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第28回 「こんにちは!三日月です」

  • 対話相手高島市内において、水源の森を守り・活かす活動に取り組む皆さん

高島市内において、水源の森を守り・活かす活動に取り組む皆さん

今回は、高島市内において、水源の森を守り・活かす活動に取り組む皆さんと対話を行いました。

高島市内では、間伐材の活用などで森を守り・活かす様々な特色ある活動が行われています。「たかしま市民協働交流センター」では、様々な団体や市民が出会い、未来へ動き出す活動を行っている「たかしま・未来・円卓会議」を開催しており、その一環として、豊かな森林資源の多様な活用について学び合う「森へ行こう!プロジェクト」などの活動が行われています。

今回は、琵琶湖保全再生施策に関する計画の策定に向け、地域の声を聴く一環として、「森へ行こう!プロジェクト」の参画団体を始めとする、水源の森を守り・活かす活動に取り組む皆さんと、三日月知事が語り合いました。

なお、会場となった新旭里山体験交流館「もりっこ」は、県内の小学4年生が体験的な森林環境学習を行う「やまのこ事業」などの環境学習を行う場として整備された施設で、現在は、里山を活用した学童保育「学童やまびこ」のほか、大阪市内の子ども達との農業交流や大学生や企業との里山保全活動なども行われています。

今回の対話では、里山のほとりに立地するこの施設で、琵琶湖保全再生に向けて意見交換を行った後に、知事と参加者の方々が、学童保育の子ども達と一緒に里山に入り、山に自生するクリやアケビといった食べられる木の実を採集するなど、水源の森の恵みを実体験しました。

知事から

今回の対話について

  • 琵琶湖をよりよいかたちで次の世代に引き継ぐということは、私たち県民にとっても、知事にとっても大切な仕事だと考えており、知事就任後いろいろな取組を続けてきた。平成27年9月に「琵琶湖の保全及び再生に関する法律」が成立し、400万年の歴史を持ち、多くの固有種が生息する琵琶湖が国民的資産であるという位置付けがなされた。
  • 今、琵琶湖を取り巻く環境には、外来魚やカワウ、水質や水草など多くの課題がある。そういった問題から琵琶湖を守る取組を進める一方で、湖上交通の更なる活用や、ビワイチに代表されるサイクリングやエコツーリズムなど様々な形で琵琶湖を活かす取組も充実させていきたいと考えている。とくに、山村を再生して林業を成長産業化させることができないかと考えており、現在ちょうど伐期を迎えている多くの木々を、住宅や公共施設の新築や改築の際にもっと使えないだろうかといったことにも取組を進めている。
  • 滋賀で育つ子ども達の教育のためにも、また私たち誰もが日々老いていく中で、この木のぬくもりの中で暮らしていくということの効用を見直して、そして発信していけないだろうかと考えている。今日の会場である「もりっこ」は、里山を活用した学童保育や、農業交流、大学生や企業などの里山保全活動の拠点になっているとも伺っており、里山のよさを見直して伝えていくためのモデルになり得る施設であり、活動であると感じるので、そういったこともお聞かせいただければと考えている。
  • 琵琶湖を守り、より良くしていくためには、水源の山にもっと手を入れたり、心が通ったり、人の力が入るということが必要なのではないかと考えている。私自身も、8月に一週間の間、高島の朽木に居住して、チェーンソーを用いた間伐作業などを実地で体験した。今後は、山の仕事や山の暮らしをもう一度元気にしていく取組をしていきたいと考えており、水源の森を守って活かす活動に取り組んでいらっしゃる皆さんと、今日こうして意見交換できることを大変うれしく思っている。また、現在琵琶湖の保全再生施策に関する計画づくりを進めており、今日伺ったご意見等を、この計画の中にぜひ反映させていきたい。

高島市内において、水源の森を守り・活かす活動に取り組む皆さんから

それぞれの出席団体が行っている「水源の森を守り・活かす活動」の紹介

  • 「たかしま市民協働交流センター」は、高島市内の市民活動やボランティアグループなどの支援をしており、色々な相談を受けたり、助成金情報などを流すことで、団体の運営をサポートしている。地域の課題を自分たち自身の課題としてとらえて、話し合う場づくりとして、「たかしま・未来・円卓会議」という事業に取り組んでいる。「円卓会議」では、関心のある市民の方、課題解決に取り組む市民活動団体、行政や事業者といった様々な方々と知恵を出し合う場として、年に10回ほどいろいろなテーマで話す場を設定している。
  • 「たかしま・未来・円卓会議」のテーマの一つとして、今年度から、高島の豊かな森林についてみんなで考えようという「たかしまの森へ行こう!プロジェクト」を立ち上げた。今日の対話の参加団体は、「円卓会議」の運営に関わっていただいている団体や、事例紹介に取り上げた団体などが中心となっている。それぞれの団体の活動は大きなビジネスではないが、小規模なコミュニティビジネスなどを展開することで地域の経済を回す活動や、持続可能な森の活用に取り組んでいる。市民活動団体や関心をお持ちの市民の方、行政などが一緒に知恵を出し合う場として、「たかしまの森へ行こう!プロジェクト」において勉強会などを開催している。
  • 「くつき『木の駅』プロジェクト」では、チェーンソーと軽トラを使って放置山林の倒木や間伐材を運び出し、地域通貨「やまびこ券」で買い取って、薪として販売するなどして地域に還元しており、今年で立ち上げから3年目になる。このプロジェクトは、岐阜や高知で始まった動きが全国に広がったもので、県内でも5箇所に増えた。先月には近畿のブロック会議を朽木で開催して、情報交換を行った。
  • 「木の駅」を始めたきっかけは、鴨川の決壊など高島で大きな被害を出した2013年の台風18号だった。当時は林道に川のように水が流れているような状況で、山でも多くの被害が出ていた。大量の倒木をなんとか有効活用できないかと考えたことがプロジェクトを立ち上げるきっかけとなった。現在は、「市民エネルギーたかしま」という団体とタイアップでやっているが、来年ぐらいからそろそろ一本立ちしないといけないとも考えている。
  • 「国境(くにざかい)炭焼きオヤジの会」は、福井との県境でマキノ町の北端にある「国境」という過疎高齢化が進む集落で、地域の高齢者の手で炭焼きを行い、「夢炭(むーたん)」という名前で販売して地域の活性化を図ろうと活動している。国境を含む野口地区はかつて炭焼きが盛んだったが、すっかりすたれてしまった。地元の人間にとって懐かしい「炭焼き」を、昔の炭窯を掘り起こして数十年ぶりで復活させて、6年前から活動を始めた。高齢者が一緒に集まって炭焼きをすることは、経済的な面だけでなく、集落内のお互いの連帯、信頼関係にも良い影響を及ぼしており、お年寄り一人一人が家に引きこもって、孤立してしまうことを防ぐことにもなっている。
  • 炭焼きを通じて琵琶湖の水源である山に関わっており、琵琶湖の保全についても関心は大きい。私たちは森林の中でも雑木林とかかわりが深いが、雑木林も植林された針葉樹林と同じで、人手を入れないことにはナラ枯れなどの問題が起こる。雑木林に手を入れずにおいて70~80年すると木に虫が入って枯れてしまい、同じ林は再生しない。しかし、30~40年のスパンで木を切ってやれば、切り株から、ひこばえ(樹木の切り株や根元から生えてくる若芽)が出て、30年後には元の林に戻るので、山に人手が入って仕事をしていかなければならない。私達の日頃の活動も、山を守ることにつながっていると考えている。他にも、源流域で河川に炭を入れて、その炭によって水を浄化する試みや、合成洗剤の使用を減らすために炭の粉を練り込んだ手づくりのせっけんを製造販売するなどの取組を行っている。
  • NPO法人クマノヤマネットでは、高島市からの指定管理により、今日の会場である里山体験交流館「もりっこ」の管理運営や、「もりっこ」を利用した学童保育等を行っている。この建物は、旧新旭町が里山の麓でいろいろな活動ができるようにと建てたものだが、木ばかりで一切くぎも使っていない建築となっている。「もりっこ」は、やまのこ学習の会場になっているほか、京阪神等から中学・高校生などの体験学習も受け入れている。体験学習で使うフィールドは施設の裏山の広さ5ヘクタールほどの範囲で、山にいくつかのルートを作っており、知事にも、この対話終了後に、学童保育の子ども達と一緒に体験学習に参加していただく。
  • 最近では、大手企業の新人研修を受け入れて、新入社員の方々に2泊3日で里山整備に取り組んでいただいたり、どういったことが山に求められているのかを学んでいただいた。また、別の大手企業との間では、CSR(企業の社会貢献活動)を、このフィールドでやろうという話も出ている。企業などとも協働しながら、次代の里山づくりを担う体制をつくっていきたいと考えており、そういったフィールドの中で学童保育も、子ども達に自然の大切さを学んでもらうために続けていきたい。
  • 「つながる子育ての会」では、2つの活動を柱としている。一つは「森の幼稚園」と呼ばれるもので、幼稚園くらいの世代の未就学児を山の中に連れていって、自由に伸び伸び遊ばせる活動。もう一つは、「冒険遊び場」とか「プレーパーク」と呼ばれるもので、年齢に関係なく外遊びが自由にできる場所を高島につくろうと取り組んでいる。私自身は大阪から8年前に移住してきた。こちらで子どもを産み、子育てを始めてまだ2年だが、周囲を見ていて子ども達が外で遊んでいないなということに気付いた。同じ思いを持った方々と一緒に、子どもの主体性を大切にしながら、外遊びの機会をつくる活動をしている。
  • 昔であれば、遊びの中の子どもの主体性や、外遊びは当たり前のことだったが、今は残念ながら、それが当たり前ではなくなっている。高島はこんなにも自然が豊かなのに、小学生でも山に初めて入ったという子も多い。どこにでも自然があるので、自由に遊べればよいのだが、自分で遊びに行ける範囲に子どもがいないために、親の車で友達の家に連れていってもらって、そこで遊んで、また車で帰ってくるといったことも多く、子どもが主体性を持って遊べない。小学校の合併でバス通学が増えてきたことも影響しており、今まで帰り道に子どもが自然の中で遊んでいた光景が見られなくなった。森のようちえんの活動に、ベテランの保育士さんにも参加していただいているが、森の中で子どもが育つのはすごくいい効果があるので、既存の幼稚園に採り入れてもらえないかという働き掛けを始めている。既存園もプログラムで時間がいっぱいであったり、予算の問題などもあったりするので、なかなか難しい。
  • NPO法人麻生里山センターは、高島市の森林公園「くつきの森」の指定管理者となっており、今年で11年目になる。くつきの森は146ヘクタールの広さがある。針葉樹もあるが、もともとは広葉樹の森で、昔は木炭ホトラを採る里山だったが、現在そういう自然の利用がなくなったために、放置された状態になっている。マツ枯れやナラ枯れ、シカの食害も深刻で、森には下草が全然生えていない。それでも、森自体は四季折々、豊かな美しさを保っており、十分に楽しめる森林公園ではある。
    指定管理者として、森内遊歩道や宿泊施設などの管理運営を行うほかに、環境啓発や森林体験などの機会を提供するイベントも行っており、今年は1年間に26回のイベントを計画している。
  • 「くつきの森」は、やまのこ学習の拠点ともなっているほか、高島市独自の高島森林体験学校という、子どもに限らず、いろいろな森林体験をする学校の運営も委託をされており、これらを通して自然観察や間伐体験等の学習も提供している。とくに「未来の森づくり」というイベントでは、昔のように、里山を利用することで、里山を再生したいと考え、ボランティアの方に参加していただいて森づくりに取り組んでいる。施設に薪ストーブを導入し、枯れたナラ等を伐採して薪にして活用したりしている。以前はそのまま林の中に捨てていた木も、薪ストーブを入れることで宝物になり、さらに森の整備にも役立つという循環ができてきたと感じている。
  • マキノ高原観光株式会社では、キャンプ場やスキー場、温泉やレストランなどマキノ高原の自然を生かした様々な事業を展開している。なかでも、キャンプに力を入れており、昨年は約40万人に来場いただいた。お客様のニーズも多様化しており、環境保全も、逆に都会の方の方が熱心に考えられていると感じる。近隣の民宿に泊まって、マキノ高原をフィールドに体験学習をしていただく取組も続けており、昨年は61校の学校を受け入れた。民宿の方は大変で、5月から9月までは平日も含めて、ほぼ稼働率100%となっている。
  • 民宿に泊まって体験学習をされる都会のお客様へ出すテーマでは、先生の希望で、森を案内してほしいというものが増えてきている。自然林を歩くというテーマで子ども達を連れて、そこで耐える力や助け合う力を、山を案内しながら学んでいただいている。最近では、イギリス発祥のフットパス(森林や田園地帯、古い街並みなど地域に昔からあるありのままの風景を楽しみながら歩くことができる小径)をまねて、「Sato Path」という名前で、地域の人間が自分の仕事もPRしながら里地をガイドするという取組も始めており、少しでもビジネスや雇用につなげていきたいと考えている。
  • 近江通商株式会社では、琵琶湖の保全再生に欠かせない「里山再生」をテーマに、荒廃した里山の伐採と萌芽更新、原木買取り、空家管理など、里山の暮らしと文化を未来につなぐ事業活動を展開している。里山再生の中心となる取組が薪のコミュニティービジネスで、地域資源である木を活かして、地域の課題を解決するということを目的に、五つの取組を行っている。
  • 一つ目は、自社で伐採した広葉樹を用いた薪の生産販売で、30年以上の古い木を切って、萌芽更新させて、里山再生につなげている。二つ目は原木の買取制度で、切った原木を買い取ることで、各地の里山再生を応援でき、切った人の賃金も確保できる。三つ目は薪づくりによる雇用創出で、地域の高齢者の方や引きこもりの青少年の方々を雇用して社会復帰の機会に使っていただいている。四つ目は寄付付き商品で、淡海文化振興財団の「おうみ良うなる!元気商品」プロジェクトと、赤い羽根高島市共同募金に、薪の売り上げの各1%ずつを寄付しており、薪の売り上げの2%を寄付することで、地域に貢献していきたいと考えている。最後の一つは、薪ストーブの愛好家でつくる近江薪炭クラブの支援や、関西学院大学で里山実習をさせていただくなど人材育成にも取り組んでいる。

山と人のかかわりについて

  • 高島でも地域によるが、朽木の山などではヒルが多い。体験学習などで自然の中に入って行くときには、ヒルがいるといったことも納得したうえで入ってもらわないといけないと思う。炭焼きの体験では、子どもも受け入れているが、子どもが炭窯の中に入って出てくると真っ黒になってしまうが、子どもは喜んでやっている。汚れたり、虫に刺さたりといったことに抵抗があれば、親が予防する工夫をした上で参加してしていただければ良い。
  • 森の幼稚園で見ていても、子どもの方は、虫や汚れたりすることには、すぐに慣れるのだが、既存の幼稚園で森に入るとなると、保護者にもいろいろな方がいるので、皆さんに理解していただくのが難しい。
  • 小さな子どもの親の世代では、親の方も山や森に慣れていない。ある程度子どもの自主性に任せていただいて、少々擦りむいても、虫に刺されても、そんなに気にしないという気持ちを親に持っていただかないと、ちょっと子どもが何かしたら大変だと目くじらを立てていては、自然の中へ入って行くのは難しい。
  • 企業の研修やCSR活動の場合は、社員の方々は給料をもらって来ているので、一生懸命取り組んでおられる。参加者でグループをつくって、木を1本切って、枝を打って、材にする仕事をしてもらったりしているが、みんなで相談をしながら必死になってやっていただいている。
    参加者の方の意見を聞くと、やはり会社で流す汗と、この自然の中で流す汗は、「自然の中はえらいけど、あとあとすがすがしい」と言ってもらえる。皆さんに来てよかったと言っていただいている。
  • もりっこの体験学習では、手入れがされていない荒廃した里山の森に入る作業もしていただいているが、下草刈りや枝打ちなどの手入れをすることで、森に光が入って、森が再生されてくる。それもまた1年放置すると茂ってしまうので、また継続的に活動していただいている。昔は薪が生活の中で使う光熱源として、毎年刈って使っていたので、里山も美しかった。里山が手入れされて、荒れていなければ、ダニやヒルもあまり来ないし、獣もそこは人間のすみかだと判断して寄ってこない。
  • 今は里山が荒れてしまって、住宅のすぐ裏が獣のすみかになっている。人家の近くに住んでいれば、遠いすみかへ帰らなくても餌はおいしいものがいっぱいあるし、交尾もよくする。野生の獣にとっては、今の荒れた里山は一番いい条件が揃っている。20~30年前には、里山にはヒルもシカもいなかった。里山に関わる人が少なくなり、藪が増えてしまったために、シカなどの野生獣が山のふもとの方まで下りてくるようになった。シカが多い所には、シカにつくヒルも増えてしまう。
  • 高島はこんなに自然が多いが、子ども達は山で遊ばない。なぜ遊ばないかというと、藪が深過ぎて遊べる環境にない。山に人が入らないから、どんどん山の方が麓に迫ってくる。そうした悪循環にあるので、森の幼稚園であったり、里山を歩いたりとか、そういった関わりがたくさん増えていくと、普通の市民の方々も少しずつ入れるようになると考えている。ただ、日常的に人が山に入って行くためには、ボランティアでは続かないので、何らかの見返りがないと難しい面もある。
  • ガイドとしては、山に入ることにはリスクも伴う。マキノ高原に来られる学校でも、飯盒炊さんでカレーを作るといった今までの定番ではなく、山に入りたいという要望を先生方から聞くことが増えている。150人といった人数を連れて山に入り、一人もけがをさせずに、リタイアさせずに下りてくるのは、リスクが高く、山で事故があるとガイドは裁判で負けることが多いので、我々プロのガイドは自衛のために保険に入っている。

水源の森の木の利活用について

  • 薪ストーブは年間1万台以上のペースで増えている。薪ストーブを設置した人は薪が必要になるので、材料となる広葉樹を切りに山に人が入るという仕組みができると考えている。近江通商の薪のコミュニティビジネスは、まだ規模も小さく、薪の生産が販売に追い付かないのが現在の状況。
  • 木の駅では基本的に針葉樹を扱っており、薪ストーブには向かないので、キャンプ場などで薪として使ってもらっている。針葉樹は火付きは良いが、持ちが悪く、早く燃え尽きてしまう。
  • 山を手入れする中で切られる木の中には、燃料として適当でない樹種もある。また、造成地や別荘地で大きくなり過ぎて邪魔になった色々な木を原木として提供していただいて、炭に焼くことも多い。今の時代では、木を野焼きするわけにいかないので、木の廃棄にも大きな労力とエネルギーが必要となる。国境炭焼きオヤジの会では、そうした廃棄される木を、炭窯へ持ってきて、炭に焼いており、焼いた後の炭で燃料に向かないものは、先ほど説明した川の浄化のために河川に投入している。
  • 炭には小さな穴が非常にたくさんあいており、その穴に不純物をため込むので、水を浄化できる。ただし、流れの速い川に投入しても、その効果はあまり期待できないので、少しよどんだようなところがいいと専門家に教えていただいて、そういう場所を選んで投入している。
  • 薪ストーブのオーナーには、自分で木を切ったり、薪割りもしたいという方が多い。もりっこによくこられるお客様にも、「山の手入れのお手伝いをするから、そこで出た間伐材や枯れ枝などを持ち帰らせてほしい」と言ってくる方は多い。そういった方と一緒に山で作業をして、「好きなだけ持って帰ってください」と言うと、喜んで持って帰られる。そういったニーズはあるので、事業化するビジネスチャンスがあると思う。
  • マキノでは、人里に近い山の地権者が、近隣の別荘の方々にきれいに里山を管理してもらって、その代わり木は使い放題ということをされているところがある。暖炉や薪ストーブのある別荘の方が山を管理して、切りたいものは切って薪にして自分で使っておられるが、その山は他の山よりもきれいに管理されている。
  • シカが多い地域では、少し事情が違う。「くつきの森」で生きた木を切ると、切り株からひこばえが生えてくるが、これはシカの好物なので、シカが集まり、ひこばえが食べられてしまう。その区域でシカ対策をしていかないと、生きた木を切ることもなかなかできないので、朽木の山では生きた木を切ることはなかなか難しい。
  • 山の手入れは、単に木を切るだけでは、うまく行かない。ほったらかすのではなく、切った後も山に入って下刈りなどの守りをしないと、逆に藪になって荒れてしまう。木を切って出すだけでなく、次の芽が大きく成長するまでの10年ほどの間に、他の新しい植物が茂ってしまうのを防ぐための手入れをしてやらないと、獣のすみかになってしまう。

知事から

対話を振り返って

  • 高島の水源の森には資源がたくさんあり、その中で学んだり、遊んだり、汗を流して仕事をしたりと多くの可能性がある。それらを上手につないで、「やりたい人」と「やってほしい人」、「行きたい人」と「来てほしい人」とをつなぐ「何か」があれば、ヒト・モノ・カネと色々なものが回っていくと感じた。
  • たかしま市民協働交流センターの円卓会議でも、引き続き皆さんに多くの可能性をつなぐ方策を練っていただければと期待している。また、行政でも豊かな資源を生かす知恵を出していきたいので、それぞれの現場で、皆さんにお力添えをお願いしたい。今日は本当にありがとうございました。