀川水系の一級河川に分類されると思う。ビオトープは一級河川だったところを埋めたてているので、どういうかたちに整理されているか分からない。琵琶湖だとしたら、学習会で地引きやもんどりなどの漁具を使って子どもたちに見せるときに、漁業調整規則の関係で制限がかかることがある。前に学習会をやった時に、水産試験所の方からその漁具は使ったら駄目と言われたこともあった。なので、漁具の制限などの整理をしてほしい。内湖なのか調査地なのかもよくわからない。
  • 70歳を過ぎて、ビオトープを管理する仕事は結構しんどい。他の団体で観察会をやっている人などと、お互い人が足りない時に助け合おうという話は何回かしているが、なかなか進まない。
  • 県立大学の先生方とも学生さんに協力してもらえるよう話をしているが、ビオトープに来るのにまず車での迎えが必要だったりして、なかなかうまく進んでいない。
  • 今年はビオトープで、早崎内湖再生保全協議会と県立大学とで塾のようなことをやろうとしている。今年3回やる予定をしている。そういう学生や興味のある人に中に入ってもらおうとしている。
  • 観察会は相手方がやりたいと言った日で対応している。急に来週やりたいと言われることもあるので、自由の利く者がいないと対応できない。会社勤めしている人は急な対応が無理なので、ある程度年齢の高い人でないとできない。若い人にも入ってもらえるような魅力ある会でないといけないとは思う。
  • 今の親世代はゲーム世代で、子どもの時に魚を捕りに行ったりしていないので、観察会で子どもに教えても、そもそも親が知らない。そういう時代の流れなので、逆に子どもたちに観察会で教えることに興味を持ってもらえる。どちらかというと母親の方がより興味を持つ傾向があり、ゲームより、そういう遊びをさせたいという思いがある。
  • 土日はサッカーなど、今は子どもも忙しいので、観察会になかなか人が集まらない。そこで、専門的に、本当に好きな人に向けた塾のようなものをやろうと計画している。広範囲に広めるため、長浜市だけでなく、滋賀県全体にアピールしようと思っている。県全体にアピールしようと思うと県にも協力してほしい。

知事から

対話を振り返って

  • 北区が仕上がったら国定公園になる予定。漁具の制限があるかどうかは整理する。
  • ビオトープで観察会を続けていきたいというのは切なる願いだと思うので、観察会をできるだけ続けてもらえるように努力したい。北区の事業は平成37年までかけて計画的にやらせてもらうが、南区を使えるようにするにはどうしたら良いか、今日持ち帰って検討してまた相談させていただきたい。
  • ヨシ帯はとても大事で、ヨシ帯を復元する事業もやっている。早﨑ビオトープは今のところ、その対象になっていないが、事業対象に入れるのも一つのアイデアだと思う。
  • 「うみのこ」の2代目を今つくっている。フローティングスクールの環境学習プログラムの見直し・改善を今やっているところなので、このビオトープでのプログラムが入れられるかどうか検討してみる。
  • 毎年8月に開催される「ビワコミ会議」に参加して、早崎ビオトープネットワーキングの取組を発表されると良いかもしれない。県内の様々な団体や学生が参加するので、そこで交流・連携ができるかもしれない。オオバナミズキンバイの駆除活動に参加してくれた学生の力は強力であった。
  • 「魚のゆりかご水田」とセットで観察会をすると良いかもしれない。
  • ビオトープのPRについては折に触れ、行っていきたい。
  • お母さんにもっと参加してもらったらどうか。子ども連れで参加できる取組などを地域で増やされるといいかもしれない。
  • 今日はたくさん宿題をいただいた。次の世代のために、持ち帰って我々なりにも整理し、また相談させていただきたい。自分たちの世代には大変だとおっしゃらずに、どうかお力添えをいただけるとありがたい。