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第29回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手やまなみ工房の皆さん

やまなみ工房の皆さん

今回は、甲賀市のやまなみ工房の皆さんと対話を行いました。

障害者多機能型事業所「やまなみ工房」では半数以上の利用者が創作活動に従事しており、創作された作品は海外での展示会にも数多く出品され、世界的に評価されています。

粘土や絵画に取り組む「アトリエころぼっくる」、刺繍や絵画に取り組む「こっとん」、 健康のため散歩や運動に取り組みながら表現活動に取り組む「ぷれんだむ」、メンテナンス作業を中心に取り組む「もくもく」、古紙回収事業を中心に取り組む「たゆたゆ」、CAFE営業を行う「hughug」の6グループに分かれ、それぞれの個性を活かした活動を行っています。

敷地内にはギャラリーを完備し、アーティストの作品を常設展示しています。

今回は、やまなみ工房のアトリエおよびギャラリーを見学するとともに、作家の方々との交流を行いました。

知事から

今回の対話について

  • やまなみ工房に来るのは初めてなので楽しみにしてきた。
  • 皆さんの作品はすごく良い。皆さんが表現するものは周りの人を幸せに、楽しくすることができる。新聞をあつめていただいたり、掃除をしていただいたりというお仕事とあわせて、楽しく創作活動を行っておられることはとてもいいなと思う。また、作品をおしゃれにデザインして洋服にしたり、写真集をつくったり、番組をつくったりというやまなみ工房の活動も意味があると思う。
  • いろんなアイデアを出しながら、滋賀県としても一層、皆さんの活動を応援し、取組を全国、世界に向けて発信していきたい。

やまなみ工房の皆さんから

  • 1986年の設立当初は全員が作業に取り組んでいた。しかし、その後、利用者が増えてくる中で、作業が苦手な方、向かない方が見受けられるようになり、そういった方がいきいきと活動できることがないかと考え、創作活動を始めた。それから30年近くたった今も、無理やり作業にあてはめるのではなく、本人が楽しくやりがいをもって取り組めることを推進したいとの思いから創作活動を行っている。
  • 当初はこの活動を理解してもらえず、障害のある人ががんばってつくった作品と捉えられ、障害というフィルターを通してしか作品を見てもらえなかった。しかし、全国各地で展覧会をしていく中で、作家の個性や、作品が良いと言ってくださる方も出てきた。2005年ごろからは海外からも展覧会の声がかかるようになり、ニューヨークやイギリス、アジア各地での展示機会が増えている。
  • 2008年に滋賀県立近代美術館で開催された企画展「アール・ブリュット-パリ、abcdコレクションより- 生命(いのち)のアートだ」において河合由美子さんの刺繍が展示された。また、2010年にはパリ市立アル・サン・ピエール美術館で行われたアール・ブリュットジャポネ展において鎌江一美さんと吉川秀昭さんの作品が出展された。
  • 滋賀県の取組である「ふらっと美の間」や「美術旅館」でも、やまなみ工房の作品が展示され、県内の公立施設や旅館等で作品が展示されている。
  • ギャラリーgufgufができてから年間2000人以上が見学に来られるようになり、開館から4年で1万人を超えた。
  • 最近では作品をもとにデザインした服を制作し世界14か国で発売するほか、写真集の発行、ドキュメンタリー映画の製作・上映なども行っている。NHKの番組「バリバラ」では、やまなみ工房を舞台にしたドラマが制作され、全国から反響があった。
  • 最近は福祉や美術と普段あまり関わりがない人々にも興味を持っていただけるようになった。
  • 絵を描くのが楽しい。展覧会に出展されて、たくさんの人に見てもらえるのが嬉しい。周りの人たちも喜んでくれている。
  • 絵画をがんばっているが、トイレメンテナンスの仕事も楽しい。知事には、また自分の絵を見ていただきたい。

知事から

対話を振り返って

  • ここには、踊ったり、歌ったり、盛り上げたりいろんなことをできる人がいる。大事なのはできないことに目を向けるのではなく、できることを積み重ねること。
  • できることをもっともっとできるようになって、まわりのことも考えられるようになるといいと思う。滋賀県では「新しい豊かさ」を推進しており、今だけじゃない、モノだけじゃない、お金だけじゃない、みんなのことを考えてすべての人が心で、幸せや楽しさ、豊かさを実感できる滋賀をつくりたいと思っている。
  • そのためには、できないことよりできることをもっともっと伸ばしていくんだということを改めて思い出したし、確信もした。