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第41回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手「日吉子どもサミット」の皆さん

「日吉子どもサミット」の皆さん

今回は、「日吉子どもサミット」の皆さんと対話を行いました。

「日吉子どもサミット」は日吉ブロック内の小学校4校(雄琴、日吉台、坂本、下阪本)、中学校2校(比叡山、日吉)の児童会・生徒会で構成されたリーダー養成を目的とした団体として、平成2年8月に設立されました。

アルミ缶回収で得た収益金のユニセフへの募金や4小学校区内地域清掃など様々なボランティア活動に加えて、ヨシ刈りや琵琶湖岸の清掃活動、小学校児童会と中学校生徒会によるフナの稚魚やシジミの稚貝の放流など、琵琶湖を守る取組をこれまで行ってこられました。

今回は、日吉子どもサミットを視察後、対話を2部に分けて実施しました。第1部では皆で地域の方が作ったカレーをいただきながら、子どもたちが活動する中で感じたことを意見交換するとともに、第2部では地域の方々と三日月知事が環境保全活動について語り合いました。

第1部

知事から

今回の対話について

  • 私は日吉中学校出身だが、中学生の時、他の学校でどんなことをやっているのか知りたかったので、自分から友達や先生に頼んで、他の学校の人たちと交流する機会を設けた。
  • 唐崎中学校の人たちと交流したときに、僕たちの日吉中学校の問題やトラブルについて相談したら、唐崎中学校の人から「日吉中学校のスローガンは何か」と聞かれた。僕たちは「スローガン」という言葉さえ知らなかったが、みんなで一つの方向を向くためにスローガンをつくるのも方法の一つだと学び、「We love 日吉」というスローガンを考えた。他の学校の人と話をするは自分の学校をよくするためにすごくいいし、それは、他の県の人や他の国の人と話をすることと同じ。僕はそういう機会を大事にしたいと、今でも思っている。
  • いろんな学校や、いろんな地域の人、いろんな国の人とぜひ話をしてほしい。

「日吉子どもサミット」に参加する子どもたちから

子どもたちからの意見・質問

  • 1月28日日曜日に雄琴学区でヨシ刈りがあるので来てもらいたい。ヨシ刈りの後にみんなで食べる豚汁を大盛りにする。たくさんの人に来てほしい。

知事

  • 私が行くことで人がたくさん来るのだったら行きたい。でも、私の体は一つしかなく、あちこち全てに行くことはできないので、雄琴でヨシ刈りをやるから下阪本の人も一緒にやろうというように輪を広げてくれるとうれしい。学校で相談してみてほしい。

子どもたちからの意見・質問

  • ヨシを増やすことができないかと考えている。ヨシが増えると魚たちの住むところや水がきれいになる。

知事

  • 私も今勉強中だが、道路やコンクリートの岸の建設でヨシが減って、琵琶湖が浄化されなかったり、魚のすみかがなくなったりしている。なんとか昔のように戻そうとヨシを増やす取組をしている。コンクリートに植えても育たないので、昔のような砂や土に戻す取組や各地でヨシを植える取組をしている。また、刈ることも大事で、刈ってヨシに日を当てないといけない。昔はヨシですだれや家の道具をつくっていたが、今はあまりヨシを使わないから、ヨシが刈られなくなっている。ヨシ刈りと、ヨシを植えて育てる取組をみんなでやっていこうとしている。知事だけでやってもヨシが増えるわけではないので、どうしたらヨシが増えるかを、生徒会か何かで話してくれるとうれしい。

子どもたちからの意見・質問

  • 色々な地域のボランティア活動に日吉中学校の生徒が積極的に参加するよう生徒会で広報活動を行っている。しかし、部活の日程やスケジュールが合わず参加者があまり伸びていないことを課題に感じている。

知事

  • 参加して楽しかったり、ためになったりするイベントだったら行きたいと思うのではないかな。楽しいイベントや行事になるように、企画段階から関わってみてはどうか。みんなも実行委員会に入って、どうすれば楽しいイベントになるのかというのを一緒に考えたらどうだろう。「俺たちが考えたから、ちょっと手伝ってよ」「楽しくしたから参加してよ」と言ったら、もっと参加してもらえるのではないか。校長先生や地域の人にどんどんアイデアを出していけばいい。そして最後までやりきってほしい。

第2部

知事から

今回の対話にあたって

  • 日吉子どもサミットを見学して、地域の皆さんと小学生・中学生が膝を突き合わせて話している姿に感動した。最初は、戸惑いや分からないこともあったと思うが、お互いを認め合いながら学んで、一緒に考えられおられる取組は素晴らしいと思う。
  • 琵琶湖を保全・再生するための法律が出来たので、県でも計画をつくって、琵琶湖を本格的に守る取組を始めた。国会議員時代から琵琶湖の法律をつくってほしいと働きかけてきたが、滋賀県にある琵琶湖を守るなら法律でなく条例だと、なかなか理解を得られなかった。しかし、琵琶湖の水は1450万人の飲み水であり、これは国でも大事なことだと話してやっと理解してもらってできた法律である。
  • 琵琶湖を良くするには、山、川、里を豊かにしないといけない。琵琶湖周辺だけではできないので、県全体で一緒に取り組んでいきたいと思う。

「日吉子どもサミット」を支える地域の方から

  • 4年前に子どもたちから、昔のように下阪本の浜で泳いだり、シジミを取ったりできるよう環境改善したいという提案があった。下阪本クリーン作戦は20年ほど続いているが、一昨年からはシジミ放流もしており、2年間で合計150キログラムのシジミを放流した。
  • 放流したシジミは放っておくと死んでしまうので、昨年度は年3回堅田から漁船を出してオオカナダモやヘドロ等の除去も行った。また、週に1度、10名ほどの地域住民の方が、藻やゴミなどの清掃活動を続けてくださっている。
  • 調査船を出してシジミの成育具合の調査も2回ほど行った。しかし、揚がってくるのはヘドロばかりで、岸から10から20メートルくらいのところは生息できる状況ではないということが分かった。150キログラム放流したが、シジミは一つも揚がってこなかった。その後、日吉中学校の先生にも協力いただき、湖岸や砂場で調査したところ、砂場ではシジミが生息していることが分かった。砂場のあるところでは放流は効果があるので、今は浜でシジミが増えている途中ではないかと考えている。
  • 今年も100キログラムのシジミを放流しようと考えている。また、年間3回、漁船で水草の刈り取りを行っているおかげで、湖面が5メートルくらい透き通って見えるくらいきれいになってきて住民にも喜ばれているので、水草刈りやヘドロ除去について県の方にも助力をお願いしたい。
  • ヘドロは最近できたものではなく、堆積して固まってしまっている。
  • 昔は新唐崎に行ったら、足元には貝がたくさんいたが、今はヘドロが固まって、消防艇が消火活動に来ても岸に着けられない。
  • 雄琴は温泉の街なので、「ビアンカ」や「ミシガン」を着けられるようにしようと思っても、藻やヘドロが多すぎては入れない。
  • 雄琴ではヨシ刈りとフナの放流をやっている。範囲が広いので、できるだけたくさんの人に参加してほしいと思っている。
  • 雄琴の川は下流の方はきれいだが、上流は古いままで、きれいに整備できていない。下流の方は3面のコンクリートで固めており、なかなか住民が入れない。
  • 地元で清掃活動をしているが、以前、県が業者に草刈りを発注された日とかぶったことがあった。県には日程をちゃんと確認して調整するよう言ったが、他の地域でもあるのかもしれないので、全河川の状況を確認していただいた方がいいと思う。
  • 日吉台は直接琵琶湖と面していないが、陸地で何ができるかを考えていかないといけないと思っている。琵琶湖の前線だけでやっているという思いを打破し、山の問題にも意識をつなげていかないといけない。
  • 坂本では区を挙げて河川愛護に取り組んでいる。年に何回かきれいに掃除しており、表彰も受けた。
  • 河川整備とともに森林整備することが大事。
  • 下阪本にある大宮川は、下流に行くほど水が少なくなっていく。川が曲がりながら下りていく間に、漏れて地下水となり、河川には流れないので河川改修が必要である。
  • 中学生の科学部が川の水質調査をしている。水はきれいだが、おっしゃるように確かに地下に伏流しているようである。
  • 地下伏流を止めてしまうと、井戸水が枯れるのでそれはそれで一定必要。下水の工事をやったら井戸が枯れたという話はいろんなところで聞く。

知事から

対話を振り返って

  • 何年も前から堆積したヘドロを一緒に分析して原因を考えてみたり、農業や工場、家で何ができるかということを一緒に考えてみたりするのも良いと思う。
  • 雄琴あたりは、琵琶湖岸から見たことがあるが、琵琶湖から見たことがないので一回、見てみたい。
  • 3面コンクリートを掃除するために、フェンスを登って、下まで数メートル下りて作業するのは危ないから、そこはある程度行政がやるなど、関わり方を一緒に考えてみるのも、手かもしれない。企業を巻き込んだ取組などを考えるのもよい。
  • 子どもたちから誘われたヨシ刈りもそうだし、下阪本のヘドロやシジミの話もあるので、私も皆さんと一緒に調査や活動に参加してみたいと思う。それでどうしたらいいかを一緒に考えたい。
  • 実はシジミはこれまであまり行政では本腰を入れられていなかったので、シジミについても、もう一回取り組もうと言っているところ。
  • 日吉中学校の皆さんの川の調査はぜひ続けて、調査結果を知らせてほしい。日吉中は、雄琴から下阪本の川の水質のことなら何でも知っていると言えるようになってほしい。